(「LED照明は今や常識だが、昼に不要とするには?」の続き)
田中優さんの「オフグリッド・ミニマムハウス」新居について、いくつかのハイライトを記してきた。この記事で一応打ち止めとし、まとめとしておきたい。
筆者の認識では、オフグリッドというのは単に電力会社の系統網と繋げていないだけで、それ以外は一般的なエコハウスやゼロエネルギー住宅などの作りと基本的には同じである。
強いて言えば、外部から一切電気を供給されなくなるために、蓄電池は太陽光が発電しない場合も考慮してある程度以上の容量が必要となることが、オフグリッドと一般的なエコ住宅との最大の違いと言えるだろう。
パッシブ性能に関しても、基本は同じ。あとは、家の主がどこまでこだわるか。
田中優さんの場合、「天然住宅」仕様+αということで、断熱の方法や木造の工法(「板倉造り」や気仙大工の刻みという職人技を採用)、それに虫対策などに彼自身のこだわりを反映させた形となった。
一戸建ての家をゼロから作る場合は、非常に自由度が高い訳で、設計や材料、工法の選択などによってそれこそ数えきれない位の組合せの可能性がある。
今回の優さんの例では、天然住宅仕様を基本としながらも彼自身の好みや主義主張を徹底的に反映させた結果、本当に個性的で素晴らしいオフグリッド・エコ住宅が完成したことは間違いない。
一方で、単に著名な優さんがこうしたからという理由だけで、他の施主やオーナーとなる方が盲信的に真似すると潜在的に危険な項目があったということも指摘しておきたい。
盲信的にマネすると危険な省エネ手法には注意が必要
例えば、昨日の記事でご紹介した天窓。これは、施工の技術や品質が確かな工務店や大工さんにやってもらわないと、雨漏りが発生して後から泣きを見る可能性がないとは言えない。
もう一つ、これもSさんが鋭く指摘していたことで、屋内に設置したガス給湯器。
これは、太陽熱温水器だけでは湯の温度が足りない場合に利用するものだが、屋内に設置することによって凍結防止装置などが頻繁に作動して無駄な電気を消費することを回避したもの。
しかし、現在では一般に屋外に設置するガス給湯器を屋内に設置すると、故障や誤動作が起きて不完全燃焼が発生した場合に、一酸化炭素(CO)が屋内に充満して中毒を起こす危険性があることに留意は必要だ。最悪の場合、一酸化炭素中毒は生命に関わるからだ。
この辺り、優さんが何らかの対策を行っているのか、あるいは構造的にそういった心配が無い給湯器なのかなど見学会では聞き損なってしまったのだが、小さな子供のいる家庭などでは事故のリスクもあるので特に気を付けておく方が良いと思った。
雨漏り程度であれば、雨の滴が漏る箇所にバケツでも置いておけば命に別状はないが、せっかくの素敵なオフグリッド・エコハウスで年間にたかだか何千円かの電気代をケチって一酸化炭素中毒で重傷…なんてのは洒落にならない。
ともあれ、今回の見学会ではオフグリッドのエコハウスに関して大変に勉強になったし、たくさんの刺激を受けた。
いつになるか、また最初から100%オフグリッドで行くかも分からないのだが、筆者もこのようなエコハウスを作って住むことで快適かつ地球に優しい暮らしを日々楽しみたいとの思いを新たにした次第。
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