Tigo Energyの取り付け体験会・見学会
昨日、「Tigo Energy(タイゴエナジー)」による太陽光発電システムのモニタリングを導入される、りょん@fppvさんの取り付け体験会・見学会(太陽光発電ムラ共催)に参加したので、ご報告したい。
テーマとしてはかなりニッチというか、絞り込まれた内容ではあったが、今回のイベントにも筆者を含む十数名が参加し、盛況のうちに無事終了した。
こういった施工体験・見学会は、主催する側にとっては施工業者に頼めば数十万円はかかるところを大幅にコストダウン出来るし、参加する側にとっても勉強になり、太陽光発電システムに対する理解を深めることが出来、一石二鳥だと思う。
今後も、この種のイベントを各地でどしどし企画、実行して行けたら良いと考えている。
今回の取り付け体験会の現場となった通称「ねぎソーラー」は、今年の春頃に施工体験会が実施された場所でもあったが、その頃は一部の施工をお手伝いさせて頂いただけで、当然ながらそれ以外のソーラーパネルは設置されていなかった。
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その後、この太陽光発電所のEPCであるSTJさんや太陽光発電ムラのピッピさんらが残りの作業を行い、3つあった低圧の太陽光発電所がすべて完成、連系されて売電も行っていると聞いていたが、今回のイベントで実際に現地を見て確認でき感慨深いものがあった。
Tigo Energyにより、太陽光発電による電力量を最適化
さて、Tigo Energyのモニタリング・システムだが、これは単なるモニタリング機能だけのためのものではなく、正確には発電電力量の「最適化」を目的としたシステムであるという。
例えば、あるストリングのソーラーモジュールに陰がかかったり、あるいは故障したりして発電しなくなったとき、一般的な太陽光発電ではTigo Energyのような仕組みが無ければそのモジュールだけでなくそのストリング全体が影響を受け売電量が低下してしまう。
だが、このTigo Energyのシステムは問題のあるモジュールを自動的にストリングから切り離して他のモジュールが影響を受けないようにすることが出来るという、非常に洗練された仕組みなのだそうである。
Tigo Energyに関するQ&A、その他
先にTigo Energyについて記した時、本ブログ読者のsekiya殿よりコメントにてご質問を頂いていたので、それに対する回答も忘れない内に記しておきたい。
関連記事:太陽光パネル毎に遠隔監視できたら?
- 後付けは可能か
Tigo Energyシステムの後付けは可能である。(取付の詳細については後述。)
- 施主自ら施工は可能か?
DIYによる施工も、今回の取り付け体験会のように可能と思われる。
ただし、ソーラーパネル2枚につき1個の「マキシマイザー」を取り付ける必要があるため、250Wのパネルを200枚使った50kWのプチソーラーだと、100個のマキシマイザーをすべて取り付けることになる。
この場合、発電所のオーナーが一人では、相当に時間がかかる。もし取り付け方が分かった人が4~5人集まれば、1人当たり20~25個のマキシマイザー設置となり、これなら1日あれば作業が終わるだろう。(+これにマキシマイザー管理ユニット(MMU)の取り付けや電源の接続などの作業も必要)
- 他の監視システムと比べてコストはどうか?
マキシマイザーの単価はざっくりと100ドル程度ということである。したがって、上述のような50kWの太陽光発電システムの場合、100個のマキシマイザーを使うので為替レートにもよるが、単純に1ドル100円とすれば、100万円+MMUや配線の費用、それに施工業者に頼めば工事費が必要になるので、120~150万円程度といったところだろうか。
このシステムの通信には格安SIMとWiFiルータが使えるとのことなので、通信費は月に1000円程度でも運用が可能だ。また、Tigo Energyが用意するオプションの管理機能(データの保存が可能)を使えば、年に70ドルとのことだが、これはクラウド型の他のモニタリング・システムと比べてもそれほど高い訳でもないと思われる。
設置と運用コストのトータルは、遠隔監視システムの絶対額としては相当に高いように思える。
だが、ソーラーパネル1枚毎の遠隔監視が行えることに加えて、既に述べたようにこのシステムが単にモニタリングだけではなく、故障したソーラーパネルの切り離しなどにより発電量の最適化の機能を持っていることを考えると、O&M自動化のコストと捉えれば、それ程高いものでは無いとも言えそうだ。
20秒で理解する、Tigo Energyの取り付け
Tigo Energyシステムの取り付けについて、せっかく実際に取り付けを体験したこともあり、このまま忘れてしまうのももったいないので、筆者自身の備忘録も兼ねてもう少し詳しくお伝えしておこう。(より正確な取付方法については、りょん@fppvさんのブログもご参照されたい。)
太陽光発電パネル2枚につき1個を取り付けるマキシマイザーだが、これは簡単に言えば通常は一つのストリングに何枚かのソーラーパネルが直列接続されるところを、マキシマイザーを途中に噛ませることによって、ソーラーパネルの制御と観測を行うものである。
りょん@fppvさんの太陽光発電システムの場合、次の図のように接続を行った。
慣れないうちは接続を間違えると大変だなぁと戦々恐々だったのだが、実際の作業自体は身体で覚えてしまうとそれほど難しいものではなかった。
簡単に言えば、Tigo Energyマキシマイザーにある6本のケーブルのうち、両側の長いケーブル2本が両隣のマキシマイザー(ストリングの端の場合、パワコンへの接続ケーブル)に繋がる。
一番短い2本のケーブルの対は、近いパネルのケーブルと繋ぎ、少し長い2本のケーブルはもう一枚の少し遠いパネルのケーブルに繋ぐ。
ソーラーパネルのケーブルのソケットはオス(+)とメス(-)がきちんと決まっているので、プラスとプラス同士、あるいはマイナスとマイナス同士を誤って繋ぐと言った失敗は起きないのがありがたい。
このように接続の仕方が分かれば、あとはそれを繰り返すだけである。
りょんさん曰くこれは「人海戦術」が必要ということで、取り付け体験会ではそれに必要な人員が集まっていた訳だ。
なお、Tigo Energyのモニタリング・システムは今回のように既存の太陽光発電所にも設置が可能な訳だが、もし施工前にこれを取り付ける検討をしているのであれば、最初から太陽光発電所の施工の段階で取り付けてしまう方が、二度手間と余計なコストにならずに済むということは言える。
今回のように、ボランティアの手が借りられるのであれば、後付けの工事費をゼロかそれに近いレベルで抑えることが可能だが、施工業者にやってもらうのであれば当然それなりの工事費がかかる。(ある方が業者からもらった見積りでは、30~40万円程度。)
したがって、一度太陽光発電所を施工した後でストリングに相互接続されているソーラーパネルのケーブルを外し、Tigo Energyマキシマイザーを取り付けてケーブルを接続するという作業は2度手間となるので、その分の工事費がかなりもったいないことは確かだ。
(続く)
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