不覚にもソーラーフロンティアに萌えてしまった

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国内唯一の化合物系メーカー、ソーラーフロンティアとは

(「京セラの太陽光パネル:耐久性の秘密(S社主催・太陽光発電セミナー)」の続き)

ソーラーフロンティアの太陽光発電モジュール

京セラの後、このセミナーの最後はソーラーフロンティア(SF)のプレゼンである。
ソーラーフロンティアと言えば、国内の太陽電池・太陽光発電モジュールのメーカーでは唯一の化合物系、具体的には「CIS」をウリにしているという特徴がある。

CISは、Cu-Indium-Selenium = 銅、インジウム、セレンからなる化合物半導体。

昨年まで本田技研工業の傘下の太陽電池子会社のホンダソルテックも、同様の化合物系太陽電池の事業を行っていた。だが、低価格化競争で脱落し、残念ながらホンダは太陽電池から撤退(本ブログの関連記事)してしまったため、化合物系は国内では現在ソーラーフロンティアただ一社だけである。

京セラが太陽光発電ではオーソドックスな多結晶シリコン中心なのに対して、SFがニューカマーのCIS、と毛色の違うパネルメーカーをベンダとして招へいしたのも、S社がプログラムを考える際に工夫したのかもしれない。

ソーラーフロンティア自身は、ご存じの人も多いと思うが元々昭和シェル石油の一事業部門である。現在の社名になったのも僅か4年ほど前なのだが、最近になって太陽光発電に興味を持たれた方だと、こういう背景まではご存じないだろうか。

外資系ではあるが京セラと同様に太陽光発電パネルを国内で製造しているという点では「メイド・イン・ジャパン」のブランドであり、筆者としてもいつかその内にコストや価格さえ許せばソーラーフロンティアのCISを採用してみたい所ではある。

さて、肝心なセミナーの内容については、CISの特徴やメリットをざっくりとご説明されていた感じ。

ソーラーフロンティア・CIS型太陽電池のメリット

具体的には、CISのメリットは、以下の三点であるという:

  1. 温度上昇に強い(=温度が高い夏でも、シリコン系と違い発電量が落ちない)
  2. 部分的な影に強い
  3. 最初に光を浴びて成長(=設置してから発電量が少し増える)

 

このうち、1と2については筆者も知っていたが、3はこのセミナーで初めて知った。

いずれにしろ、単結晶・多結晶を問わずシリコンでは弱点となる温度の上昇や部分的な影に強いこと、またシリコン系で問題となるようなマイクロクラックが、セルの構造が全く異なるCISでは発生しないこと、など技術的にシリコンとは全然違うので、やはり筆者としてはソーラーフロンティアのCISにもそそられるという訳なのだ。

ソーラーフロンティア、デメリットは?

実際、太陽光発電ムラの中でもSFで発電所を作った方もいらっしゃるし、そういった方によるソーラーフロンティアに対する評判も悪くない。変換効率がやや低いため、設置面積がシリコン系より広く必要となることだけがデメリットだが、野立てで土地に余裕があれば変換効率はあまり関係がないので、天候や気温によらず発電量が確保できるのはやはり魅力と言える。

セミナーのプログラムが全て終了後、パネルや架台の展示コーナーでSFの講演者の方と少し立ち話をさせて頂いた。

その際に、長年の実績のあるシリコンと比較してまだ稼働中のシステムで20年等と長期間の実績を持った発電所がないことなどを聞いてみたところ、返ってきた以下の説明はそれなりに説得力があるものだった:

「確かに20年間の稼働実績はまだ無い。だが、実証試験などではそれなりの長期の実績も証明済みで、耐久性の加速劣化試験などでも問題が起きないと自信を持っている。だからこそ、モジュール出力で国内では唯一の20年長期保証がある」

また、東北に新工場を建設中だが、来年春に太陽光発電に対する優遇期間が終わってしまうのに大丈夫かと聞くと、それに対しても自信に溢れた回答:

「東北の新工場は宮崎の量産工場とは位置付けが少し異なり、いわゆる『マザー工場」となる。その目的は北米やアジアなど国外の市場に進出する際に製品や量産の技術を確立するためだ」

と言う感じで、ソーラーフロンティア社の説明をうかがい、なんとも愚問だったわいw、と筆者は恐縮したのである。

(続く)

タイトル作成支援=ホッテントリメーカー

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