太陽光いじめに熱心な産経新聞に反論する

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御用メディアの産経がしつこく太陽光を攻撃

御用メディアの一つ、産経新聞がまた太陽光発電を攻撃している。

既定路線である固定価格買取制度の価格下落に加えて、悪徳ペンタゴン側の様々な手によって太陽光発電は相当にダメージを受けているのだが、まだ飽き足らないようだ。

世の中では、こういった「マスゴミ」の報道を真に受けて未だに信用している人もまだまだ多いので、ささやかながら本ブログで反論を記しておきたい。

この記事も渋々認めている通り、太陽光発電が真夏などのピーク電力需要に対応できるのは大きなメリットである。

一方で、この記事で指摘されているように電源としての性格上、太陽光発電がそのままで基幹電力になるということは確かに難しい。しかし、蓄電池など何らかのエネルギー貯蔵手段さえあれば、化石燃料に依存しなくても夜間や悪天候時でも電力を供給することが可能になる。

現時点の問題は蓄電池のコストがまだ高いことだが、米テスラの「パワーウォール」などが目指しているような低コストの蓄電池が市場に出回り普及すれば、問題は解決する。

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また、この記事では太陽光だけを取り上げてその欠点を執拗に攻め立てているが、クリーンなエネルギーとしては太陽光以外にも風力や水力、地熱、バイオマスなども使える。

特に、水力(特に、大規模なダムが不要な小水力)、地熱、バイオマスは、天候や時間帯によらずに発電が可能なため、これらをもっと増やせば火力や原子力を代替することは十分に可能だ。

残念ながら我が国では政府(経済産業省)が原発を推進する方針を掲げているため、太陽光以外の再エネを真剣に普及させるという姿勢をまだ示していない。先に発表されたエネルギー基本計画でも、非現実的な原発の再稼働や新設を前提として算入し、その分再エネの普及を抑え込んでいる。

熱で作った電気をまた熱に変える暖房のムダ

また、もう一つの論点として、冬の電力ピーク需要が暖房のため夜間に来る、という点については、上述の通り太陽光以外の再エネでカバーすること以外にも、電気を暖房に使うということ自体を見直すべきだ。

なぜかと言えば、エネルギーの利用効率が悪い、つまり無駄だからである。

ちょっと考えてみれば分かると思うが、火力にしろ原子力にしろ、基本的には水を加熱して水蒸気に換え、それでタービンを回すことによって電気を作るというのが基本的な仕組みである。

したがって、電気で暖房を賄うというのは、一度熱を発生させて電気を作り、その電気をまた熱に変えて暖を取っているということで、非常に無駄が多いエネルギーの使い方なのである。

だったら、なぜ最初に発生させる熱をそのまま暖房に使わないのだろうか。

もちろん、大規模な火力発電や原発の場合、そこで発生させる熱を消費地まで運ぶことが困難だから、熱をそのまま利用することも恐らく不可能だろう。ただ、だからと言ってエネルギーの無駄な使い方をそのままにして良いと言う話ではない。

ちなみにエネルギー効率で言えば、石炭火力は40~50%、原発は30~40%程度で、あまり効率の良い電源ではない。原発の場合、電気エネルギーとして使える高々30%程度以外は、原子炉を冷やす海水を暖めてそれを海に捨てるだけである。発電というより、無駄なお湯を沸かして、少しだけのエネルギーを電気に変えているというイメージだ。

我々が考えるべきことは、より効率よくエネルギーを使うことだろう。暖房なら、電気にこだわらず一次エネルギーを暖房にそのまま使う方法をもっと知恵を絞って考えれば良い話だ。

エネルギー全体で議論せず、太陽光だけを攻撃する愚

ちなみに、欧州など冬の寒さが厳しい地域では、熱供給の仕組みが発達している。
電気で熱を作るという地域ももちろんまだあるが、ドイツやデンマークなどでは、暖房の熱を供給するサービスが普及している。

また、暖房や調理などで熱を作ると同時に発電を行う熱電併給(コージェネレーション)もかなり普及している。日本でもコジェネが技術としては存在するのだが、再エネや蓄電池を普及させないのと同じ理由で、ほとんど普及していない。

こういった議論を一切無視して、まるで弱い者虐めのように太陽光だけを役立たずだと決めつける産経の報道姿勢には首をかしげるほかない。この記事は署名記事だが、こんなにレベルが低く無責任な記事しか書けない記者は名前を出して恥ずかしくないのか、と思う。

コメント

  1. 匿名希望=通りすがり(鬼) より:

    ドイツの再エネ政策が失敗という嘘もですね。
    実際まだドンドン出来てますし。実はFITバブル時のユーロは今の通貨価値の倍ぐらい
    あり、水ぶくれのユーロで海外からパネルを購入していたという経緯があるんですよね。
    さらに、そのファイナンスも海外から投資させていたので
    水ぶくれのユーロで燃料費タダのエネルギー源確保、さらに、メンテは国内産業になるため、ユーロの価値が下がっても、海外を泣かせているだけなんですよね・・・。

  2. ビッグふぃ~るど より:

    匿名希望=通りすがり(鬼)さま、

    ドイツの再エネに関しては、FITの賦課金負担が今は多分もっとも重いながら、あと数年もしたら、燃料費タダで減価償却も終わった(or すぐに終わる)発電設備が大量に存在し、再エネ普及が成功…といった展開になるのかと思っています。

    その頃に我が国のエネルギー安全保障がどうなっているのか。

    悪徳ペンタゴン体制から脱却できない霞が関(経産省)や現政権を見る限り、残念ながら悲観的にならざるを得ません。。

    国がろくに当てにならない以上、何がどう転んでも困らないように個人のレベルで食やエネルギーの安全保障を真剣に考えておかなければならないな、と強く感じます。