金融業界では年金基金(pension fund)が、その莫大な資金量から大きな存在感を持つ。
莫大といっても曖昧だから具体的な額を示せば、全世界の年金基金の総額は20兆米ドル以上、1ドル100円として2000兆円…
(と言っても庶民の筆者にはあまりピンと来ないのだが。)
その年金基金が有望な投資先として着目しているのが、太陽光や風力などを含む再生可能エネルギーである。
例えば、野村資本市場研究所が発表しているこのレポートにもそれが明記されている。
筆者がこのブログで公言し自身でもやろうとしている50kWプチソーラーは、それの個人規模版ということ。
欧米の年金基金が再生可能エネルギーに注目している理由は、再生可能エネルギーの事業が一度立ち上げ、きちんとした管理や運営さえされれば長期にわたって低リスクで安定した収益をもたらす可能性が高いからである。また、地球温暖化対策としてCO2をほとんど排出しない再生可能エネルギーを意識して生活に取り入れたいという消費者が増加しているといったことも背景にある。
枯渇が心配されている化石燃料と違って、その名が示す通り再生可能エネルギーは枯渇を心配する事無く長期にわたって使うことができる。
既に前の記事でも書いたように、地域によってはグリッドパリティがほぼ実現しているような地域もあるし、グリッドパリティに至っていなくても他の条件から再生可能エネルギー事業への投資が妥当と判断されれば、メガワット級の太陽光発電所(メガソーラー)やウィンドファーム(風力発電所)が建設される。
確かに初期投資額は相当に大きな事業となるが、上述のように年金基金の資金量は膨大であるため、あまり問題にはならない。むしろ、低リスクで長期間にわたって安定した収益を生み出すという点で、年金受給者に毎月決まった額を支払わなければならない年金基金と相性が良いのだ。
日本では、昨年開始された固定価格での全量買取制度によって太陽光発電がバブリーな状況となっており、年金や保険の業界からの資金流入がたくさんあったか、筆者はあまり正確に認識していないのだが、まだそれほど多くなかったように感じている。
しかし、年金基金の性格からは株式市場や債券市場などへの投資と比べても低リスクという点で再生可能エネルギー事業は引けを取らないばかりか、むしろ有利ではないかと思う。
(もちろん、再生可能エネルギー事業会社への出資という形で年金基金の資金が流入しているということは当然あるだろう。)
アベノミクスの化けの皮がいつ剥げ落ちるか分からないが、株価が上がろうが債券が暴落しようが、お日さまは毎朝上り、毎晩沈み、日光が当たって太陽光発電パネルが生み出した電気は現時点で定められた固定価格で買い取ってもらえ、年金的収入となるのである。
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