この1カ月弱ほど、鹿嶋の5号基で遠隔監視システムがダウンして(アクセスできない状態で)いた。
当初、原因は天候不順によるオフグリッド電源のバッテリー切れだと思っていたのだが、実際にはそれに加えてLTEルータの故障も発生していたことが判明した。
結果的に、電源周りの増強に加えてLTEルータの交換も行うことになり、本日午前中にやっと復旧した。
5号基の遠隔監視システム復旧にあたって色々と学びや気付きも多かったので、自らの備忘録も兼ねて本ブログに記しておく。
太陽光オフグリッド電源のバッテリー構成、どうするのが良い?
バッテリーに関しては、「M27MF」互換品というかなり大容量(105Ah、CCA=625A)で耐久性の高いものを採用している。
今回、復旧のため新たに用意したバッテリーテスターやバッテリー充電器を使ったのだが、測定して判明したバッテリーの劣化は50%ほどとなっていた(つまり、現時点のバッテリー容量は新品時の50%くらいか)。
同じ鹿嶋の3号基や大竹市の6号基などでは、蓄電池システムとしての容量はほぼ同じだが、バッテリー一つで105Ahという容量ではなく、50~60Ahのバッテリーを2つ並列接続することでほぼ同容量の蓄電池システムを実現している。
バッテリーが使用しているうちにだんだん劣化していくことを考えると、一つで大容量のバッテリーとするよりも、複数のバッテリーで同程度の容量にする方が、メンテナンスのし易さやコストという点で優るのではと今は思う。
大容量のバッテリーは重い(鉛の塊だから当然だが…)うえ高価ということもあるし、容量の多少にかかわらず劣化するのであれば、小さめの安いバッテリーを頻繁に交換したり回復させたりする方が実際的でメリットが大きいのかもと感じる。
また、バッテリー充電器で「パルス充電」を行うことで劣化したバッテリーの回復を試みたのだが、これは当初期待していたほど上手く行かず、どちらかと言えば期待外れに終わった。
バッテリーの容量は、50%からせいぜい60%ほどまでしか改善しなかったからだ。
それでも、バッテリーテスターによる測定結果ではまだバッテリーとして一応使えるレベルには回復できたので、今回はそのまま結線して復旧させたのだが、恐らくそう遠くない将来に劣化が進み使えなくなったバッテリーをまた交換しなければならなくなるだろう。
FITの残存期間より、5号基ではまだ15年位稼働させる必要がある訳だが、もしかすると次にバッテリーを交換する際には従来の鉛蓄電池ではなく、リン酸鉄系リチウムイオン電池のバッテリーにする方が取り回しが楽なうえ長い目で見れば得になる可能性もあるかもしれない。
LTEルータを「Aterm HT100LN」から「UD-LT2」に交換
LTEルータについては、遠隔監視システムがダウンした先月末までは正常に動作していたのだが、しばらく電源がダウンしたことも原因なのか、電源を入れても起動しなくなってしまった。
こちらでは、NEC系の「Aterm HT100LN」という機種を採用していたのだが、電源を入れても4Gネットワークに接続されなくなり、初期化が必要な状態になってしまった。
念のため、サポートセンターにも連絡してみたところ、以下のような回答を頂いた:
Atermテクニカルサポート担当:〇〇です。
Atermシリーズをご愛顧いただき、ありがとうございます。
ご連絡をいただきました件につきまして、以下に回答致します。Q:(お客様のご質問)
→ どういう状態(故障?)か、復旧は可能か、復旧可能な場合はその方法を知りたい。
リセットボタンを押してリセットは試したが、状態に変化なし。
再設定が面倒なので、工場出荷時への初期化はまだ試していない。→ 電源を入れると、PowerとWiFi、センターのランプがすべて長い間隔で点滅する
(ランプが3つとも同時に点灯してしばらく消える、これをずっと繰り返す)。A:(ご質問への回答)
お問合せ頂きまして有難うございます。
HT100LNをご愛用賜り御礼申し上げます。>(ランプが3つとも同時に点灯してしばらく消える、これをずっと繰り返す)。
以下参照し初期化を実施願います。
Atermの初期化手順
https://www.aterm.jp/support/qa/qa_external/00262/110.html初期化出来次第、起動出来るかお確かめ願います。
初期化出来ない、もしくは、初期化出来るが同様な状況が再発する場合は
以下のAterm修理窓口にて修理対応させて頂きます。最も修理費用が掛かった場合
概算修理費用 16,000円
程度発生する可能性がございます。お見積り費用如何により、お買い換え頂いた方が安価な場合もございます。
ご検討頂きます様、お願い致します。
そこで、仕方なく工場出荷時の状態に戻す初期化を試みたのだが、残念ながらうまく行かなかった(LTEルータの状態に変化なし)。
新品の購入より修理代の方が高くつく可能性や、より長期的にはやはり産業用途での使用を前提としたLTE/IoTルータの方がメンテナンス面では優ること等も考慮し、代替品への交換を決めた。
他の発電所でも何ヵ所かで使用しているHT100LNは気に入っているのだが、今回の故障の仕方を見て同じHT100LNへの置き換えだとまた3年位で故障するかも…と懸念したからである。
ということで、今回はI-Oデータ社の産業用IoT向けLTEルータ「UD-LT2」を調達し、Aterm HT100LNを入れていた箱に設置した。
LTEルータとしての機能や消費電力はいずれもほぼ同等なうえ、UD-LT2の方は動作する温度範囲が本来家庭用のHT100LNより広いことや定期的に再起動させることも出来る点など、やはり産業用途での利用ではHT100LNより勝る点もいくつかあるので、今後またHT100LNが故障した発電所ではUD-LT2で置き換えていく方向で考えている。
スマートプラグや監視カメラの設定は次回に持ち越し…
なお、今回の遠隔監視システム復旧作業では、生憎スマートフォンも調子が悪かったため、負荷のオンオフを制御するためのスマートプラグや監視カメラの再設定は次回に延期することを余儀なくされた。
思うに、最近の監視カメラ等は何でもかんでもスマートフォンで設定や監視そのものを行う前提となっているものが大半なのだが、ひとたびスマホが壊れたり紛失したりすると何も出来なくなってしまうというのが大きなデメリットである。
こういった辺り、監視カメラやスマートプラグのメーカーさんはせめてパソコンでも同様の設定や監視が行えるようにする手段も提供するなど出来ないものだろうか。
もう一つ監視カメラについては、違う機種にするとその度に違うアプリをまたインストールしなければいけないのも、正直ウザい。何とかならないのかと最近つくづく思うのだ。
色々と学べたことも多かったが、高くついた「授業料」を反省
今回の一連のメンテ作業では、結果的に1ヵ月の間に3回も発電所まで往復せざるを得なくなり、今後はもう少し段取りや準備を改善しなければと思った。
LTEルータの故障については、もっと早く状態を確認できていたはずなのに、サポートセンターへの問い合わせ等を迅速に行わなかったため、代替機の調達が遅れ、結果的に復旧までの期間が長引くこととなった。
このため、出張の旅費や交換用のLTEルータ、さらにはその他の出費も合わせると、10万円を超える額を費やしてしまったので反省している。
特に今回の5号基のメンテナンスで最大の失敗が、レンタカーにまつわる費用。
5号基に行くには現地で発電所のすぐ手前にある篠竹の藪の中の細い道を通らないと入口までたどり着けないのだが、2回目の前回、レンタカーで現地まで行った際に小さい傷を車体に結構つけてしまい、レンタカー業者さんから塗装板金代の弁償費用を請求されてしまったのである:
この弁償は、正直痛かった。
その業者さんでは実は1年か2年くらい前にも同様の傷を返却時に指摘されたことがあった。
その時は大目に見てもらっていたのだが、今回は結果的にその時の分までツケを支払った格好。
悪いのは借り物のクルマに傷を付けた自分だと分かってはいるのだが、客としては「クルマを事故で使えなくした訳でもないのに…」という甘えがある。
恐らくこの業者さんでクルマを借りることは、もう無いだろう。
(もしかしたら、タチの悪い客だから、もう二度と借りに来ないようにと、敢えて弁償を請求したのかもしれないが…… ワイの考えすぎ?)
ちなみに、同じブランドでわりと近くにもう一ヵ所あるレンタカー業者さんを鹿嶋ではよく利用している。
こちらはかなり大雑把でw、クルマもどちらかと言えば古くて年季が入っているせいか、チェックも結構緩くてあまり五月蠅いことを言われないので、今後は専らそちらでクルマを借りることになりそうだ。
なお、今回はその大雑把な方のレンタカー屋さんとカーシェアリングでクルマを借りたのだが、念のために篠竹を刈払機で刈り込んで車体に傷をつけないよう細心の注意を払ったことを申し添えておく。
今後も、必要に応じて篠竹の藪に進入する前に篠竹を刈るなど十分気を付けるつもりではある。
高い「授業料」にはもうコリゴリなので…。
ともかく、本日の作業完了で当方も取り合えず仕事納めとなった。
(確定申告の準備とか、色々とやらなければならないコトはあるのだが…)
皆様もどうぞよいお年をお迎えください。
コメント
うちは1台だけ、UD-LT1がありますが、壊れて修理に出しました。2万円ほど修理にかかりました。産業用だからといって油断はできません。
他社の産業用は全部で9台(すべて中古で購入)ありますが、これまで壊れたのは1台のみです。これも無線LANが使えなくなっただけで、4G/LTEの接続は元気です。
カメラはなるべく同じアプリを使えるもので揃えてはいますが、それでも4種類アプリを使っています。いろいろとリスクに備えるという点からも、1種類にそろえるよりは2-3種類くらいがいいのではと思っています。
りょん@fppv殿、
コメントおよび貴重な情報をご提供下さり、どうもありがとうございます。
なるほど、家庭用より頑丈・堅牢なはずの産業用でも油断大敵なんですか、うーん…
とはいえ産業用と謳う以上、UD-LT2はせめてHT100LNと同等以上の3年、できれば5年は故障ナシで稼働して欲しいところです。
でないと、HT100LNより高い金額のLTEルータを買う意味がありませんので。。。
監視カメラ、悩ましいですよね。
私は監視カメラが3種、その結果アプリも3つとなってしまいました。
そのうえ、現在スマホが瀕死?状態で、カメラやスマートプラグの設定をまた最初から全部やり直しになるかもです。_| ̄|○
リスク分散という意味では、確かにアリかもしれないですが…
けど、やはりアプリをその都度いちいち全部入れなきゃってのはウザくて面倒なので、ハードはバラバラでも監視カメラ閲覧は全部ウェブブラウザだけでOKとか、そういう形が理想ですね。
監視カメラを新しく入れる度に、なぜ違うアプリをイチイチ入れさせるのか、ちょっと理解に苦しみます(企業の好きな、囲い込みってヤツ?)。
>とはいえ産業用と謳う以上、UD-LT2はせめてHT100LNと同等以上の3年、
>できれば5年は故障ナシで稼働して欲しいところです。
アイ・オー・データ機器さんはちょっとなあ・・・という印象をもっています。他社さんの
産業用のは中古で買ったものでも問題ないものが大半なのですが・・・。
>監視カメラを新しく入れる度に、なぜ違うアプリをイチイチ入れさせるのか、ちょっと
>理解に苦しみます(企業の好きな、囲い込みってヤツ?)。
多くの製造元は複数台持つユーザーのことをそれほどは深くは考えていないように
思えます。(OEM供給元の言いなりというかそのもう1つ上流のレベルで決まっていると
いう感じっぽいです。同じブランドのカメラでも、モデルが違ったりモデルチェンジを
するとアプリが別だったりもするので・・・。)
りょん@fppv殿、
>アイ・オー・データ機器さんはちょっとなあ・・・という印象
なるほど、そうなんですね。留意しておこうと思います。
>多くの製造元は複数台持つユーザーのことをそれほどは深くは考えていないように
確かにまー、そういうことなんでしょうね。
どちらかと言えば、それよりもユーザー側が面倒だからと一社に集中させる方が売上は増えそうですしね。もちろん、その一社になれれば、ですが。。