インリーソーラーに見る潜在的チャイナ・リスク

インリーグリーンエナジーが経営危機に

中国インリーグリーンエナジー(Yingli Green Energy、中国語では英利緑色能源。以下、通称のインリーソーラー)の経営が危機に陥っているようだ。第一報は太陽王子のブログから得たのだが、その後主要な国内メディアでもボチボチ報じられ始めた。

昨日の時点で、インリーが株式を上場している米国の法律や取引所の規定により、同社の経営状況に関する通達がウェッブサイト経由で既になされていた。それを見た米国の主要メディアが、かなり刺激的な見出しで同社の状況を報じ始めるやいなや、インリーの株価は急な坂道を転げ落ちるかのように急落、一株90セントの安値まで売り込まれた。

YGEインリー株価チャート

今日の午後になり、インリーソーラーが米メディアの行き過ぎた報道を修正するような通達を再度出したことで同社の株価はやや値を戻しているが、それでも一株1.2ドルと、トリナソーラーに次いで世界で2番目の太陽光発電パネル製造メーカーとはとても思えないような株価のまま。

日本ではまだ、同社の日本法人は日本語の情報を一切出していないのだが、太陽王子を始めとした個人のブログでは書かれているし、ブルームバーグの日本語版や日経BPの「メガソーラービジネス」でも報じられているため、明日位までには太陽光発電業界でインリーソーラーの倒産リスクや経営危機を知らない人はいなくなるだろう。

インリーだけじゃない?ヤバい経営の太陽光関連中国企業

偶然かどうか分からないのだが、実はインリーソーラー以外にも中国の太陽光発電関連企業であるHanergy Thin Film(漢能薄膜)も理由が経営に関するものか今一良く分からないのだが、同社が上場している香港で株価が一気に半額になり、株式市場が動揺しているようだ。

こういった動きを見ていると、筆者を含めて太陽光発電や環境技術に詳しい向きはサンテック社の破たんを思い出すだろう。約1年半ほど前に、中国サンテックは突如として債務の不履行が明らかとなり、あっという間に経営が破たんした。

その後、すべての債務が清算されてからサンテックは経営が再建され、所有権も当時とは変わって現在に至っている。今回のインリーも、サンテックのように破綻にまで追い込まれるか、その前にどこかの企業や資本が救済して軟着陸するのか、まだ何とも言えないが、少なくとも同社の太陽光発電パネルを積極的に購入する会社や事業者は当分の間、いなくなるだろう。

中国の企業では、こういった話が珍しくない。そうすると、太陽王子も指摘しているように、不良品のパネルの交換とか、20年保証だとか、それどころじゃあ無くなってしまう訳である。

品質に対する考え方が日本と大幅に異なる中国

そもそも、太陽光発電パネルかどうかに関わらず、日本と中国では品質に対する考え方が大幅に異なるので、現時点では筆者は中国製パネルを購入する勇気を持ち合わせてはいない。

今回のような顛末があると、品質以前に企業として信頼できるかどうか、と言う話になってくるので、ソーラーパネルを購入する場合には、そのメーカーの財務内容とか、経営者の人となり等も見極めたうえで選択すべきではないかと思う。

筆者の場合、ハンファQセルズ(ドイツ→韓国)であり、ソーラーフロンティア(日本)な訳だが、いずれも財務面での不安は無いし、品質面でも一応は安心している。3号基以降で採用予定の独ソーラーワールドもしかり。

短期決戦の逃げ切り戦略でも、倒産や破綻するリスクが大きいような中国メーカーの製品を単に価格が安いからと好んで選ぶのは、太陽光発電という本来長期間に渡って投下資本を回収する必要のあるタイプの事業の選択ではやはり熟慮が必要ではと個人的には感じるのである。

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コメント

  1. hartpopoo より:

    インリーユーザーでは無いですが、何処のメーカーであっても20年先までの存続は読みきれないと思います。今は読めると思いますが、5年後ですらまさか倒産かというメーカーが有るかも知れません。
    3年前に、シャープが存続の危機になるとは思わなかったでしょうし、シャープこそ消滅した場合保証はどうなるか分からないですよね。
    インリーは倒産保険に入っているので倒産した場合は名目上は保険会社が保証を引き継ぐ事になっているので入っていないパネルメーカーの方が多い分他のパネルメーカーのほうがユーザーサイドのリスクは高いのではないかとも考えられます。

    • hartpopooさま、

      コメントどうもありがとうございます。(お返事を失念しており、大変失礼しました。)

      ご指摘の通り、シャープの例を含めてどのメーカーがどうなるかというのは予測が困難ですね。企業の倒産保険まで考慮してソーラーパネルの選択を決めるというのが賢明かもしれません。

      今後ともどうぞよろしくご指導下さい。

  2. 匿名希望 より:

    ハンファQセルズは、ハンファとQセルではパネルの品質の差があるみたいですよ~。
    あと、海外メーカーは、日本と違ってすぐに店畳みますよ。Qセルズも日本の太陽光バブルを見据えて買い取られただけですし。

    お勧めは、国内の安心できる保証のあるメーカーか
    もしくは全部自己責任+災害保険でまかなうことじゃないでしょうか?
    自己責任なら好きなパネルにパワコン、架台の組み合わせが自由です(ただし、専門家のアドバイスがないと、技術的な無理が・・・。)

    不愉快でしたら削除してください。

    • bigfield より:

      匿名希望さま、

      コメントどうもありがとうございます。お返事が大変遅れ失礼しました。
      ハンファQセルズのパネルの品質に関しては、私も色々と聞いています。ご教示の点については、私も思案しています。

      2号基は国産なので倒産しない限り保証もあるかなと思ってますが、それ以外は国外メーカーなので、今後について考えておく必要があるかもしれませんね。

      今後ともよろしくお願い致します。

  3. 蛇野 より:

    シリコン系なら同じ規格のものが入手できると思います。
    1社しか作ってい無いなど独自のパネルになると、そのメーカーが撤退すると入手が不可能になります。
    企業は永遠ではありませんので、20年の内には山あり谷ありで乗り越えられないと消滅ということは考えていたほうがいいと思います。

    • bigfield より:

      蛇野様、

      コメントいつもありがとうございます。ご教示の通りですね。
      2号基については、同じ規格のパネルが入手できるか、難しいと思われます。ただ、ソラフロの場合、バックが大きいので、まぁ何とかなるかなと…