住宅用太陽光発電システム、やはり10kW以上がお得?

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依然として10kW以上が主流、住宅用太陽光発電システム

住宅用の太陽光発電について、売電を目的とした10kW以上(産業用)が加速するだろうという予測を2年ほど前に書いていた:

住宅用の太陽光発電、10kWが加速
12月14日(土)の「エコプロダクツ展2013」を取材してきた。 太陽光発電ムラのしげる会・セミナーがあったため、午後の早い時間に2時間ほどしか会場にはいられなかったのだが、十分に収穫はあった。 今後の住宅用太陽光発電、主流はズバリ10kW

その後、九州電力ショックや出力抑制の強制などによって産業用太陽光発電の市場が冷え込んでしまい、実はそれほど心配しなくても大丈夫と言われている住宅用の太陽光発電システムの市場セグメントも共倒れとなっている。

ただ、住宅メーカーでは大手のセキスイハイムやパナホーム、トヨタホーム、などに加えてアキュラホームや岡山のイシンホームといった中堅や地場の企業までが、搭載する太陽光発電システムは現在でも10kW以上をウリにしている。

最近の関連ニュースで、次のようなくだりがあった:

アキュラホームの担当者に話を聞いてみた。同社では、10kW以上の太陽光発電を標準で搭載し、その売電収入で住宅ローンの負担を大幅に軽減する「太陽を活かす家W」を2015年の秋冬に限定販売していた。<中略>必要に応じて賃貸併用住宅に変更し、その収入を売電収入と合わせることで住宅ローン実質0円を目指すことを可能にしている…

(出典:Economic News 「2015年の住宅市場を賑わわせた、賃貸併用住宅の魅力とは?」)

賃貸併用と言っても空室リスクが付いて回る点には本記事でも言及されており、人口減少時代に対応するにはやはり一味違った考え方が必要なことは明らかだ。

太陽光発電に関しては、産業用の買取価格が27円/kWhの現在でも、10kW未満で35円または33円/kWhの住宅用余剰買取より10kWの全量売電の方が確かに有利と考える。

売電価格が低くても20年間の売電の方が高収益

まず、買取期間が20年で余剰買取の10年より長く売電価格が低くても倍の期間で売電する方が収益が大きいからだ。

ざっくりと計算してみると、例えばパナソニックやセキスイハイム、アキュラホームなど多くのハウスメーカーが搭載する10kW以上(10.4kW)で買取価格27円、稼働率12%として計算してみると、20年間の収益は以下の通り:

10.4kW×20×365×24×0.12×27円/kWh≒5,903,539円

一方、太陽光10kW未満の余剰買取で売電価格35円、稼働率12%、システムの出力を最大の9.9kWとし、最大限に節電した場合として計算してみると、10年間の収益は

10.4kW×10×365×24×0.12×35円/kWh=3,642,408円

となり、10年間よりも20年間の売電の方が収益が約226万円も多いことが分かる。

なお、簡単のために、この発電量と売電収益の試算では太陽光パネルの劣化は無視した。同種のパネルを搭載していれば、どちらも同じ様に劣化すると考えられるので、収益の差額もほぼ同程度の結果になると想定。

また、余剰買取の10年間が終了後、発電した電気を新電力などに買い取ってもらえる可能性もなくはない。ただ、10年後のことであり現時点でその保証はないため、本試算では10年後以降は単に「ゼロ」と仮定した。

全量では消費税額分も上乗せされ、余剰との差が拡大

もう一つ、重要な点は、産業用の全量買取では売電収益に消費税が付加されることだ。

この4月からは軽減税率が適用され現在と同じ8%の消費税が適用される食品などを除くと、他の財やサービスにはすべて10%の消費税が容赦なくかかる。

ところが、発電・売電事業者にはその消費税が支払われ、課税売上高が1000万円以下の免税事業者の場合は納税義務がない。いわゆる「益税」だが、増税される中、合法的に節税する手段という解釈もできる。

この点も考慮すると、上述の売電収益は、

10.4kW×20×365×24×0.12×27円/kWh×1.08≒6,375,822円

となり、消費税8%でも約47万円のプラスとなり、余剰買取との差が一段と広がる。

もっとも、この制度を利用する事業者の数が増え無視できないと税務当局が判断すれば、制度を改定して消費税を全事業者に払わせるといった展開になる可能性はもちろんあるが。

住居の屋根上設置では事業所得にならない点に注意

産業用太陽光発電で全量買取とした場合、事業所得として損益通算によって節税を行いたい訳だが、自住する住宅の場合は経済産業省の指針では一般に事業所得ではなく雑所得としてしか認められない点には注意が必要かもしれない。

この点を考慮すると、屋根上の太陽光では余剰発電にして電気代をゼロにすることだけに絞り、10kW以上の全量買取はどこか自宅以外の屋根を借りるなり、野立てで運用するなりと分ける方が良いと言う判断もあるかもしれない。

個人の太陽光発電で事業所得にする方法
個人の太陽光発電でも事業所得として申告できる 最近、時節がらということで確定申告について少し書いた。 これに関して、朗報があったので、当方ブログでも記しておきたい。 (これもNさんから教えて頂いたもの。ありがとうございます。) 元々のネタは

10kWクラス太陽光発電システムの面積と設置費用

10kWの太陽光パネル構成例(1)

10kWの太陽光パネル構成例(1)

最後に、10kW規模の太陽光発電システムの設置面積や費用について。

住宅用の太陽光発電システムで10kWの面積は、多結晶シリコン250W~260Wの標準的な大きさ(1m×1.6m位)を採用する場合、40枚のパネルを使うので屋根が最小で約64~65㎡以上の面積であれば搭載が可能だ。

 

10kWの構成例(2)

10kWの構成例(2)

10kWの構成例(3) - 寄棟の場合

10kWの構成例(3) – 寄棟の場合

単結晶で300W以上のソーラーパネルであれば、30~35枚となり必要な面積は48㎡~56㎡となり、もう少し小さい屋根でも載せることができる。

太陽光10kWの設置費用は、工事費にもよるが、現在の最安値に近いシステムならkW単価が11万円~といった広告も見るので、

部材だけなら110万円~、工事費を入れても200万~250万円(工事費込みのkW単価=20万~25万円)くらいにとどめることも可能ではないだろうか。

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