エネルギーと戦争、金融は互いに繋がっている

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Pacific War by Tompot (Creative Commons 2.5)

Pacific War by Tompot (Creative Commons 2.5)

(出典:「Pacific War」by Tompot, Creative Commons 2.5)

今日8月15日は終戦記念日。ということで、エネルギーとも関連が深い戦争のことを取り上げたい。ちょうど、筆者としても共鳴するところの多い、環境・社会活動家の田中優さんのメルマガが届いたので、そちらの全文をほぼ引用・転載させて頂く。
(見出しや太字の強調などは筆者による編集)

長文だが面白いエピソードも色々とあり、元の動画(約30分弱)も閲覧可能なので、よろしければ全部をご覧頂ければ幸いである。

ちなみに、もし戦争が起き日本本土にも敵軍がやってきて、われわれの太陽光発電所が破壊された場合、残念ながら保険は一切効かず賠償もされない。保険の免責事項として、戦争は保険が下りる場合の例外扱いとなっているからだ。(もしそんなバカな、と思われたら、是非ご自身の保険の説明書で免責条項をご確認頂きたい。)

だから、日本が戦争に巻き込まれるようなことは避けるのが得だし、そんなことにならないよう常日頃から気を付けなければならないと考えている。

★元の動画はこちら:

ウォン・ウィンツァンの千年カフェ vol.3 特別企画(収録日:2015/6/14)
「田中優・戦争のカラクリ・平和の実現、幸せとは」part.1

ぼく自身の環境活動家、もしくは社会運動家というのをやっていく中でのスタイルとしては、やっぱり「解決策を明瞭に考えて出す」、というところが必要なことだと思うんです。

だから問題点はあんな問題があるこんな問題がある、で放置されてしまうと、聞いた側は困るじゃないですか、「じゃあどうしたらいいの?何?未来ってないわけ?その無責任に放置してそれで終わり?」みたいなところで僕としてはそれがすごくスッキリしないので、調べていく時には解決策を見出すところまで調べる、というのが僕のやり方なんです。

そして講演会を頼まれてする時でも、基本的には終わり3分の1は解決策に費やす、問題点を最初3分の1いって、それを展開して最後は解決策を3分の1入れるというのがぼくの信条なんです。

それでウォンさんから頂いたテーマで優さんが今一番気にしていること、ということで僕は「戦争」って答えた訳ですけど、実は今、日本の状況というのは、ものすごくこっちに倒れるか、こっちに倒れるかの分水嶺に立っている状況にあるって僕は思っているんです。

どういうことかと言うと、まず僕は例えば戦争という風にとらえた時に、その戦争の原因って何?って追いかけていくわけですね。

■ 戦争・紛争地に共通する、ある5つのこと

今世界中で戦争がいろんな所で起こっていますが、実はそこには共通する、ある5つのことがあるんですよ。何かと言うとよく民族紛争だ、宗教紛争だと言われるけど、もしそれが事実なら手でも握って肩でも抱けば解決するはずですね。ところがそこに原因はないんですよ。

実は今戦争が起こっている地域は5つ:石油がとれるか、天然ガスがとれるか、それらのパイプラインが通るか、鉱物資源が豊かか、水が豊かか。この5つの地域でしかほとんどの紛争は起こっていないのにそこを捉えない訳です。

多くの人は宗教紛争・民族紛争と言ってカタをつけちゃうわけですが、それだったら手でも握って肩でも抱けば解決しますね?でもいくらそんな手を握って肩を抱かせても解決しないんですよ、資源の奪い合いだったら。

■ エネルギー資源の奪い合いを、無意味なものにしよう

だからその資源の中で圧倒的に大きいのがエネルギー資源だから、このエネルギーの問題を解決すれば、戦争なんかして石油を持ってきて「どうだいイラクで100万人殺しちゃったけど石油を持ってきてやったぞ」と言われた時に、「あ、ごめんね僕の家は石油が要らないんで、帰って」と言ってブッシュの息子を追い返すことができますね。

こういう構造が僕は必要だと思っていて、それで今エネルギーの中でも日本ではとりわけ電気エネルギーの問題がすごく重視されているわけですが、僕の家は2年半ほど前にエネルギー、電気を自給する形にしちゃったんですね。

太陽光発電とバッテリーを置いたらそれだけで暮らせるんですよ。別に努力忍耐なんてしてないです。なのに、普通に暮らすことが可能なんですね。

だったらこっちの方がいいんじゃないの?そして、現実に電力会社の送電線を切っちゃって、今はそこのメーターがあった部分には今もう何もないわけですが、そうなってみると、何で今までたかが電気ごときに命がけで発電をしていたの?そんなに熱くなるなよ、それほど大した問題じゃなんだからっていう風に感じますね。

それを他の人がもっと実感してくれて、その人が紹介してくれたらもっと広がっていく、そしたらいずれはエネルギーの奪い合いなんて、無意味なものになってくるだろうと思うんです。

■儲かる軍需企業

そしてもう一つすごく深刻な問題があるのは、実は軍需というのは一つの商品です。その軍需でおカネ儲けをするという方法があるんです。

その時に、実は世界のトップ100の軍需企業があります。その中に日本企業は必ず6つ毎回入るんです。だから日本は憲法9条を持っている国だから、だから軍需産業は小さいんじゃないかと思う人が多いけど、実は上位100位の中に6社必ず入るんです。

その6社必ず日本の企業が入っていくわけだけど、ところがそこにはひとつ面白い特徴がある。アメリカでは例えばボーイングとかこういう会社が軍需企業で、何とボーイング社の儲けの実に80%が軍事によって儲けを得ているんです。他の国の軍需企業を調べていってもだいたい8割くらい儲けを得ているわけですね。

ところが日本の企業、その6社は何と10%しか軍事では稼いでいないんですよ。例えば三菱重工、川崎重工、IHI(石川島播磨重工)、NEC、三菱電機、あと東芝が入っていたんですが今は東芝が落ちてDSNというスカパー、NEC、NTTファシリティーズーズ、この3つが一緒になって作った軍需企業、この会社は今までなかったのが、突然全世界の50番にいきなり上がってきたんですよ。何をやっているかと言うと、衛星通信技術で、百発百中で当てられますよという技術を作ったんです。だからスカパーとか入っているわけですね。

それでそういう会社は、実は軍需によって儲けている部分が10%しかない、ということは、世界の軍需企業と比較してみると伸びる余地がまだ10倍あるということです。だから今からその軍需の部分をもっと拡大しちゃおうぜとやっていけば、まだ10倍は稼げるんですね。

世界の軍需企業は8割を軍事で稼ぐわけでしょ?日本は10%しかない、まだまだ伸びる余地がある、ここの伸びる余地のところを伸ばしていって、経済に振り向けてしまおうというのが、正直言ってぼくは安倍政権のやろうとしていることだという風に思っています。

それでやられてしまうようになると、もういよいよ経済自体が不景気になっていった時に、何をしたらいいかわかりますね?戦争をすればいいんですよ。

アメリカの経済が現実にそうです。どんどん失業者が増えてきて経済が下がっていくと何をするか?戦争をするんですよ、だから戦争こそが最大の公共事業になっているのがアメリカの構図この構図を日本の中にもマネして入れようというのが今の動きだと思います。

■戦争と金融

今話したのがエネルギーの話でしょ、そして軍需企業の儲けの話でしょ、もう一つ大事なのが金融なんです。

実は昔は戦争と金融ってあまり関係なかったんです。戦争をする時に金融を利用することはあっても、金融そのものが戦争で儲けるというのはそれほどなかったんですね。実は日本が日露戦争をやった時って、イギリスを舞台にしてロシアと日本がどっちがボンド(債券)を発行できるかの競争をしていたんですよ。その競争に勝ったのは日本で、日本が債券を発行できるようになってこの時点で実は勝負がついたんですよ。日露戦争は日本が勝つ、なぜならば債券を発行して日本はお金をたくさん得たからです。

その後日本が太平洋戦争に入っていった時に、なぜ今度は負けてしまったかというと面白いことにその戦争をする相手こそがイギリスやアメリカだったので、債券の発行が不可能だったんです。だから日本は戦争をやっても勝てる見通しがあり得なかったんですね。

それで日本側はどうやって戦争をしようとしたかと言うと、アジアにどんどん侵略して行って、インドネシアってやたら資源を持っている国なのでそこまでもう一気に行ってインドネシアで石油を掘ってそれを売り払って、そのお金で戦争を継続していこうという風に考えてやったんですね。

だからその途中で例えばシンガポールとかものすごくたくさんの人が殺されているんですが、それは行きがけの駄賃なんですよ。別にそこは重要ではなかった。その先の地域のところを追いかけてそこで自転車操業をするつもりだったんですね。

ところがその自転車操業が結局アメリカがその物流の部分を切っちゃうわけです。それによって物流が止まると食糧品も届かなくて、実は日本の戦死者って、圧倒的に餓死・病死ですからね。そういう形になって負け戦になっていったわけですが。

これが現代では全く別な形態をとるようになりました。アメリカで1980年代に生まれた軍事専門の金融会社ができました。この会社はカーライルグループ、現状では世界で第一位の金融会社ですが、このカーライルグループは基本的に株を買って高くなったら儲けて売るというだけのことをやっているわけですが、これを軍事専門でやるんですよ。

ところが軍需企業は必ず売り先は国家にしか売れないわけですね。例えば僕の家が地雷が1個100円だから1ダース位買って庭に埋めとこうかなと思ったとしても売ってくれないでしょ?つまりそれは相手が必ず国家なんです。そこでカーライルの顧問のところにそれぞれの国の元首相、元大統領、元CIA長官、元MI6代表とかそういう人たちをずらっと並べて、その人たちの隠然たる圧力で、お前この会社のこの武器を買えと圧力をかけるんです。

それで言われた通りにその政府がカーライル企業の武器を買うと、株価がボーンと上がるわけですね。それで売って儲けるというのがカーライルです。

このカーライルはこの不景気の時代に平均の利益率が35%くらいあるんですよ。だからそこに投資するともの凄く利益が戻ってくるんですね。そのおかげで何と日本の中で政策投資銀行、皆さんの郵便貯金などを扱っているところですが、そこが50億円もカーライルに投資しているんですよ、皆さんの貯金を。

それをやれば儲かるからということでやられちゃっているんだけど、儲かるというだけの点でそういうことをやられちゃうと、結局軍事で儲けるためには戦争が必要だし、そのためには隠然たる元政治家の人たちの圧力が必要になり、これは究極のインサイダー取引です。

仲間内でやっているインサイダー取引で、そこの中の顧問に入っていいたのがパパブッシュ、ブッシュのパパです。元大統領だし元CIA長官だし。この人が入っている時にわざわざユナイテッドディフェンス社という株を買っているんです。そのおかげでユナイテッドディフェンスでクルセーダーという巨大な大砲を作ったんですがこれが重すぎて飛行機で運べないんですよ。

そのおかげで船で運ぶしかないんですが、今の戦争って3カ月あったら終わってしまうのに中東に運ぶまでに3カ月かかるんですよ。何バカなものを作っているのって株価が紙くず同然になりました。

ところが、そこに息子のブッシュが発注をかけたら、当然その株がボーンと上がるわけですね。それで売って儲けたのがカーライル、そしてパパブッシュです。こういうことを現実に世界ではもうやられていて、金融までが我々の社会を戦争社会に変えると儲かるという仕組みの方に移ってきてしまったんです。

■ 日本の軍需企業が得意とする通信衛星技術

今や日本の憲法9条も風前の灯状況になっているわけですが、それの意向は何かというと、結局日本の軍需企業をもっとパーセンテージの高い、軍事で利益が8割くらい、今の8倍くらいあがるように売るようにしちゃいましょうと、その時に重要なのものは何ですか?

今はやっぱり宇宙戦争の時代なんですね。昔スターウォーズ計画、そのあとミサイルディフェンス計画に変わっていって、今や宇宙から戦争をやるのが一番効果が高いということになって、それらのところに何が必要かというと、通信衛星技術、それとエンジン技術ミサイル技術なんです。

これこそ日本の軍需企業の最も得意とするジャンルなんです。そこのところを伸ばしていこうというところに今差し掛かっていて、そちらに転んじゃったら、残念ながらもう二度と戻れないと思います。

というのは、日本の経済は、今度は不況になったら戦争をする以外に立ち直る手立てがないという社会になってしまうからです。日本でも戦後よく言われたことがあるんです。

日本が戦後立ち直ったのは朝鮮戦争があって、その時にその朝鮮戦争の特需のおかげで経済は急激にアップしたんです。だから例えば経団連の年配の人などが平気で言うのが、もう1回朝鮮戦争があればいいのになぁ。そろそろ戦争をやらないと経済が立ち直らないよ、なんてことを平気で言うような人たちが現在の経団連にたくさんいるわけですが、そこに持っていってしまうかの分水嶺に今いるんですね。

その分水嶺に我々が立ちながら、それが分水嶺だと気付くことが必要なのになかなか気づくことができない、それがぼくはすごく気にかかっているところで、何とかしたいと思うんですね。

■ 戦争を美化しないこと

それでもう一つ思うのは、戦争に対して良いイメージを持ってしまっているいわゆる歴史的な修正主義、自分に都合の良いように歴史を修正しちゃう人たちが、戦争を美化していること、これがぼくはとっても怖いことだと思っています。実際に人間は、実は今ストレスがいっぱいあるような社会にいるから、何か、一気に戦争になっちゃえばいいのになぁと破壊衝動に駆られている若者も結構いるわけですが、ところが現実に行ってみるとどうなるかと言うと、実はそんなに美しい話にもならないし、戦うっていうのが無理なんですね。

■「クリスマス休戦」

これ実は面白いのが、いったん本に書いたんですが本がまだ出版されていないので今温めた原稿になってしまっているんですが、「クリスマス休戦」というのがあるんですよ。これは面白いですよ。

ヨーロッパの中で例えばイギリスとフランスとかその辺が戦争をしている時代に、もう100mしか離れていないところにお互いに壕を掘ってお互いに戦い続けるんだけど、そこで前に進んで撃ち殺されてしまった人は目の前で死体が転がったままなんですよね。そこでクリスマスがやってきた時に、相手側の方からクリスマスの歌を歌い始めるわけですよ、向かい側の塹壕で。

そしてそこにドイツの軍の人たちだったそうですが、燭台、いわゆるロウソクを立てるものですね、あれを「メリークリスマス!」と言いながら自分たちの戦っている上にこうかざしたんですね。そしたらそれを聞いていた反対側のイギリス軍、これはアイルランドの人たちだったそうですが、バグパイプの楽器を持っていて、その楽器で彼らがクリスマスの歌を歌い始めたら一緒になってバグパイプで演奏をつけたんです。

そこからさらに事態は進展して、一人の兵が「撃たないでくれ!撃たないでくれ!オレはとにかく今日はクリスマスだから戦争をしたくないんだけど、お互いにクリスマス休戦をやらないか撃たないでくれ」と言って出て行ってそれが撃たれなかったんですね。

そうしたら相手の塹壕からも人が出て行ってこっち側の塹壕からも人が出て行って何と酒盛りが始まっちゃうんですよ、クリスマスの最中にその100mしか離れていないところで。そして酒盛りが始まったあとじゃあとにかくオレたちとしてはこの兵士が可愛そうすぎるから埋葬してあげたいんだ、埋葬するのか、もちろんオレ達も手伝うと言って敵軍もその死体を運ぶのを手伝ってくれて、それでみんなで賛美歌を歌いながら埋葬するんです。

そういう風にして、でもこのまま戦争できなくなっちゃったら困るじゃないか、いや大丈夫だ戦争は再びやるからとお互いに話し合いながらやっていくんですね。

そしてサッカーもその時にやっていたんですよ。サッカーボールを一人が持っていて、サッカーを始めて思いきり蹴っちゃったら鉄城門に当たってボールが破裂してしまってそれでいきなりそのサッカーの試合は終わってしまったんですが。その後2日経った時点で、さぁじゃあお互いに塹壕に戻って戦争を再びやろうという風になって、じゃあラッパを吹いたらそれを合図に戦争に戻ろうという形で戻っていっているんですね。

実は人々は戦争なんかしたくなかったんですよ。本当にお互い殺し合いたくはなかった。特にお互いに交流してしまった後は「何でオレがあいつを殺さなきゃならないんだ?」とみんな葛藤したんです。

■ 戦争を終結させたゲリラ兵

その中でまた別な時点ですが、ぼくの友人がソロモン島に住んでいまして、ソロモン島のゲリラだったんですね。

ところが女・子どもを片っ端から殺すということをやってきたのにオレもう殺すの嫌だよ、この島、ブーゲンビル島というんですが、その島は30万人しか住んでいなくて、お互いに親戚や友達だったりするんですがそれがお互いに戦うので、オレはこんな仲間たちを殺し合うのはたくさんなんだと言って彼は部隊長だったので部隊長として命令するんです。

「相手を撃つな、撃つのは必ず空に向けて空砲を撃て、そして相手が追いかけてきたら手を振ってバイバイと言って去れ」と言って、やがて相手の方も何だこいつら戦う気がないんじゃないかと気付いて、そこに落書きもしていくんです:「We Love You.」俺たちはあなたのことが大好きだ、と言って落書きをしていくんです。

そこで現場のところから休戦がスタートしたんですよ。そして彼は休戦を実際に現場で起こしてしまったので軍法会議にかけられ、そして敵味方の会議にお前来いと言われ連れていかれてそこでマシンガンを目の前にドンと置いて「撃ちたければ撃って、オレはもう女子どもを殺すのはたくさんだ、オレは仲間を殺すために生きてきたわけじゃない、もう撃ちたければオレのことを撃てばいいじゃないか!」と言って、その戦争を終結させてしまったんです。

■ 爆弾から名物になった金門包丁

実はこういうことって世界にものすごくたくさんあって、実は中国と台湾の間も面白いんですね。金門島(きんもんとう)という島があるんですが、ここは中国側がすごく爆撃をしていて、最後まで爆撃していたんですが、その時にすごく質の良い爆弾を撃っていたので、その爆弾のカスをとってくるとその金属がものすごく良く使えるのでこれが包丁になったんです。金門包丁と言って金門島の名物になっていくんですね。

こんなことをやっていてもしょうがないんじゃないのってお互いに思い始めて、その内に相手に向けて撃っていた爆弾がマシンガンになり、マシンガンもその内に空に撃つだけになり、そして相手方に落としていた爆弾もそれももうやめようということでちらしを送るだけになり、そして戦争が結局そのまま止んでしまったんです。

人々は戦いたくなんてない、なのに何でこんな状況に追い込まれていくの?それは我々がうまい具合に我々の弱みを掴まれてそこから持って行かれているせいだと思うんです。

こうやって一所懸命働いてもお金にもならないような社会ですごく差別があって、なおかつ大金持ちが超大金持ちで貧乏な人はいくら働いても貧乏、そういうような社会の中で、人々はフラストレーションをためてこんな社会ぶち壊してしまえ、そのためだったら戦争でも何でもやっちまえっていう若者がやっぱり増えてくる、その人たちにこう美味しいエサを与えるわけですね。

■ 戦争は戦争依存症を生む

そしてもう一つ困るのが、戦争はやっぱり戦争依存症というものを生むんですよ。

というのは戦争の中では、人は意志を持ってはいけません。言われた通りに即座に動く訓練を受けます。そして仲間に対してはとにかく仲間を守ってお互いに不文律で簡単に体だけが動くように訓練されます。

そうすると人はその戦場の中にいると常に何も命令をされていないのに仲間がいたら助けて、そしてお互いにそこは連携して以心伝心もいい所ですね、お互いにもうぴっとわかりながら動くことができるようになる。それが懐かしくてしょうがなくなっちゃうんですよ、一度戦争に行っちゃった人は。

「あそこにいれば僕は役に立てる、僕の居場所はあそこにはあった」という風に戦争依存症になってしまうので、その戦争依存症にはまった人は傭兵になってでもその後もずっと戦争に関わり続けます。こういう人間を私たちの社会の中に作っちゃいけないと思うんですね。

今自衛隊はまだまだ甘いのでそういう意味では意志はまだ持てます。だけど訓練中は意志なんて持てないし、その意志をもたない状態にだんだん仕向けていって、いよいよ戦争だというところまでいったら、意志を持たないという人たちを量産することになっていくと思います。

それが今、分水嶺にいて我々どっちにいくの?っていうところにいると思うんですね。だからこれをどうやったら多くの人たちと共有した思いにすることができるのか、それがぼくとっても必要なことになってきているんだって思うんです。

■言葉で伝えよう

エモーショナルな、感情的な部分については、例えばぼくはさっき言ったようにウォンさんの音楽を聞くとすごく勇気が奮い立たされる、という意味での部分を作ることは可能だ。だけどそれのコンテンツは何?何のために動くの?そこの部分はやっぱり言葉でなければダメなんじゃないかなとぼくは思うんですよ。何のために私たちが抵抗するの?そこの部分は言葉でやらなくちゃいけないんじゃないか?それをどうやってエモーションとロジックを組み合わせて作ることができるんだろうって思うんですね。

■ 共時性がわれわれを豊かにする

ぼく、ウォンさんが大好きなのは、ウォンさんってとんでもなく社会問題に対して明るいわけですが、その時の視点が常にフェアなんですよ。絶対にどっちかに偏ったりって形で、自分に都合よく論理を作らないですね。

だからフェアということにものすごく敏感な意識を持っている、たぶん、アンフェアなことをいっぱいされた人なんだと思いますよ。だからあれだけフェアにすごく意識するんだと思うんだけど、そこがぼくはウォンさんのすごく好きなところで、だから彼が社会運動をやってその一方で音楽をやってくれる、これはある意味すごいセットなんじゃないかと思うんですね。

そういうところがウォンさんとぼくとが一緒にやっていくことができたらぼくはすっごく嬉しいし、ウォンさんが生きている時代にオレ生まれてきて本当に良かったって思うんですね。

こういう共時体験、同じ時を過ごすことができたっていう体験が、我々にとっての本当に幸せな時間を作るのかなって思うんです。音楽って面白いよね。だってCDで聞くことだってできるのに、ところがやっぱり同じ時間を過ごすことができたときの音楽ってまるで違うんだもの。

その共時性というのが我々をすごく豊かにするんだと思うんです。だからぼくはウォンさんとまぁあんまり(お互い若くないから)長くないけど死ぬまで一緒に付き合ってやっていきたいなと思うんですね。

part2へ続く

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