PV Japan 2015で必見の展示ブース7社は?

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PVJapan 2015

陰りの見える「PV Japan 2015」だが…

太陽光発電に関する総合イベント「PV Japan 2015」が、いよいよ今週7/29の水曜日から東京ビッグサイトで開催される。

ttp://solar-nenkin.com/event/pv-japan-2015-as-a-general-event-of-pv/

先の「九州電力ショック」やそれに付随して導入された無制限の出力抑制(の可能性)、今年度からの買い取り価格引き下げ、さらにはこういった太陽光発電に対する逆風を背景とした金融機関の融資絞り込みなどにより、太陽光発電市場はFIT導入後わずか3年あまりでピークを迎えた感がある。

PV Japanの出展規模データをちょっと比べただけでも、それは明らかだ。

例えば、前回PVJapan2014では出展社数は160社・団体、展示小間数は585小間だった。今年PVJapan2015では、それぞれ153社・団体(前年比、-7)、527小間(同、-58)と規模が縮小していることが見て取れる。

出展社の中でも、特に多額のイベント予算を費やしてくれる「ゴールドスポンサー」や「シルバースポンサー」も、減ったり、ゴールドからシルバーにランクを落したりといった動きが顕著だ。

国内のソーラーパネル・メーカーで言えば、昨年シルバースポンサーで出展していた京セラは、今年出展すら見送っている。(巨額赤字で苦しんでいるシャープですら、ゴールドスポンサーの位置を維持しているのに…まぁ、これには色々としがら…もとい、大人の事情があるのだろうw。)

太陽光発電ベンチャーでこの種のイベントでは元気のよいLooopも、昨年のゴールドスポンサーから今回はシルバーに節約しての出展。主催者の太陽光発電協会(JPEA)は、恐らく相当に強く各企業に働きかけ今年も出展するよう要請したのではと推察する。

一方で、「捨てる神あれば拾う神あり」とでも言おうか、テスラモーターズジャパンのように今年初めて出展する企業もある。また、これまでに既に発表済みの製品などでも今回のPV Japanが展示会では初めてのお披露目といったものも結構あるので、それらについては忘れずにチェックしておきたいところ。

ということで、筆者がPVJapan 2015を取材に行く場合に、必見と考えている企業・ブースを以下にいくつかご紹介しよう。

  1. Looop
  2. XSOL(エクソル)
  3. シャープ
  4. ソーラーフロンティア
  5. トリナ・ソーラー
  6. パナソニック
  7. テスラモーターズ

1. 住宅用に参入するLooop(ループ)の勝算は

まずトップバッターは、太陽光発電ベンチャーの雄、Looopだ。

国内の大手メーカーが住宅用を中心に事業展開してきたなか、Looopは産業用発電、それも大手がさらに手を出さない低圧連系の自作キットなどを中心の事業で急成長を遂げた。

そのLooop社が、今年は住宅用の太陽光発電システムやソリューションを出展するという。
産業用と住宅用では、客層や売り方が相当に異なる。ブランドも、産業用ではかなり知名度が上がってきたが、住宅用ではほぼゼロだ。

こういう状況で、Looopがどのような事業戦略や製品ファミリで住宅用の市場セグメントで闘おうとしているのか、筆者としてはこの辺が最も興味深いところ。また、既に発表のあったソーラーモジュールの新製品「Nextough(ネクスタフ)」の市場投入の進捗状況なども知りたい。

Looopが考える"太陽光発電所のリノベーション"
(「太陽光発電ベンチャーの雄・Looopの事業説明会に参加」の続き) 太陽光発電所のリノベーション/リフォーム この自己紹介では、一番奥の席で中村社長の正面に座った筆者が最後だった。既に自己紹介が終わった6名の方で、太陽光発電をされていた方...

代表取締役社長の中村創一郎氏に直接話が聞けるかは微妙だが、可能ならチャレンジしてみたいと思う。

2. 坂本龍一氏のCMと言えば… XSOL(エクソル)

お次はXSOLエクソル)。筆者の認識では、太陽光発電システムの市場では中堅どころというXSOLだが、ミュージシャンの坂本龍一氏を起用したCMはご存知の方も多いだろう。ちなみに、当初の社名はエクソルではなく、グリーンテック販売(株)である。その後、グリーンテック(株)に社名を一度変更し、2年程前に太陽光発電のブランドだった「XSOL(エクソル)」を社名に変更したばかりだ。

エクソルはテレビCMも打っているし年間売上高が約460億円(2014年5月期)、従業員数は500名(同)とかなり大規模な会社だが、調べてみると実は非上場企業である(上場や株式公開の予定があるのかは不明)。

さてそのエクソルの太陽光発電システムだが、今回のPV Japanで必見と思うのは「エクソルラック」という専用の太陽光パネル(「ワンタッチモジュール」)と架台の組み合わせだ。これは、確かに設置の施工効率が大幅に向上しそうであり、どのようなモノなのかを実際に見ておきたい。(ちなみに、3月のPV Expo 2015でもこの製品は出展済みのようだが、筆者はこの時点では完全にノーマークだった…)

あと、エクソルも「X-5」という置き基礎架台を開発していたようで、これはPV Expoの時点では開発中とあるが、今回どうなっているのかチェックしておきたい。

ちなみに、エクソルは最近の経営不安により巷で話題となっているインリーソーラーのパネルを扱ったりもしている。

インリーソーラーに見る潜在的チャイナ・リスク
インリーグリーンエナジーが経営危機に 中国インリーグリーンエナジー(Yingli Green Energy、中国語では英利緑色能源。以下、通称のインリーソーラー)の経営が危機に陥っているようだ。第一報は太陽王子のブログから得たのだが、その後...

一方で、PVJapan2015ではオリジナル太陽電池モジュールの出展もあるようで、製品ラインナップの拡充にも余念がないようだ。

3. シャープ(展示会に出展している場合?)

シャープについては、最近ひとつ記事を書いたばかりである:

シャープ、巨額赤字で太陽光発電事業から撤退?
巨額の赤字にあえぐシャープ、危機を脱するのはいつか? シャープの2015年第2四半期(4~6月期)の営業赤字が300億円台になるとの見通しが明らかになった。 「中国のスマホ向け液晶パネルの需要が低迷」したのが直接の原因という。シャープの主力...

経営状況に関しての興味もひとしおだが、もともとは「目の付け所がシャープでしょ」というキャッチコピーで一世を風靡したように、商品のコンセプトや技術力が売りだったのである。

今回のPV Japanでは、「ブラックソーラー」新製品の220シリーズ、太陽光発電システムと連携させて使用するクラウド蓄電池システムやクラウドHEMS等を出展するということなので、それらを吟味したい。(いずれも住宅用がメインのターゲットで、産業用の製品はあまり無さそう。)

4. ソーラーフロンティアには「曲がる太陽電池」を期待

筆者も2号基で採用したCIS太陽光発電モジュールのソーラーフロンティア、PVJapan2015での見どころは、何と言っても恐らく今回のブースで参考出展すると期待される(少なくとも筆者は大いに期待している)「世界初の曲がる太陽光発電パネル」だ:

ソーラーフロンティア、世界初の曲がる太陽光パネルを2018年に発売
ソーラーフロンティアが曲がる太陽光パネルを2018年に発売するという。 ソーラーフロンティアの「ベンダブルCIS太陽電池モジュール」 (出所:ソーラーフロンティア) 日経電子版のニュース報道を見て、ソーラーフロンティアのホームページを確認し...

PV Japan 2015の公式サイトの情報では、

30年以上にわたる研究開発に基づく「CIS薄膜太陽電池」を中心に出展をします。

とあり、それ以上に出展内容に関する情報が乏しいので、曲がる太陽電池は今回出展されない可能性も多分にあるのだが、無いと(´・ω・`)ガッカリ…することは間違いない(笑)。

それに、これまではタダの来場者でしかなかったが、今回は「御社のCISパネル『SF170-S』のユーザです!」と胸を張って言えるので、立場上はこちらが有利(なんのこっちゃw?)。是非、ソラフロのブースを訪れて偉ぶりたい(冗談w)。

5. 世界一の太陽電池メーカー、トリナソーラーは…

今回のPV Japanで訪れてみたい出展ブースで中国系ではただ一つ、ズバリ、トリナ・ソーラー。中華パネル最大にして世界一(件のインリーを蹴落とし…)となったトリナソーラーの見どころは、・・・なんて書いていて、JPEAの出展社情報を確認してみると、あらら・・・?

なんと、世界最大の太陽光発電パネル・メーカーとなったトリナすらPV Japan 2015の出展を見送っていた。

そんなトリナ・ソーラーだが、しかるべき消息筋によると、東京での本イベントはバックれて出展しない代わり、次のイベントには関係者が姿を現すと聞いている:

http://www.suzukacircuit.jp/solarcar_s/

それは、トリナ・ソーラーがこのソーラーカー・レースに出場している大阪産業大学のソーラーカー・チームをスポンサーしているからだ。筆者も、もし可能であれば8/1のソーラーカー・レースを取材してみたい気もしている。トリナ・ソーラーがスポンサーする大阪産業大が優勝、または上位に食い込むのか、PV Japanの終了後だが留意していたい。

6. パナソニックでは「HIT」新製品をチェック

パナソニックについても、本ブログにて最近一本記事を書いた:

https://solar-nenkin.com/manufacturer/panasonic/hit-250-alpha-plus-etc-w-cost-questionable/

ということで、PV Japanにおいても新製品の「P250αPlus」などを中心にチェックしておきたいと考えている。また、パナソニックは、テスラモーターズ(=テスラエナジー)にもリチウムイオン電池を供給しているということもあり、リチウムイオン蓄電システム(住宅用と産業用の両方)や「スマートHEMS」なども見ておきたい考えだ。

7. マジで「Model S」だけ? テスラモーターズ

筆者としてチェックしておきたい出展社ブース、7つ目でキリ良くこの記事の最後は、ズバリ「テスラモーターズTesla Motors)」だ。念のために、PVJapan2015の掲載情報をチェックしてみると…

【出展製品】
500km以上という安心の航続距離とスポーティな性能に加え、ソフトウエアで自動運転技術などを追加していく楽しさたっぷりのモデルS。<以下略>

( ゚Д゚)ハァ?

これは、、、一体・・・

少し前に本ブログの記事では、今回のテスラによる出展は「パワーウォール」のお披露目が狙いだと予想した:

テスラ、「パワーウォール」を「PV Japan 2015」に出展?
テスラモーターズがPV Japanに出展する狙いとは 太陽光発電業界の主要イベントの一つ「PV Japan」が今年も今月末に開催される。 ということで、太陽光発電協会(JPEA)の「PV Japan 2015」公式サイトでボチボチ取材のため...

筆者が何か勘違いしているのか、テスラがサプライズのためにまだトボケているのか。その答は、この水曜日に分かるだろう。

念のため、筆者の勘違いでは無かった場合の予想を一つ。

最近、米国で開催された太陽光発電の展示会「Intersolar North America」では、テスラCTO(創業メンバーの一員)のJB・ストローベル氏が「パワーウォール」について開会で講演を行い、聴衆の耳目を集めたという。

テスラが「パワーウォール」の発表を「PV Japan 2015」で行うとした場合、どこの誰が発表するかが日本市場をどれだけ真剣に考えているかのリトマス試験紙になると考えている。

米国のテスラ本社から誰も来ないようであれば、それなりの扱い。北米のインターソーラーと同様にストローベルCTO(か、それに相当する役員など)を送り込むなら、かなり力を入れるということだろう。

先の記事でも示唆したように、もしイーロン・マスクCEO自身のお出ましがPVJapan2015であるようなら、マジに日本市場で「パワーウォール」や「パワーパック」を売りまくる計画を考えているはずだ。

まとめ

以上、7社(実際には6社)をあくまでも筆者の独断と偏見ではあるが、必見のブースとしてピックアップしてみた。本ブログ記事をお読みの読者諸兄で、PV Japan 2015に足を運ばれる方のご参考に少しでもなれば幸いである。

もちろん、筆者とて人の子、実は必見の価値がありつつ見落としている企業や製品があるかもしれない。ここに挙げた以外に、「これは必見!」、「あんな新製品もありやすぜ、ダンナ…」といったものがあれば、是非コメントなどでご教示頂ければ大変に有難い。

ということで、かなり力が入った結果、大変な長文となってしまった。
ここまでお読み頂いた貴殿・貴女には、感謝申し上げたい。<(_ _)>

コメント

  1. 匿名希望 より:

    PVジャパンで見たくないのは、分譲●●●●万円とか、ブローカー紛いの業者の展示ですね・・・。
    PVEXPでは多数いたので、一緒に回った海外の方に「日本のPV業界は権利で商売しているのか?」と笑われて、経済産業省に怒りの電話をしましたから・・・。
    展示会なんですから技術展示しろよとしかいえません・・・。
    まあ商談会であってもねえ・・・。

    • 匿名希望どの、

      コメントありがとうございます。

      分譲型太陽光の業者に関しては、以前は私もまだ寛容な見方をしていましたが、結構酷い業者の事例を見聞きしてからは、確かにあまり見たい、話を聞きたいと言う気持ちは私もあまりないですね。

      PV Expoは民間企業であるリードエギジビションジャパンの主催なので、出展社が小間を買って出てくる以上、来場者からは文句の付けようは無いと思います。(ちなみに、リード社による展示会の位置づけは、出展社と来場者が「商談を行う場」です。もちろん、技術の展示も行う訳ですが。)

      PV Japanの方は業界団体の太陽光発電協会の主催なので、あまりに酷い企業は出展させなくできる可能性もありますが、出展社数が減少して盛り上がりに欠けつつある現在、分譲太陽光の業者だけを排除するということを行うかどうか、微妙と思います。

  2. パワコンマニア より:

    個人的に気になるのが蓄電池の技術です。太陽光がベース電力になるかどうかの試金石。革新的なものが出せるのか? それともテスラの黒船来航するまでガラパゴスしたままなのか?

    モジュールに関しては正直頭打ちで後は単純な単価勝負になるんじゃないかと思ってます。多少新モジュールが出たところで変換効率が2倍3倍になるわけでは無いしコスパに見合ってません。

    後はなんといってもパワコン! 信頼性の高い小型インバータは可能なのか。更なる電力変換効率(%)の更新が可能なのか。最強パワコンのお披露目があることを期待します。

    後、どうでもいいですが土日開催して下さい。平日オンリーなんて会社の偉いさんと自営業以外参加不可能です…

    • ビッグふぃーるど より:

      パワコンマニアさま、

      コメントありがとうございます。

      蓄電池、私も大いに気になっております。個人的には、黒船テスラが来襲するまでは業界全体としてガラパゴスを決め込むんじゃないかと見ていますw。(なので、今回のPV Japanでテスラが何かサプライズやらないかな、と期待してる訳です。)

      パワコンに関しては、ご存じの通り、SiCやGaNの搭載商品がそろそろ出回り始めてますので、この辺に期待したいですね。参考出品レベルでは既に出尽くしてますので、あとはどの会社がプチソーラーやミドルソーラーでも使える製品の量産を仕掛けてくるか。
      蓄電池よりSiC/GaNパワコンの方が動きとしては早いかも。

      PV Japan/PV ExpoのいずれもB2Bイベントですので、土日の開催が無いのは確かに残念ですね。B2Cの要素を入れて、一般の太陽光発電システムの見込み顧客にも来てもらえるようにして、土曜日だけでも開催されると良いかもしれませんね。

  3. 匿名希望 より:

    行ってまいりました。PVジャパン2015。
    感想は寂しいですねえ。
    もともとPVエキスポには押されていたんですけども・・・。

    自分のとこのブログに感想はあげましたが、匿名ということで・・・。

    環境関係のB2Cは、エコプロダクツが主なんで、PVジャパンやエキスポは講演会があるように、あくまでB2Bだそうです。
    ただ去年は、カスタマーさんたちが押しかけて、メーカーから直接パネル仕入れたりしてたそうですよ。(普通のメーカーはEPC通しますが、中華メーカーさんなどは・・・。)

  4. 匿名希望さま、

    コメントありがとうございます。
    ご指摘の通り、私もやはり寂しさを感じました(笑)。

    展示会では、リードエギジビション社の集客力は半端じゃないです。
    ですのでPV Expoと比べるのは少々酷と思います。

    いずれにしても、当方ブログにても指摘させて頂いたように太陽光発電の市場メンタリティは明らかに悪化していますので、JPEAなり国なりが何らかの対策を講じない限り、全体的な低落傾向に歯止めがなかなか掛からないかもしれません。

    私を含めて太陽光ムラの一部では、まだ進軍ラッパを吹き鳴らし続けていますが…

    PV JapanはB2BだからとJPEAが虚勢を張っていられる間もそう長くないのでは。
    (会期終了後に発表される来場者数の統計データには大変興味があります。)

    PV Expoは恐らくB2Bのポジショニングをいじる必要は無いと思いますが、PV Japanは市場のモーメンタムを少しでも良い方向に変えるために、B2Cの要素も加味する方向に舵を切る方が得策だと個人的には思います。ただでさえ、「似たようなイベントが年に2回もある」とPV Japanの必要性や存在意義に疑問を呈する施工業者の方すら居ますので。