三相9.9/10kWパワコン、オムロン「KPT-A□」参入で戦国時代に

太陽光発電用のパワコン(PCS)、それも野立ての産業用が大半を占めると考えられる三相・10kWクラス(9.9kWも含む)の市場セグメントが俄かに面白くなってきた。

ということで、最新の状況を読者諸兄の皆様とシェアしたい。

単相4~5kWクラスではかなり市場シェアを握っているとみられるオムロンが、15日に新製品「KPT-A□」を発表し、満を持してこの市場セグメントに参入してきたのである。

オムロン「KPT-A99/A100」オムロン「KPT-A123」
オムロン「KPT-A99/A100」(左)と「KPT-A123」(右)

この3ヶ月ほど前に、安川電機が高周波トランス絶縁方式を採用した「Enewell-SOL P2H」を発売し、田淵電機や新電元などに加えて選択肢が広がったと喜んでいたところだった。

実際に、筆者も3号基はエネウェルで行こうかとコールセンターに電話で尋ねたりして技術的な検討をしていたところ、オムロンの今回の発表があり、そちらにも目移りしている。

12.375kW×4台で低コスト化がオムロンのウリ

オムロンの新製品ラインアップでは、競合する他社製品と同様に9.9kWと10kWだけでなく、12.375kW(細かいw!)と不思議な出力仕様のPCS「KPT-A123」も出すのが興味深い。

オムロンのニュースリリース文を読むと、このKPT-A123は50kW未満の低圧の太陽光発電所で4台使う(12.375×4=49.5)ことを想定していることが分かる。

要するに、これまでの50kWクラスのパワコンでは、田淵電機などの三相9.9kWがかなり採用されていたと思われるが、その5台使いとなるところオムロンのKPT-A123では4台で済み、その分低コスト化が図れるというのが売り文句だ。

ということは、他社の9.9/10kWとほぼ同じか少し上回る程度の価格とする可能性が高い。

例えば、田淵電機のEnetelus(エネテラス)「EPU-T99P5-SF」などでは、現在の市場価格がだいたい40万円前後で入手可能な(実勢ではもう少し安いところもある)ようだ。となると、50kW用に5台を使うと、パワコン価格の小計は40万円×5=200万円前後。

オムロンKPT-A123パワコンの価格が仮にそれより2万円程度上乗せした程度だとすれば、それを4台使って50kW級の太陽光発電所を設置する場合、パワコンの小計は42万円×4=168万円前後と確かに競合製品よりもやや低コストになりそうだ。

オムロンのKPT-A99/A100の場合、電力変換効率が94%と0.5%だけだが競合他社よりも高いこと、保護構造がIP65準拠で塩害に強い(ただし海岸より500m以遠)ことなども魅力だ。

台湾・デルタ電子も参入、意外に根強い? 国内の産業用太陽光発電市場

メガソーラーと違って50kWクラスの産業用太陽光発電所は、ニュースなどで報じられることがほとんどないが、実は設置数のうえでは産業用で最も多いのである。

固定価格買取制度の買取価格が30円台/kWhから20円台/kWhへと相当に下がってはいるものの、欧州などに比べればまだまだ高い。

このため、先にも書いたように日本の産業用太陽光発電に目を付けている外国人の投資家や事業家は相当にいるようである。オムロンが最後発でもこのセグメントに参入したのは、国内でまだ頑張る事業者も含めて、そういった需要を取り込みたいということなのだろう。

中国人による太陽光発電の「爆買い」が進行中?

オムロンだけでなく、台湾のデルタ電子も同様の製品「RPI-M16A」の改造版をこの市場セグメントに投入すると見られている。デルタの場合、16.5kWなので49.5kWには3台で済む。

台湾・デルタ電子の「RPI-M16A/M20A」

デザインもなかなか良い、台湾・デルタ電子製「RPI-M16A/M20A」

本当の所、ドイツSMAの三相にもそそられているのだが、SMAの三相はトランスレスである。

ガラパゴス・チックな日本国では、絶縁機能に問題があるからと難癖をつけて(実際には何ら問題はないが)、SMAパワコンの使用を認めない電力会社が中国電力を含めて何社かあるのが非常に残念である。

(「非関税障壁だ!」と、そういう電力会社を槍玉にあげてぶっ飛ばしてくれないかなぁ。と、ボソッと呟いてみる…)

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コメント

  1. パワコンマニア より:

    いよいよド本命のオムロンが三相市場に参入してきましたね。スペックを見て気になる点が少々。
    最大入力電流45Aってことですがシリコンパネルは1回路が約8A前後なので実質5回路分ってことなのでしょうか。入力回路数を見ると7回路(10A/回路)とも書いてあるしそうすると70Aまでいけるのかな?? マルチストリングなのかもいまいちわかりませんでした。
    塩害対応ということで海岸より500m以遠なら保証が効きそうなとこはいいですね。今までコストがかかりやすかった海岸付近の土地利用にも活用できそうです。

    12.375kWってのがいまいち中途半端で生産コスト的に大丈夫なのか心配になってきますが、これならいっそ49.9kWパワコン作ればいいのにと思ってしまいますw オムロンのことですから10kWパワコンと9.9kWも連動も出来ているでしょうから49.9kW=(10kWパワコン×4)+(9.9kW×1)みたいな構成の市場価格もいくらになるか興味あるところです。

    絶縁トランスの件は外圧でもない限り変わらないでしょうねえ。TPPで撤廃してくれればいいんですが。

    • 美具琲瑠弩 より:

      パワコンマニア様、

      ご無沙汰しております。お返事がまた滞り、失礼致しました。
      オムロンの三相、まだホームページもニュースリリースの情報程度しかないのですが、実は新電元のOEMっぽいようですね。

      Solgrid PVS012T200B(三相12.3kW≒KPT-A123):
      https://www.shindengen.co.jp/product/new_product/top_topics/20160215.html

      Solgrid 三相9.9kW/10kW 「PVS9R9T200B/PVS010T200B」≒オムロン「KPT-A99/A100」:
      https://www.shindengen.co.jp/product/new_product/top_topics/20150212.html

      これについては、「風の谷太陽光発電所」のNさんにも筐体の外見の類似性をご指摘頂いたことがあったのですが、価格コムの掲示板にもJET認証などから同一製品でオムロンの方は新電元のOEMだろうとする指摘があり、私も恐らくそうだろうと考えています。

      新電元のSOLGRIDの方は既にスペックもかなり詳細なものが公開されていますので、オムロンのKPTシリーズも恐らくほぼ同じスペックと思われます(少しガッカリw?)。

      ところで絶縁トランスの件、確かにTPPが施行されれば、撤廃される可能性はかなり高いと思われます。

      ただ、電事連が日本のエネルギー分野で「癌(ガン)」みたいな存在であると私自身思う反面、かと言ってその存在がTPPに賛成すべき原因とはまったく考えておりません。

      その理由は、TPPという仕組みがあまりにも海外の多国籍企業にとって有利な制度であり、電力に限らずありとあらゆる分野で日本の関税自主権、いや国家主権さえもが失われてしまい、今でも十分に宗主国・亜米利加の属国・植民地的な状況なのに、TPPによってそれが完璧に植民地・属国となってしまうと危惧しているからです。

      本ブログではあまり政治的なネタを扱わないようにしていますので、またパワコン談義に花が咲くことを期待しておりますが(笑、個人的には政治ネタはウェルカムであります。

      ということで、いずれに致しましても今後とも引き続きよろしくお願い致します。