神奈川県愛甲郡愛川町にある神奈川県営のメガソーラー「湘南ベルマーレ愛川太陽光発電所1)(愛川ソーラーパーク・さんてらすTOBISHIMA)」を昨日(11/2土曜)見てきたので、以下ご報告したい。
これまでにもメガソーラーをいくつか見たことがあるが、自身で太陽光発電所を運営すると決めた後で見るメガソーラーは確か今回が初めてである。
面白いもので、単に見学や取材として見るのと、自身で太陽光発電所を保有・運用するための参考に見るのとでは、視点や見る所が変わってくるのだ。
今回筆者が参考にした点は、パネルとパワコンだけでなく架台、フェンス、防草対策などである。規模こそ違うものの、これらは産業用太陽光発電には必要不可欠なものであり、他の事例を見ることで、自身ではどうすべきか考える上でとても参考になる。
ただ、フェンスの中に入れずパネルやパワコンについては技術や仕様の詳細を確認できなかったので、ネット上の公開情報の確認や必要であれば県に問い合わせるなどしたい。
曇天で撮った愛川ソーラーパークの写真はイマイチだが…
ちなみに、この記事を書いている11/3(日)の天気は晴れ時々曇りで、概ね曇りでわずかに薄日が差した昨日より少し良い。
愛川町に本日行っていれば、もう少し見栄えの良い写真を撮れたかもしれないと思うと少し悔しい気持ちもある。
だが、昨日午前中の時点では本日は曇りのち雨になるという天気予報だったので、曇天で撮ったイマイチの写真については辛抱したい。
ソーラーパネルの写真は、当然ながら青い空を背景に太陽光を受けて光り輝いているのがやはりサマになる。曇っている中で撮ったものは見た目にイマイチだし、現地で表示される発電量もパッとしないのだ。
その点では、今年の夏ピッピさんに見せて頂いた施工中の太陽光発電所は未稼働で発電量表示も無かったが、ピーカンの良い天気で相当サマになっていた。滅茶苦茶に暑かったが…
曇りではメガソーラーとはいえ発電量もわずかに…
愛川ソーラーパークを筆者が見学した昨日は薄日が時折さすこともあったがほぼ曇天だった。このためメガソーラーといえど、発電電力量はその最大の出力から見ると極わずかだった。
愛川ソーラーパークの定格出力は、1896kW (=1.896MW)。
それに対してこの日は100kW程度から見学を終える前の時点では20kWと本来の発電能力の数パーセント台の電力しか発電していなかった。
太陽光発電の稼働率の平均が12%というのも、こういった曇天時の低い発電量も織り込んだ数字だからだが、まぁお天気任せの太陽光発電の宿命と受け入れるよりない。
電光掲示板(?)に表示された発電の状況はこんな感じで、しゃーないなと思いつつ、発電所内へと入っていく。
県の施設だが、一般への啓蒙を重視しているからか、土日も9~5時(冬季は午前10時~午後4時)で開いている。また、先にお伝えしたバスツアーだけでなく月に1回(毎月第4水曜日)見学会を実施しているそうなので、興味のある方は参加してみるのも良いと思う。
入り口から近い部分がソーラーパネル6328枚を敷き詰めた下段、その奥がパネルを1574枚を敷き詰めた上段である。上段と下段の間にはツツジ庭園が配置されている(写真)。
愛川ソーラーパーク内では散歩やピクニックも楽しめる
今回は晩秋で季節外れなためツツジを鑑賞することは出来なかったが、5月のツツジ開花の時期に来ればきっと満開のツツジとソーラーパネルの両方を楽しむことができるだろう。
ツツジ庭園に加えて、発電所の周囲には遊歩道や休憩するためのベンチやピクニック用のテーブルなどもある。だから、お弁当を持ってきて太陽光発電を鑑賞しつつ、散歩したりピクニックしたりということもできる。
実際に、筆者が見学している間、子供連れの女性が、今度は弁当を持って来ようね、等と話していたのが聞こえた。
また、遊歩道を利用してジョギングしている男性も見かけた(写真)。
いずれも近所の方だと思うが、自治体の太陽光発電所としては、こういうアメニティ、またはコミュニティ活動の拠点という有り方は一つの方法だと思う。
県営ということなので県民税で建設を賄っているはずで、東京電力への売電収入は県の収入となるから、それも何らかの形で県民に還元されるはずである。納税者としては、収支を明確にする限りサスティナブルな再生可能エネルギー発電に県が力を入れる事には吝かではない。
散歩なども前提とした二重構造のフェンス
愛川太陽光発電所は、企画当初から遊歩道を発電所の施設として設置することになっていたため、フェンスも遊歩道を前提として設置したものと思われる。
といっても、50kWを超える高圧契約のメガソーラーであり、どちらにしてもフェンスは必要になるので、あとはそのフェンス自体がどのような種類のものになるかだ。
写真を見れば分かるように、このフェンスは結構網の目が細かいもので、高さは170cm程度(筆者の身長が170cmにちょっと足りない程度で、自分の背丈で大雑把に測ったところ大体170cm程度と認識した結果)、二つの敷地をすべて取り囲んでいる。
発電所を一般に開放するという目的があるためだろうが、忍び返しや有刺鉄線などは無いが、フェンスの杭にはコンクリートの基礎をおいてあり、フェンスの施工としてはそれなりにコストをかけた造りだと感じた。
推測だが、メートル単価でも最低5千円、恐らくそれ以上ではないかと思う(愛川太陽光発電所のコスト詳細については、また後ほど触れる)。
公営つまり神奈川県営の発電所であり、一般開放を前提とする以上、ある程度コストが掛かるのは仕方がない。
しっかりとした造りにし、人が太陽光パネルのアレイに触れたり(ましてやケーブルやソーラーパネルが盗まれたり)、子供が誤って高圧の電線に触れて感電したりといった盗難や事故を未然に防がなければならないからだ。
ただ、個人や中小企業が売電による収益を目的として産業用太陽光発電事業を運営する観点からは、発電に寄与しない防草対策やフェンスに対しては、出来る限りコストを削減することをまず考えなければならない。
ついでながら、愛川ソーラーパークでは敷地内に遊歩道を整備するため、発電所を遊歩道と隔離するフェンスだけでなく、遊歩道を含む発電所の敷地を外部からも隔離するフェンスが必要となっている。つまり、フェンスが二重となっているのだ。
開所時間以外には施錠されていて中に入ることが出来ない。外側のフェンスはそのために設置されている。
これらの内外のフェンスの仕様自体は恐らくあまり違いが無いと思われるが、いずれにしても内外二重のフェンスだけで数百万~1000万円程度のコストになっていると思われる(続く)。
- ^神奈川県内での再生可能エネルギー地産地消の取り組みを推進するため、平成30年(2018年)4月に湘南電力株式会社が神奈川県企業庁とパートナー契約を締結した。これにより、愛川太陽光発電所には「湘南ベルマーレ愛川太陽光発電所」という愛称がつけられている。
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