インリーの工場が生産を停止との情報を独メディアが報道
インリーグリーンエナジー(インリーソーラー/Yingli Green Energy)で工場での生産が停止しているという情報が、ドイツの太陽光発電関連メディア「pv magazine」に二件の消息筋から寄せられたと同メディアの公式サイトが報じた:
pv magazineサイトの情報によると、インリーが工場での製造を停止したのは、債権者との協議が決裂したためとのことで、pv magazineは資金繰りが行き詰ったようだと推測している。
これまでにも既に、インリーは米国の法律に従って経営状況に関する発表をしていたが、インリーの公式サイトには日本時間の7月10日午前3時現在の段階で今回の生産停止などについてはまだ何も情報が掲載されていない。
ちなみに、インリーのグローバル・サイトの最新情報としては、7/9(日本時間で7/10)付で、中国製太陽電池を使用した輸入ソーラーパネルの関税に関して米国商務省による判定が出た件についての公式な見解が表明されている:
- Yingli Green Energy Comments on U.S. Department of Commerce’s Solar PV Tariff Rulings Following Administrative Reviews of Imported Panels Using Chinese Cells
インリーソーラーの株価はやや下落し少々戻す展開に
Yahoo!Financeの株価情報によると、インリーの株価は7/9の午後1時25分頃(米国・東部夏時間)に1.05ドル近辺から0.9ドルを割り込むレベルに急落している:
現時点では、この株価の急落が、工場の製造停止によるものなのか、米国の関税に関する裁定によるものなのかの区別は付かない。(ただ、情報の性格から類推する限り、前者の可能性が高いように思われる。)
インリーの倒産リスクや経営危機関連については、また新しい情報が分かり次第、本ブログまたはツイッター(@solar_nenkin)にてお伝えする予定である。
【追記 2015/07/12】
pv magazineの元記事が更新されており、インリーの最高財務責任者(CFO)Yiyu Wang氏によると「工場が生産を一時停止しているという情報は誤りであることを確認できる。当社の工場は稼働しており、引き続き顧客の需要を満たしている」と述べているという。pv magazineの報道とインリーのCFOによる声明のどちらが正しいかはいずれ分かると思われる。
この報道のあと、インリーはラテンアメリカの240MWハイブリッド・メガソーラー(通常の太陽光発電と集光型太陽光発電(CSP)の組み合わせ)にソーラーパネルを供給しているというニュースリリースを公式サイトに掲載している。(工場が一時停止したという報道を打ち消す報道は一切なし。)
株価はやや戻しており、一株0.90ドルの水準は回復している。
インリーは経営危機を脱した模様、ソーラーカーポートも販売
【追記 2022/12/18】
インリーソーラーはその後も経営を継続しており、現在も同社および同社の日本法人であるインリー・グリーンエナジージャパン株式会社の公式サイトの閲覧も可能な状態である。
2020年11月にインリーの再建計画が当局などにも承認され、2021年4月以降はその再建計画に基づいて事業を行っているとみられる。
2021年8月には屋根一体型のソーラーカーポートの販売を日本国内で開始するなど、積極的に事業展開を進めており、同社の事業再建計画は順調に推移している模様。
ちなみに、太陽光発電関連のあるネットショップではインリーソーラーの太陽光パネルも現在取り扱っており、購入も可能なようだ。
コメント
案外早く破綻しそうな気がします。
中国市場の株も大きく下がっていますし、懸念材料ばかりが目に付きます。
インリーのような大手ですらこの有様だと、他のパネルメーカーも深刻なのではないか懸念がぬぐいきれません。
蛇野様、
コメントありがとうございます。
まだ、情報の真偽が分からないのですが、pv magazineのこの情報は署名記事(記者が自分の身元を明らかにして発信している記事)であることを考えると、信ぴょう性は高いと思われます。(ガセネタで、あるメーカーの工場が操業を停止、中断、資金繰りが…などといい加減なことを書く訳にはいきませんので)。
インリーCFOからのコメントを追加し記事を若干修正したあとも、この記事の情報(=インリーの工場が操業停止)自体に変化はないので、記者の方もかなり自信を持っていると思います。
他のメーカーについては分かりませんが、インリーの場合とにかく低価格でソーラーパネルを供給していて、近年はずっと赤字体質になっていたようなので、今回のような事件が起き、いずれ倒産…なんていう展開になってもやむを得ないのかもしれません。