防犯カメラの必要性:投石やケーブル盗難に備える

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太陽光に防犯カメラは必要?

遠隔監視(防犯カメラ)の必要性を痛感する事例を最近、太陽光発電ムラ・コミュニティの参加者の若干名の方々から見聞きした。

論より証拠、この写真をまずご覧頂きたい:

石で割られたソーラーパネル

見ればお分かりの通り、無残にもソーラーパネルが割れている。

このソーラーパネルを割ったのが誰(何)か、まだ究明が出来ていないそうである。

防犯カメラは設置されていたとのことだが、録画された映像を1週間分、5分刻みでざっと見た限りでは確認できなかったらしい。

ソーラーパネルには10年間のメーカー保証が付いていたため、今回はそれでカバーされるそうで正に「不幸中の幸い」だが、保証期間後の事を考えると懸念が残るのは確かだ。

可能性があるのは、まず人間による投石。

太陽光発電を良く思っていない人や、何らかの恨みや僻み、妬みなどの感情を持つ人が、ソーラーパネルに対して石をぶつけると言う可能性は少なくないだろう。

実際、明らかに人が投石したと思われるような損傷があったという太陽光発電所の話も聞いたことがある。

ただ、人だとすれば防犯カメラの映像に録画されている可能性が高いのだが、今回はそれが確認できないため、可能性としては低いようだ。

カラスのイタズラによる投石にも要注意

もう一つの可能性は、カラスによるイタズラ。

カラス

ゴミ捨て場を荒らしたりしてどちらかと言えば嫌われ者だが、カラスはかなり頭が良い鳥である。

一度こういったイタズラで味を占めると、面白がって何回もやるそうなので始末が悪い。

九州のあるメガソーラーでは、カラスによる上空からの投石で1年間に10枚以上のソーラーパネルが損害を受けたとの事例もあるという。

今回、コミュニティで報告された件も防犯カメラで犯行の瞬間が確認できず、10枚以上の(しかも防犯カメラ作動中の看板前の)ソーラーパネルが割られたとのことで、カラスによるイタズラの可能性が高いのかもしれない。

実際、被害者のHさんによると、

すぐ横に採石置き場があります。また、防犯カメラ設置業者が防犯カメラ設置時に石をくわえたカラスを見たと言ってました。

とのことである。

犯人(人じゃないから、犯鳥?)がカラスだとしたら、割れたソーラーパネルの周辺に落とした石などの落下物が残るはずだが、今回の太陽光発電所では砂利敷きであるため、その判別が出来ないそうだ。

カラスの悪戯だとしたら、どのようにしてカラスの投石を防止するか、考えなければならない。だが、何らかの対策を講じたとしてもカラスはいったん危険でないと学習すると、それ以降は無視するという。

カラスとの知恵比べは、太陽光発電の事業者にとってなかなか頭が痛い所である。

売電収益に直接響く、厄介なケーブル盗難


投石もソーラーパネルの損害で大変だが、太陽光発電では他にも心配しなければならない所がある。

論より証拠、とにかく次の写真をご覧頂こう:

ぶった切られたケーブル(太陽光発電所の工事現場・茨城県)

分電盤の下で切断されたケーブル

パワコン下側で切断されたケーブル

見るも無残、太陽光発電モジュールやパワコン、分電盤を相互に接続するケーブルが刃物か何かでぶった切られて盗難にあったのである。

この写真をご提供下さったのは茨城県で太陽光発電システムの施工業を営まれているIさん。なんでも、低圧連系の太陽光発電所の工事中の現場から設置したばかりのケーブル(モジュールからのHCV、パワコンからの14スケアCV)を盗まれたとのことだ。

工事中には当然保険をかけているはずなので、金銭的な損失をある程度カバーすることは可能だろう。

とはいえ、設置したケーブルを切られて盗まれたということで、その部分の電気工事はやり直しとなる。

さらに、警察への通報や保険会社との折衝など余計な仕事が増えるうえ、系統連系が遅れて売電収益が入るまでの期間が延びるので良い事などまったくない。

警察への通報(太陽光発電の工事現場・茨城県)

警察による犯行現場の検証(太陽光発電の工事現場・茨城県)

施主の立場としても、まだ連系すらされる前に工事中の現場からケーブルをぶった切られて盗まれたと分かると、これから先の事など考えると暗鬱たる気持ちになるのではないかと案じてしまう。

パワコンやパネルにはシリアルナンバーがそれぞれ付いている一方、ケーブルにはそのような番号が付けられないため、手っ取り早く換金するにはケーブルということになるのだろうが、本当に酷い話だ。

また、シリアルで足が付きやすいと言っても、ブラックマーケット(闇市場)に流されると駄目かもしれないとの声もある。

防犯カメラやフェンスなど複数の対策を組み合わせる

ともかく、太陽光発電事業者や施工業者としてこのような損害・被害に対処するには、やはり監視カメラやフェンスなど防犯上の対策を施す、盗難や破損がカバーできる保険を発電所や工事中の部材にもきちんと付保しておくと言った事前の対策が必要だ。

今後は、工事中でも現場の防犯対策や監視を常時行うために、まずフェンスや防犯カメラを設置してから、太陽光発電システムの施工に取り掛かるといった工夫も必要かもしれない。

またフェンスを設置しても過信は禁物である。

今回のこのケーブル窃盗のように、犯人は相当に荒っぽい手口で犯行に及んでいるため、バールなどで簡単に壊せるフェンスなら壊してから侵入すると言った可能性も少なくないからだ。

保険はマスト、さらに保険を申請するために証拠が残るようにしておかなければならない。

あとは、一般的なCD管やPF管の代わりに鉄鋼のパイプにケーブルを納めるといった対策も考えられるが、当然コストに跳ね返るし施工性も落ちる。

ソーラーパネルへの投石と同様に完璧な対策は中々難しいが、とにかく保険、防犯カメラ、フェンス、などなど考えられる複数の対策を経済合理性を損なわない範囲で組み合わせて備えるしかないだろう。

これまで世界の中では比較的治安が良い方、と言われていた日本。

だが、格差の拡大やワーキングプアの増加など、社会全体がこういった犯罪を生み出しやすい方向に向かっている以上、それも考慮に入れたうえで太陽光発電事業に取り組むという認識や覚悟が必要なようである。

コメント

  1. 蛇野 より:

    電線を売るといってもそんなに高い金額なのでしょうか?
    なんか、イタズラのような気もするのですが?
    いくら保険でカバーできるといっても、色々な手間を考えると面倒臭いです。
    犯人は捕まえて厳罰にして欲しいです。

    • bigfield より:

      蛇野様、

      いつもコメント下さりありがとうございます。電線の売値、どうなんでしょうか。
      屑鉄みたいな感覚しか私にも無いので、実際の所、そんなに儲かる物でも無いような気もしますし、その意味ではイタズラとか嫌がらせという可能性も確かにありますね。

      おっしゃる通り、犯罪は犯罪ですので、逮捕して法の裁きを受けさせるのが当然ですね。