愛川太陽光発電所・探訪記:パネル等

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愛川ソーラーパーク探訪記の続き>

愛川ソーラーパークのkW単価は34万円

愛川ソーラーパークの太陽光発電パネル防草対策、フェンスと来て、太陽光発電の主役であるソーラーパネル等について記す。

本来、太陽光発電のブログなのでパネルのことから書きたい所だが、生憎ソーラーパネルに関する情報が乏しい。

ということで、愛川太陽光発電所のパネルの詳細については、また分かり次第情報を追加したいが、現時点では分かる範囲で書いておきたい。

まず、愛川太陽光発電所の最大出力は既に書いた通り1896kW、パネルの総枚数は7902枚。これらの数字でパネル一枚当たりの出力を割り出すと、0.2399…となる。

この計算から、パネルの定格出力は240Wであると推測できる。これを基にして逆に出力を計算すると、240×7902=1896480=1896.48kW≒1.896MWとなる。

ソーラーパネルの設置角度=10°(愛川太陽光発電所)ソーラーパネルの設置角度は南向きで傾斜角が10°である。

神奈川県のホームページを見ると、30°が最も発電効率が良い事に触れつつ、パネルアレイの間隔(互いに影がかからなず最も短くする)や風圧対策などを10°の傾斜にした理由として挙げている。

確かにパネルアレイの間隔は、かなり詰め気味のようだ。

筆者と折衝を続けているH社の方も同じ理由で10°という浅い角度に言及していたが、売電収入を考えると、やはり発電効率も追及したいので、最低でも20°は欲しい。公営だと誰も直接の利害関係が無いから多少の発電効率は問題にならず、10°で簡単に結着できるのか、という気もする。

ソーラーパネルの製造メーカーは県か施工業者に問い合わせないと分からないが、恐らく公営ということで国内の製造者、それも神奈川県に拠点や工場を持つ企業のソーラーパネルではないかと想像する。今後、可能であれば確認してみたい。

ネットで愛川ソーラーパークの情報を探していると、施工業者が飛島建設などであることが分かった。この発電所の「さんてらすTOBHISHIMA」という別称を見てそれとなく感じてはいたのだが、飛島建設がEPCおよびネーミングライツ業者として関わった案件ということのようだ。

ちなみに同社の関連ホームページには、施工金額もきちんと記載されていた。その情報によると、請負代金額はおよそ6億4千万円である。

メガソーラーだと最近DIYキット等で格安の価格帯のものでも材料費だけでほぼ2億円、それに設置工事の工賃なども掛かる事を考えると、2メガ弱だからそんなところだろうと思う。

出力で施工請負代金額を単に割ると、337,552.7円となる。
つまり、愛川太陽光発電所のkW単価約34万円ということが分かる。

他の報道記事(日経電子版の2011年12月23日付記事)も調べてみると、神奈川県が愛川ソーラーパーク事業のために予算化した投資金額は8~10億円とあった。

かなり乖離があるが、その金額の数字は少し古い記事のものなので、実際に施工契約を締結する際にはパネル価格の下落なども反映されていた額で合意したのかもしれない。

愛川ソーラーパーク、メガソーラーでは珍しい杭基礎の架台を採用

愛川太陽光発電所の杭基礎架台

これまでにアップロード・掲載した写真からも既にお分かりの方も多いかもしれないが、愛川太陽光発電所の架台は地面に打ち込んだ(またはねじ込んだ)杭の基礎に組付けたタイプのものだ。

まだメガソーラーが日本でも珍しかった頃は、しっかりとしているもののコストも最もかかるコンクリート架台が一般的だったと認識している。

その意味で、愛川太陽光発電所の架台が筆者など多くの個人や中小事業者が運営する比較的小規模な産業用太陽光発電所でポピュラーな杭基礎を採用していたのは少々意外な気もした。

ここでコンクリート基礎ではなく杭基礎を採用した理由は恐らくコストの圧縮だろう。

コンクリート基礎で見積りを取っていないのでどの程度かという感覚が分からないが、すべてコンクリート基礎だとメガソーラーの場合やはり千万円単位でコストに跳ね返るのではないかと思う。

元々、愛川ソーラーパークが設置された土地は県が保有していたグラウンドだったということであり、大規模な造成も必要なく整地された状態だったことも、杭基礎を採用した理由かもしれない。

また、20年後にパネルを撤去する事になった場合にもコンクリート基礎は処分が大変だが、杭基礎だけなら処分が容易ということもあるだろう。

ソーラーパネルの架台(板棒の無いもの)@愛川ソーラーパークまた架台を見ているとパネルの下側に直方体の板か棒のようなものが吊られているものと何もないものと二つの種類がある事に気付いた。

 

架台(板棒のあるもの)@愛川ソーラーパークよく見ると、これは架台というより電気ケーブルを束ねたもののようだが、それによってパワコンへと発電した電気を送電しているのだろうと思う。

 

 

追尾式太陽光発電システム「クルパネくん」

愛川ソーラーパーク探訪記、プチソーラー運営者(予定w)視点ではほぼ書き尽くしたと思うが、オマケとして二点ほど付けたしたいことがあるので以下記しておく。

追尾式太陽光発電システム「クルパネくん」まず一つ目は、ソーラーパネルのアレイ(出力1.44kW)を1個だけ使った追尾式太陽光発電システム「クルパネくん」だ。

追尾式太陽光発電とは、その名の通り太陽光の高度や方角に合わせて発電効率が最大・最適になるように架台の角度を制御しながら発電を行う太陽光発電システムである。

追尾式太陽光発電「クルパネくん」これはソーラーパネルのアレイがわずか1個だけということからも売電目的というより、実験やデモンストレーション的な意味合いが濃いものだと考えられるが、愛川ソーラーパークを特徴づけるアクセサリー的なものの一つとして興味深い。

ちなみに、この「クルパネくん」と言う名称は、地元の愛川町立半原小学校の児童に募集した中から選ばれたものだそうである。太陽を追いかけてクルクルと回るパネルだから、という直観的な名前…まぁ分かり易いことは確かだw。

追尾式太陽光発電では、ソーラーパネルの角度を変えるために架台が機械仕掛けとなり、その分一般的な固定角度の架台に較べれば当然コストは余計に掛かる。

個人や中小事業者の視点では、恐らく誰もやらないと思う。

こういった遊び心があってもコストを考えると投下資金を一日でも早く回収したいからである。
そういう意味では、神奈川県のように自治体が率先してこういった実験的なことをやるというのは有りかもしれない。

愛川ソーラーパーク:EV(電気自動車)用の急速充電器

急速充電器とEV(リーフ)@愛川ソーラーパーク愛川ソーラーパーク探訪記として最後のネタはEV(電気自動車)用の急速充電器である。

固定価格買取制度の施行後、メガソーラーを始めとした産業用太陽光発電事業の市場の拡大が著しい。

一方、太陽光発電と同様にその将来に多くの期待がかかりつつも、中々期待通りに普及が拡大せず生みの苦しみを味わっているのが電気自動車である。

車両価格と共にEVの普及のカギを握る条件の一つが、充電インフラの整備状況である。2013年11月現在、国内には1800基以上の急速充電器、それに近い数かそれ以上の200V普通充電器などが設置されている。

ただ、電力会社の電気を使う限り、火力発電が主体であるため、ガソリン車よりははるかにクリーンではありつつも「ゼロエミッション」とは行かない。真のゼロエミッション走行を実現するためには、火力などではなくCO2を排出しない太陽光や風力などの再生可能エネルギー由来の電気を使う必要がある。

急速充電器@愛川ソーラーパークその意味では、愛川ソーラーパークに急速充電器(珍しい?GSユアサ製)が設置されているのは、EVの利用者にとっては自尊心をくすぐられるものがありそうだ。

何しろ太陽が出ている時なら、メガソーラーで発電された電気を充電できるので、真のゼロエミッション走行が出来るからである。

筆者は現在クルマを保有していないが、もしEVを持っていれば相模原方面を走る時には、恐らく頻繁に愛川ソーラーパークに寄って充電していただろう。

実際、筆者が先日愛川ソーラーパークで取材・見学を行っていた時にも相模ナンバーのリーフが二台ほど急速充電に来ていた。

プチソーラーに充電器というのは、場合によっては有りではないかと思う。例えば駐車場を経営している人や事業者が屋根にソーラーパネルを乗せたとき、EVやPHVユーザーの便宜のために急速充電器ではなくても200V普通充電が可能なコンセントを付けるというのは悪くないアイデアだと思う。

まだまだEVやPHVの数が少ないため、なかなか採算ベースでは考え難いかもしれないが、日当たりの良い場所にある駐車場の経営者の方にとっては魅力的な話に成りそうだ。

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