電力小売事業者の切り替え、東電管内が60%以上

電力小売自由化の状況については既に断片的に書いているが、ここで地域ごとのスイッチング(新規参入した登録電気小売事業者への切り替え)状況等をもう少し深堀りし分析してみた。

電力広域的運営推進機関(以下、広域機関/OCCTO)が公式サイト上で公表している各電力管内のスイッチングの内訳を改めて吟味していると、既にニュースでも多少報じられていたが、地域的な偏りがかなりある。

以下、広域機関が4月22日時点のデータとして公開したスイッチングのデータと電力各社が公開している顧客数(契約口数=電灯と電力の合計)などを表にまとめてみた:

エリアスイッチング
(千件)
顧客数
(千件)
切り替え比率
[%]
北海道電力30.94,0290.77%
東北電力117,7530.14%
東京電力466.629,2301.60%
中部電力37.110,6470.35%
北陸電力1.52,1170.07%
関西電力172.313,6401.26%
中国電力1.65,2710.03%
四国電力2.72,8910.09%
九州電力20.78,5000.24%
沖縄電力08910.00%
合計744.484,9690.88%

(注:トータルの切り替え比率=0.88%は、顧客数に高圧などが大半の電力を加えたためと推測。電灯のみであれば、1.2%程度になるはず)

さらに、分かり易く示すため、以下をグラフ化した:

  1. 全国のスイッチング数に対する各電力管内のスイッチング数の割合(図1
  2. 各電力管内のスイッチング数の各電力の顧客数に対する割合(図2
4月22日時点のスイッチング状況

図1 4月22日時点のスイッチング状況 (広域機関のデータを基に筆者作成)

各電力管内のスイッチング数の各電力の顧客数に対する割合

図2 各電力管内のスイッチング数の各電力の顧客数に対する割合 (広域機関のデータを基に筆者作成)

三大都市圏だけでスイッチングの90%、北海道も多い

これらから、分かることは、まずスイッチングは東電だけで約63%、次点の関西電力、三位の中部電力を咥えるとほぼ90%を占めること。

報道でも指摘があったが、三大都市圏では中部・中京地域が人口の多さの割に意外に少ない。名古屋の消費者は意外に保守的なのか、それとも中部電力の電気に満足しているということなのか、興味深い。

それ以外の地方では、北海道でのスイッチングが三大都市圏にはおよばないものの特筆すべき割合(0.77%)で多い。

これは、報道では北海道電力が値上げを繰り返したためではないかと論評していたが、実際冬場の暖房を電気で賄っている家庭では電気代だけで何万円も掛かったりする世帯が意外に多いのかもしれない。

同じ寒冷地でも、東北電力と北陸電力の両管内のスイッチングが、現時点ではそれぞれ0.14%と0.07%に留まっているのとは対照的な結果となっている。この辺り、各社の電源構成やそれによる電気料金の高低とも何か関係があるのかもしれない。

関西以西の西日本は、現状の電力会社に満足?様子見?

さて、関西以西の西日本の状況を見てみると、福岡や北九州というかなり大きな都市圏がある九州電力管内におけるスイッチングがこれまた0.24%とまだまだ低調な結果となっている。

これは登録電力小売事業者の選択肢の少なさや、電力自由化と言う制度の認知度の低さ、保守的な消費者の多さなどが要因としては考えられる。

太陽光発電に関わる者としては忘れもしないあの「九州電力ショック」を考えると、個人や中小企業の太陽光発電事業者ではそれなりの数の人が九電を忌み嫌い離脱した可能性などもありそうに思う。一方で、脱原発を願う人が危険な川内原発の停止をという意思表示という意味でもっとスイッチングしてくれれば良いのにと願うばかりだ。

沖縄は離島であり、スイッチングした人が4/22時点でゼロというのは仕方が無いのかもしれない。確認していないが、沖縄でサービスを提供できる新電力の登録小売事業者はまだ存在しないのだろう。

残りの中国と四国、これらの地域もスイッチングがほとんど無い。
やはり電力小売自由化の認知度が低いことや、安定供給での懸念、料金差があまりないことなども積極的にスイッチングしたいと考えている消費者がまだ少ないことの表れなのかもしれない。

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