“まな板の鯉”?シャープvs.しぶとく粘るインリー

シャープ:太陽光パネル事業の行方は春頃に判明?

シャープの業績悪化では、いよいよ液晶事業の切り離しや、東芝の白物家電部門とシャープの統合(弱者連合?)などの選択肢がまことしやかにニュースを賑わすようになってきた。

世界的に需要が不足する一方でモノが余っているため、メーカーの統廃合は不可避という面も大きい。

太陽光発電事業を営む者としては、シャープの中でもやはり太陽電池や太陽光パネルの部門(エネルギーソリューション・カンパニー)の行方が気になる。

だが、ニュースで報じられるのは、鴻海精密工業(ホンハイ/Foxconn)が狙っている液晶技術などのため、液晶事業(ディスプレイデバイス・カンパニー)のことばかりで、太陽光関連の情報は少ない。

ただ、当ブログでも先に書いたように太陽電池・太陽光パネルの事業もシャープ単独での生き残りが困難な場合、他社への売却や買収合併なども、いずれ、恐らくこの春くらいに表面化する可能性が現実味を帯びてくることだろう。

高品質・高性能な看板商品の「ブラックソーラー」があるとはいえ、コスト的には中華パネルには太刀打ちできず、どこかの中国メーカーのOEMをシャープブランドで販売したりしており、この事業にも競争力や競合優位性があるとは言い難い。

経営危機のニュースがこれだけお茶の間を賑わしていれば、さすがにシャープのソーラーパネルを好んで屋根に載せようという家は多くないだろう。

また、同じ理由で、いつ供給が途絶えるか心もとないシャープのパネルを産業用太陽光発電に採用する事業者もほとんどいないはずだ。(設備認定を既に出してしまっている場合は、採用せざるを得ないが…)

現状、国内の産業用太陽光発電所でシャープ製ソーラーパネルを採用するのは、ほぼシャープが運用や建設に関わっている案件のみと考えられる(これらも、経営支援を行う金融機関による、支援の色合いが濃いのかもしれない、と合弁会社の顔ぶれを見ていて思い至った)。

時々、シャープ製パネルを採用したメガソーラーのニュースリリースが同社から出てはくるものの、何か淡々としていて、まるで「まな板の鯉」のような存在にしか感じられないのだ。

鯉

インリー:タイでパネル製造合弁会社を設立する余力あり!

同じように経営危機に陥っているものの、シャープとは対照的な動きを見せるソーラーパネルのメーカーが中国インリーソーラー(Yingli Green Energy:YGE)である。

インリーに関しては、当ブログでその動きをかなり詳細に報じているつもりだが、つい最近も「う~ん、なんてシブトイ会社だ!(笑)」と思わせられる動きがあった。

同社の12日付ニュースリリースによると、インリーは系列子会社(Hainan Yingli)を通じてタイのDemeter Power社と提携し、タイに合弁会社を設立しソーラーパネル工場を建設するという。

タイDemeter社が60%、インリーが40%を出資するこの新会社は、6億8900万バーツ(約1900万ドル≒22~23億円)を投じて年間キャパシティで300メガワット分のソーラーパネルを製造する計画を発表している。

この新工場は、タイ・ラヨーン県プルワックデーン地域に建設され、2016年下半期に稼働すると見込まれる。

インリーソーラーのCEO苗連生(ミャオ・リャンシェン)氏が報道発表でも述べているが、同工場はタイなどアジア域内のソーラーパネルの需要に応えると同時に、タイから米国や欧州、日本などに輸出する拠点としても活用されるようだ。

近年、中国のソーラーパネルメーカーはパネル価格を不当にダンピング(廉売)しているという指摘を欧米から受けており、欧米は中国からのソーラーパネルに高率の関税や輸入の制限を課している。

そういった貿易の障壁や制限を回避するため、中国トリナソーラーなどのソーラーパネル大手は関税の対象とならないアジア/ASEANのマレーシアなどに工場を立地させる動きを活発化している。インリーのタイにおける合弁工場も、そういった流れの一環とみられる。

借金まみれのインリーは台所が火の車、新規の工場に対する設備投資をする余裕などまったく無いのかと思っていたのだが、今回の発表のように誠にしたたか、かつシブトク生き残りを図っているように見える。

ニューヨーク証券取引所の株価が下落して上場基準を満たさなくなったと思ったら、1:10の株式併合という奇策を捻りだし、なりふり構わず上場基準を維持しているしw。

Demeter社の方もインリーの経営状況を当然把握しているだろうから、パネル価格は激安、しかもインリーに万が一のようなことが起きても絶対に損しないような保険を組み込んだうえでインリーと組んで太陽光パネル製造に乗り出すのだと思うが、なんというか…

ともかく、こういった逞しさや死にもの狂いで生き残るぞ、という執念みたいなものを、シャープの経営陣にも発揮して欲しいものだ。

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