既にご存じの方もいらっしゃるかとは思うが、九州電力が再生可能エネルギー発電設備の接続に対する回答保留の一部解除を本日発表した。
低圧はOKだが、「みなし高圧」は依然として厳しい
今回の措置による変化は、低圧連係の発電所で工事費負担金請求書を送付済みのものに対しては、回答を行うよ、ということである。ただし、これには条件が付いており、
9月24日までに申込みを完了しているもの(敷地分割を除く)
ただし、9月24日時点の申込み内容からの変更(増設および設置形態の変更)は、原則として回答保留の対象
というのが九電による変更の骨子だ。
この措置によって、50kW未満の低圧連系による太陽光発電所でハシゴを外されていた方々が少なからず連系可能になると思われる。
ただ、上述の中に「(敷地分割を除く)」とあるのは、みなし高圧で申請されたものについては、今回の措置の後も回答保留の対象になるということのようだ。
実は、先の投稿でご紹介させて頂いたI様のことが気にかかっている。
彼のメールには、みなし高圧で保留されていたのかも、という懸念が記されていたのだが、今回の救済措置でも見なし高圧はダメだということであれば、I様にとっては状況に変化は無いということになる。
いずれにしても、回答を待ちわびていた時点で見なし高圧がダメならダメとはっきり回答しない方にも責任があると思われるので、ここは大人しく引き下がらずにとにかく言うべきことを言っておくべきかと思う。
高コストの蓄電池併設が少ないことを見越した慇懃無礼
もう一つ、これまでに書き忘れていたことがあったので、ついでに記す。
まず、上述の九電の発表の中にある次のくだり:
なお、回答保留期間中においても、事業者さまが太陽光・風力発電設備への蓄電池の併設や、バイオマス・地熱・水力発電の出力調整など、昼間に電力を系統へ流さない方策をご提案される場合は、電力の安定供給に影響を及ぼさないことから、個別に協議をさせていただきます。
これは、確かに再エネによる電力が系統に受け入れられる可能性があるという点では評価できる。しかし、太陽光や風力での蓄電池の併設については、現状のコストでは発電事業者側で採算が取れるかは微妙だ。
何らかの手段で非常に安く蓄電池を調達できれば、可能性として無くは無いと思うものの、筆者のように普通の個人や零細企業の太陽光発電事業者にとって、蓄電池は数百万円程度のコストアップとなり、32円/kWhの買取価格では収益が出るかどうか分からないからだ。
恐らくそこまで見越して、高コストの蓄電池を付けられるものなら付けてみろ、という九電の慇懃無礼で高飛車な姿勢がそこはかとなく感じられるのだ。
バイオマス、地熱、水力についても、似たようなもの。
太陽光に較べると、これらの電源はもともと参入障壁が高い。
だから、これらについては別に回答保留などしなくても、元々発電事業を行う事業者が少ないから、九電が心配する必要はほとんど無いはずである。
ともかく、今回の措置で息を吹き返す太陽光発電事業者の方は安堵の溜息をついていることだろう。
ただ、連携工事費などで法外な値段を提示される可能性も残っているので、安心するのはまだ早いと思うが、今回の措置で太陽光発電事業から退場せずに済んだ方々の健闘を祈りたい。
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