500W、600Wは当たり前?「SNEC2020」にみる太陽光パネル高出力化

トリナソーラーの高出力ソーラーパネル「Vertex」シリーズの製品資料(暫定版)市場動向
トリナソーラーの高出力ソーラーパネル「Vertex」シリーズの製品資料(暫定版)
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中国・上海のSNEC2020、500W超の高出力パネルが百花繚乱に

8月7日から10日まで中国の上海で開催された「第14回 SNEC国際太陽光発電、スマートエネルギー(上海)展示フォーラム」(SNEC2020)では、多くの太陽光パネルメーカーが出力500W~600Wの高出力ソーラーパネルを発表ないし展示した。

700W~800Wという超高出力のソーラーパネルを展示したJAソーラーやトンウェイソーラーといった企業もあった。

現状の新型コロナ禍のため、残念ながら筆者が直接取材した訳ではないのだが、pv magazineやPV Tech.orgといった英語メディアのネットニュースがSNEC2020の模様をかなり詳しく報じている。また、トリナソーラーなど大手メーカーの一部は代理店を介して顧客向けにカタログやデータシート(ただし暫定版)の配布を既に開始している:

トリナソーラーの高出力ソーラーパネル「Vertex」シリーズの製品資料(暫定版)

トリナソーラーの高出力ソーラーパネル「Vertex」(600W)の製品資料(暫定版)

このようなソーラーパネルの大出力化は、既存の技術を複数組み合わせて実現されているケースが多い。

具体的には、高出力化に向く単結晶シリコンを採用した太陽電池セル、両面発電、PERC(裏面不動態式セル)技術、マルチバスバー(MBB)化、ハーフセル化・1/3セル化などの各技術だ。

では、このような高出力ないし超高出力のパネルが従来のソーラーパネルと比較して高価格になるのかと言えば、ワット(W)ないしキロワット(kW)ベースの単価では、恐らく現在と同等またはそれ以下に留まるとみられる。

高出力化に最も寄与する? ソーラーパネルの大型化

なぜなら、これらの高出力化技術の合わせ技に加え、太陽電池セルの大口径化とソーラーパネルの大型化が高出力化に最も寄与していると考えられるからだ(下表)。

メーカー名製品名出力 [W]太陽電池セルの
サイズ [mm]
パネル寸法
[mm2]
パネル重量
[kg]
ジンコソーラーTiger Pro610182
JAソーラーJumboBlue800210
トリナソーラーVertex6002102172×130335.3
カナディアン
ソーラー
HiKu6
BiHiKu6
5901822438×113531.0
LONGiソーラーHi-MO 55401822256×113332.3

中国の主要ソーラーパネル・メーカーがSNEC2020で発表した高出力パネルの例(公開情報を基に筆者作成)

一言でいえば、最新の高出力パネルはデカいのだ。

最初に上述のような英語メディアの記事のタイトルを見た時には、一体どんな革新的な技術を使って500Wもの高出力ソーラーパネルを実現したのかと思ったのだが、高出力化に最も寄与しているのは、「力技」とも言えるパネルの大型化だろう。

これまでも60セル(ハーフセルなら120セル)で1m×1.6~1.7mの大きさのパネルから、72セル(同144セル)で1m×2m程度へとメガソーラー(大規模太陽光発電所)などの産業用向けを中心にパネルの大型化が進んできたのは読者諸兄もご存じかと思う。

今後は、ハーフセルで120セルのパネルが1.1m~1.3m×2.1m~2.4mほどと、従来のハーフセル120個の太陽光パネルより一回り大きい(かつ重い)ソーラーパネルが産業用で主流となる可能性が出てきたのである。

太陽光パネルのメーカー側としては、産業用などの顧客や市場からの「より低コストかつより高出力・大容量のパネルを」という要望や需要に応える形でこれらの高出力パネルを開発、市場投入するということらしい。

産業用は大型の高出力パネル、家庭用は従来サイズでソーラーパネルの棲み分けが進むのか…

ただ、我が日本市場を見た場合、産業用はともかく、住宅用・家庭用の市場セグメントに向けて500Wや600Wといった最新かつ大型の高出力ソーラーパネルが販売されるかは微妙に思われる。

なぜなら、富裕層の人が暮らすような大邸宅であれば話は別だが、比較的こじんまりした一戸建て住宅の屋根上、そこそこの規模のマンションやオフィスビルの屋上に太陽光パネルを並べる場合、一枚当たりのサイズが大きすぎると扱い難くなってしまうからだ。

となると、メガソーラーなどの産業用では大型の高出力パネル、家庭用では従来サイズのパネル、といった適材適所の棲み分けがより鮮明に始まるのかもしれない。

産業用に関しては、これらの大型高出力ソーラーパネルを採用すれば、例えば設備容量が1.2MWのメガソーラーでは従来サイズで300Wのパネルなら4000枚を並べる必要がある所を、600Wの高出力パネルであれば半分の2000枚で済むことになる。

大型化や重量の増加に伴ってパネル一枚当たりの設置工事の手間暇や労力はやや増加すると考えられるものの、パネル自体に加えて架台や基礎、留め具、配線ケーブルなどの数量が大幅に削減されるため、トリナソーラーによると「トータルではLCOE(均等化発電原価)が2~3%程度削減できる」という。メーカーによっては、それ以上の数字を出しているところもある。

LONGiソーラーの製品資料。では、同社の高出力パネルによってLCOEが低減できることを示している

LONGiソーラーの製品資料。同社の高出力パネル「Hi-MO5」によってLCOEを低減できることを示している

 

今回各社が発表したような高出力パネルが実際に市場に出回るのは今夏以降とみられるが、今年の秋~冬、さらには来年以降に出荷が本格化すると、高圧のミドルソーラーやメガソーラーを中心にこれらの高出力パネルの採用例が増加する可能性もありそうだ。

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