太陽光発電に特化した独立系の検査機関である米PV Evolution Labs(PVEL)は5月26日、太陽光パネルの信頼性に関する検査結果をまとめた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」の2021年版を公開した(図1)。
同検査は今年で7回目となる。2017年の5回目までは、PVELがノルウェーの第三者認証機関であるDNV GLと提携して取り組んでいたもの。
6回目以降、PVEL単独での検査となっているが、同検査に先立つ5月5日にPVELは検査や認証事業を手がける蘭Kiwaグループの傘下入りを発表している。
DNV GLとKiwaグループは互いに競合関係にあるとみられ、今後DNV GLが同検査に関与することはなさそうだ。
「PID耐性に優れる」を真に受けるのは危険
今回の調査では、太陽光パネルメーカー26社の117モデルを「トップ・パフォーマー」として認定、発表した。PVELは今回の検査で特筆すべきこととして、以下を挙げている:
- 今回の検査対象となった部品表(BOM)のうち、26%に少なくとも1個の不良が含まれていた(2020年の前回調査ではBOMの20%に少なくとも1個の不良)
- 3社のうち1社のパネルで、ジャンクションボックスの欠陥など安全性の不良が見られた。2020年の検査では5社のうち1社だった。
- 今回のスコアカードでは、5社がトップ・パフォーマーの認定を受けた。
- スコアカード報告書では、今回トップ・パフォーマーの認定において「機械的ストレスシーケンス(MSS)」と「光誘起劣化(LID)および高温光誘起劣化(LETID)」という2つの新しいカテゴリーを追加した(図2)。
- 耐久性への懸念、特に極端な天候などに対応するために追加した機械的ストレスシーケンス検査において、最も多くの不良が発生した。
報告書では、多くのメーカーが電圧誘起劣化(PID)耐性に優れると謳っているが、PVELの検査では前回より多くのPIDによる劣化が最多値と平均値の両方でみられたこと、MSS検査ではハーフセル、120セル、単結晶のモジュールが、それぞれフルセル、144セル、多結晶のモジュールより優れた耐性を示したことなどを指摘している。
パナソニックや京セラなど、日本の太陽光パネルメーカーは不参加…
PVELで最高商務責任者(COO)を務めるTara Doyle氏は、「太陽光パネルのサプライチェーンの不安定さと価格の下押し圧力の間では、市販の各モデルでパネルごとにBOMの構成要素がすべて検査されているとみなすことは出来ない。購買者は、契約書の段階で要望するBOMを特定することで、検査ニーズを満たす必要がある」と述べている。
PVELは同検査を「製品認定プログラム(PQP)」の一環として毎年実施しており、信頼性や耐久性に優れた太陽光パネル製品のブランドを「トップ・パフォーマー」として認定、公表している。
PVELは2012年に太陽光パネルのPQPを開始し、それ以来50社以上のメーカーの450件以上のBOMの検査を行った実績を持つ。なお、同検査への参加はメーカー次第であり、出荷枚数の多い主要な太陽光パネルメーカーでも必ずしも参加しているとは限らない。
以前の検査ではパナソニックや京セラが参加していたことがあるが、近年は日本の太陽光パネルメーカーが1社も参加してない状況である(図3)。
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