太陽光発電投資ファンド: “No free lunch”

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最近、巷で盛り上がりつつある「太陽光発電投資ファンド」に関して、ある読者様からご質問を頂いた:

太陽光発電に関する投資ファンドが散見されます。
私は信頼できると思いますが、ビッグふぃ~るど様はどのようにお考えですか

ということで、以下に筆者の思うところなど記しておきたい。

まず、大原則としては、営利企業が行う事業である以上、太陽光発電投資ファンドも例外ではなく、運営会社が自身の利益のために行う事業ということだ。つまり、投資家側にある程度の高い利回りを提供すると喧伝する一方で、自社の利益をきっちりと確保しているはず。

太陽光発電投資ファンドを運営する事業会社自身の儲けがどの程度あるのか、といった情報は当然簡単には分からないが、やはり最低でも数%、恐らくは10%程度の利回りとなるような運営を行っていると想像する。

太陽光ファンドの利回り数%は魅力的な投資だが…

ここで、太陽光発電投資ファンドに関するネット上の情報を調べて分かったことを確認しておこう。要旨はだいたい次のような感じである:

  1. 利回りは5%~数%程度
  2. 元本保証なし(出資法第1条により、元本保証は禁止)
  3. 税法上は、事業所得または雑所得として申告
  4. 中途解約は不可
  5. リスク要因は、太陽光発電事業自体への投資と同様

ということで、運営する事業会社にもよるが、比較的低リスクで、それなりに高い利回りのリターンが見込めそうではある。

なにしろ銀行に預金しておくだけでは利息がほとんどつかない昨今、投資家にとっては利回りが5%でも大変魅力的に見えることは確かだ。

ただ、5つめのリスクについては、やはり地震保険のコストが高いため、それ以外の天災しか保険ではカバーされないこと、電力会社による出力抑制も起き得ることなどは認識しておく必要がある。

したがって、やはり太陽光への直接の投資と同様に、その太陽光発電投資ファンドがどこの太陽光発電所をどのように運営・維持管理しているかを良く見極めることが必要と言えそうだ。もちろん、運営主体の事業会社が信頼に足る企業・団体かどうかも重要である。

なお、最近明らかになった類似の投資ファンドの事例から一つだけ警鐘を鳴らしておきたい:

ワイン投資ファンド破綻、36億円償還できぬおそれ - 日本経済新聞
ワイン投資ファンドを運営するヴァンネット(東京・新宿)に対し、東京地裁は7日、破産手続きの開始を決定した。約520人が出資した約36億円が未償還になっているといい、償還を受けられない可能性がある。その他の債務も含め、負債総額は40億円を超え...

英語では、”no free lunch“(タダより高いものはない)などと表現することがよくある。

太陽光発電投資ファンドも投資家だけに美味しい儲け話だなどということでは決してないことを認識しつつ、余裕資金を信頼できそうなファンドに投資するということであれば悪くないように思う。

コメント

  1. 匿名希望=通りすがり(鬼) より:

    あと10年しかダメというのもねえ。
    (10年目以降は資金は他人で建設のファンド主が丸儲け。)
    経営に干渉されない融資みたいなもんです。

    おいしい商売みたいでやってみたいですが、ファンド生成までの
    手数と料金が・・・。

  2. ビッグふぃ~るど より:

    匿名希望=通りすがり(鬼)様、

    ご指摘通りで、10年後以降はファンド主が儲かるようにというのが、このビジネススキームの勘所かと思います。

    まぁ、それなりに手間暇や費用も掛かりますので、10年後以降にその分も回収しようということなんでしょう。