エネルギー業界からの参入が多い電力小売り事業者
経済産業省が、来年4月の電力小売自由化後に小売り販売を行うことができるとして登録した「小売電気事業者」40社を発表した。今後も増加するようだが、今回がまず第一弾とのことらしい:
これまで新電力として800社近い登録があったが、それとの違いは一般の消費者や家庭用に電力を売ることができるか、法人や企業への高圧の電力のみか、ということのようだ。
新電力の登録は紙一枚の申請で可能だったが、小売電気事業者の方は審査がもう少し厳格だったようで、現時点では新電力の10分の1未満。今後どの程度増えるかは未知数だが、審査が厳しい分だけ新電力と同じにはならないだろう。
技術力、営業力、コールセンターなども必要に
また、審査にはパスしたとしても電力小売を事業として開始し、利益を出して継続することは、電力を取り扱う技術力に加えて、顧客を獲得するための営業やマーケティングの力もなければならない。また、顧客が何百、何千という単位になれば、それらからの問い合わせやサポートのためにコールセンターも必要になる。
もちろん、すべての機能を自前でそろえる必要は必ずしもないのでコアとなる機能を自前で用意したうえで、足りない部分はアウトソーシング(外部に委託)と言う手もある。とはいえ、いずれにしても資金や人、モノなど、企業として体を成す必要があり、新電力のように何百社も増殖ということにはならないだろうと思う。
40社のリストを眺めてみると、やはり敷居の高さを反映していること、また安定供給という観点から、既に顧客を抱えたエネルギー事業を行っている企業が目立つ。それでも、昭和シェル石油や出光グループ、ガスなど、電気事業とは異なる分野からの新規参入が多く、電力小売で競争が活性化しそうな予感は十分にある。
まだ少ない太陽光発電関連の企業
残念なのは、その安定供給が必須ということと、それに賦課金や託送料などの観点からも、再エネ系の企業が現時点ではまだかなり少ないこと。
リストを見てすぐに再エネ主体と分かる企業は、例えば以下のような企業だ:
- ミツウロコグリーンエネルギー
- Looop
- 出光グリーンパワー
- プレミアムグリーンパワー
- 神奈川県太陽光発電協会
神奈川県太陽光発電協会は財団法人だが、登録され発表されているということは、電力小売事業が可能ということなのだろう。また、昭和シェル石油は当然ガソリンやLNGなど化石燃料を扱う会社だが、傘下のソーラーフロンティアはご存知の通り太陽電池・太陽光パネルの事業を行っている。
晴れた日の昼間にしか電力が供給できない太陽光発電関連に絞るとさすがに少なく、Looopと神奈川県太陽光発電協会の二社・団体しかいないようだが、この二社とても当然電力の供給と需要を合わせるためには卸取引市場や常時バックアップなどを通じて火力など太陽光以外の電源からの電力も調達しなければならなくなる。
今後、どこまでこれらの新規参入企業が電力小売で生き残れるか、引き続き注目したい。
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