電気代が急に高くなったのはなぜ?
一昨日、物価高や値上げラッシュについて書いた。
今日はその続編として、電気代に焦点を当ててみたい。
恐らく我が家だけではないはずだが、食料品や身の回りの生活費に加えて電気代も急に高くなっている。セミリタイヤ生活であろうとなかろうと、電気代は安いに越したことは無い。
我が家で現在契約しているのは、東京電力ではなく新電力の一社であるLooop社の「Looopでんき」である。Looop社の電気料金も例外ではなく、電気代が高騰している。
論より証拠、まずは筆者宅の電気料金の推移をご覧頂こう:
グラフの見方だが、縦軸の左側が電力使用量[kWh]、同じく右側が電気料金(請求金額)[円]である。
また、横軸は月次で1月分から11月分までをプロットしているが、この〇月分というのは、実際にはその一月前に使用した電力なので一月ずらすと正確な料金になる。例えば2022年1月分の電気料金は、実際には2021年12月の1カ月間の電気料金である。
我が家は夫婦二人のみ世帯で、IH調理器のような電力多消費型の家電機器をほとんど使用していない。
なので、電気の使用量は毎月せいぜい100kWhから120~130kWhくらい、真夏の暑い時期でエアコンの冷房を頻繁に使用する8月(→このグラフでは9月分)でも140kWhちょっと。
ということで、電気料金(グラフの赤い折れ線)もだいたい3000円位を下限として高くても5500円位に収まっている。
ただ、このグラフで電気の使用量と電気料金の推移を見ると、直近の2ヵ月、つまり10月~11月にかけて異変が起きていることに気付く。
10~11月も電気料金が5500円近くの異常に高い水準に張り付いたままなのだ。
猛暑が終わってエアコンをあまり使わなくなっていくにつれて電気の消費量も減り、その結果として本来なら電気代もせいぜい3500円位まで下がるべきなのに、である。
ということで、この異変の原因がどこにあるのか、Looopでんきの電気料金データをCSV形式でダウンロードして内訳をよく調べてみた。
電気料金が急に異常に高くなった原因は「燃料費調整金額」
その結果、我が家の最近の電気代が高い原因が「燃料費調整金額」であることが判明した。
この燃料費調整金額、2022年の6月分位まではせいぜい100円台とか200円台なのだが、7月以降300円弱から400円を超えて、9月には900円ちょっと、10月~11月は2000円を超える金額になっている。
確かに、この2ヵ月の電気代5500円前後から燃料費調整金額の2000円を引くと3500円位となり、燃料費の高騰さえなければほぼその程度の電気代で収まっていたはずであることが分かる。
実はLooopでんきから、10月20日に電気料金の改訂を行う旨の通知がメールで届いていた。
この料金改定や理由に同意できない場合、解約して他の電力会社に切り替えてくれ、という文言も入っていた。
つまり、基本的には燃料費の高騰により従来の料金体系のままではモロに赤字となってしまうため、燃料代の高騰分を各顧客や需要家側に直接転嫁するための料金改訂だったのだろう。
筆者宅では取り合えず様子見を決め込み、電気代がどのように推移するかを見守っていた訳だが、他社に切り替えたところで恐らく燃料代の高騰の影響を多かれ少なかれ受けていたものと思われる。
ちなみに、当方では太陽光発電所のパワコン用の電力では、みんな電力、中国電力、グリーンピープルズパワーといった電力会社とも契約している。
パワコンの電気代は家庭の電気代と比較すると大幅に少ないが、それでも燃料代の高騰の影響を受けているだろう。
まだ影響が出ていない中国電力も、家庭向けの電力料金を平均31%以上値上げする旨を経済産業省に25日付けで申請したことが報じられていたので、認可されれば値上げされると思われる。
また、グリーンピープルズパワー(GPP)社も電気料金の改訂を行った旨を各顧客に連絡してきており、オンラインで説明会も開くなど燃料費高騰への対応に大わらわのようだ。
GPP社は、取引所(JEPX)からの電力調達で逆ザヤによって痛い目に遭っており、自社で調達する電気を非FIT再エネ電源など電力取引市場の高騰に影響を受けない電源に可及的速やかにシフトする方針を明らかにしているが、早く安定した経営基盤となることを祈念するばかりである。
翻って我が家だが、節電にも限度がある。
太陽光発電パネルを自宅の屋根上に取り付けている方々が羨ましい今日この頃だ。
この冬、暖房では高い電気を使わない方がおトクに…
この冬は電気代の高騰を前提として、暖房を見直す家庭や企業が増えるのではないだろうか。
筆者に言わせれば、石炭や天然ガスなど化石燃料を燃やす火力発電由来の電気を送電ロスを出しつつ遠くまで送り、その電気を暖房に使うというのは、エネルギーの無駄遣いも良い所で「愚の骨頂」だが、現実問題としてそういうオフィスは少なくないだろう。
しかし、これだけ電気代が高い状況だと、エアコンの暖房を使うのを止め、灯油やガスのファンヒーターやストーブを使う方がエネルギー効率が良くなり、経済的になるはずだ。
そもそも、日本はこれまで節電はともかく、住宅やオフィスビルの断熱性や気密性の改善による省エネ化をきちんと推進してこなかった。
今冬、そのツケを高い燃料費や電気代という形で払わざるを得ない家庭や会社もそれなりにあるのだろうが、今後はもっと建築物の省エネ化にも真面目に取り組んで欲しいものである。
(エネルギー関連は経済産業省・資源エネルギー庁、建築物は国土交通省という縦割り行政の弊害も多分にありそう…)
ちなみに、筆者宅には冷暖房のどちらにも使えるエアコンはあるが、冬場にエアコンの暖房はほとんど使っておらず、暖を取るために使うのは石油ストーブである。
(実は、昨年だかにそれまで使っていた石油ファンヒーターが壊れてしまい、オールドファッションのストーブに買い替えた…)
できれば引っ越してペレットストーブを導入し、化石燃料を燃やすライフスタイルを一日も早く卒業したいのだが…
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