太陽光発電で後悔しないために:設置費用のトレンド

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家庭用太陽光発電システム

住宅用太陽光発電システムの例

太陽光発電(家庭用)では、本当に7割も損をするのか?

家庭用(住宅用)太陽光発電システムの設置費用のトレンドをちょっと調べ、分析してみた。

家庭用では、最近の傾向として戸建てで新築の家屋を立てる際にかなりの割合の方が太陽光発電システムも設備の一部として工務店やハウスビルダーに依頼することが多いという。

既築の住宅に後付けする場合ももちろん多いが、屋根の耐荷重などが新築の時点で考慮されていなかったりすると設置が困難なことも多いので、最初から設置しておく方が後悔したりすることが無いというメリットも確かにあるだろう。

筆者は未だに団地暮らしのため、自身の家庭用にはまだ太陽光を設置していないが、西日本に移住ないし二地点居住することになった場合には自宅で消費する電気くらいは、やはり太陽光で賄いたいと考えているからである。

また、最近ある友人からSNSで「離れの改築時にソーラーシステムを屋根に置けないか、考えている」と相談を受けたことも、家庭用太陽光発電の市場動向をもう少し勉強しようと思った理由の一つだ。

その友人は太陽光発電といっても売電はせず、「自家消費を前提に考えている。災害時の停電を家内が不安に感じているので蓄電池も」とのことだったが、見積もりや価格についてまだあまり良く知らないとのことで、産業用ながらその辺では多少なりとも知識のある筆者に打診したとのことだった。

筆者としても、友人が太陽光発電を導入して後悔などして欲しくないこともあり、太陽光発電のデメリットなども含めて可能な限りのアドバイスをさせて頂いた。今後、彼が太陽光発電を実際に導入する際にも力になれればと思っている。

家庭用太陽光発電のkW単価、産業用よりは高いが…

太陽光発電の仕組み自体は、産業用でも家庭用でも基本的にあまり変わらないものの、太陽光発電システムの価格を1kWに換算した額、つまりkW単価は、規模の経済より一般には「家庭用>産業用」となる。

ネット上には、太陽光発電の一括見積もりサービスを提供する事業者がおり、それらのホームページを見ると、大体の相場が分かる。設置費用が安い方だと1kWあたり25万円、経済産業省の公式資料を引用していた少々高い所でも1kWあたり29万円である(図)。


家庭用太陽光発電システムのkW単価の例(公開情報を基に筆者作成)

参考までに、最近の日経が報じていた記事で米国のテスラ社が公式ホームページに記載している太陽光発電システムの価格はW当たり1.49ドル、円換算で150円~160円位なので、1kWでは約15万~16万円となり、やはりかなり安い。

日経の記事では、テスラの価格はサンラン等の競合他社より3割強安いとのことなので、米国の家庭用太陽光発電システムの相場は1kWあたり22.5万円~24万円くらいと推測できる。

kW単価だけでは、実感がわかないという方もおられると思う。そこで、家庭用太陽光発電システムの平均的な設備容量として、4.5kWの場合で価格を計算すると下表のようになる:

  米テスラ 米国相場 一括見積A社 経済産業省
価格 [万円] 72 108 112.5 130.5
平均的な家庭用太陽光発電システム(4.5kW)の価格の差異(筆者作成)

日本の家庭用太陽光発電システムの価格も案外安くなったと感じられるのだが、読者の皆様はどう思われるだろうか。

筆者も実際に計算してみて、4.5kW~5kW程度の太陽光発電システムであれば、既に100万円を少し上回る程度まで価格が下がっているというのは少し驚きでもあった。

固定価格買取制度(FIT)によって太陽光パネルやパワーコンディショナー(パワコン/PCS)等の部材コストがFIT導入以前よりも大幅に下落しており、この程度の価格なら「ウチの屋根にも載せたい」と感じられる方も結構多いのではないかと思う。

また、現在ではネット上で部材を調達し工事の大半をDIYで行うか(庭が広ければ、屋根上ではなく庭に設置すればDIYも容易、ただし電気工事では電気工事士の有資格者が必要)、分離発注で請け負ってくれる業者を見つけることができれば、さらに安くあげることもできるだろう(要確認)。

太陽光発電で元を取るには、何年かかる?

では、太陽光発電を導入したとして、どの位の期間で元を取ることができるだろうか。

ここまでの試算から、4.5kWの太陽光発電システムを部材・工事両方込みで120万円で購入できたと仮定する。

電気代は、家族の構成や保有する家電機器、電力消費パターンなど様々な要因によって大きく変わってくるが、例えば1月当たりの電気代が1万円の場合、120カ月、つまり10年で元が取れ、それ以降は電気代がタダになりお釣りが来る計算だ。

オール電化住宅など電気をたくさん使う家庭で電気代が月に2万円を超えるような方であれば、60カ月=わずか5年で元が取れる。FITによる余剰売電ナシでも、すぐに太陽光パネルを設置すべきかもしれない。

自動車をガソリンや軽油を燃料とする従来のクルマから電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車に買い替えれば、燃料代も浮く。(ただし、EVを導入するのであれば、4.5kWだと少々心許ないので、太陽光パネルを10kW程度まで増設する方が安心かもしれない。)

ちなみに筆者の家では、月の電気代はせいぜい3000円~5000円程度である。

したがって、上述の計算では20年経たないと元が取れないことになるが、クリーンな電気を自分で創り、電力会社の石炭火力や原子力による「ダーティ」な電気を一切使わなくて済むという精神的な満足感も得られるのが大きなメリットだと考える。

ちなみに、太陽光発電システムの寿命がFIT期間終了後すぐに来るということは通常なく、太陽光パネルは30年~半永久的に持つと言われる(ただ、何枚~何十枚もあるパネルの中には劣化してしまうものも絶対にないとはいえないが)。

一方、パワコンは電子部品などの耐久性などから故障することもあるので、運が悪いとFIT期間中でも修理や交換の必要があることに留意しておく方が良いだろう。

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