(「「湯梨浜太陽光発電団地」の概要」の続き)
湯梨浜太陽光発電団地の遠隔監視を担うオムロン製「EQ-100」についてお伝えしよう。
EQ-100での発電量データ収集にはPLCも必要
このEQ-100、当のオムロンは「センサーネットワーク・サーバー」という名前で呼んでいる。まぁその名の通りと言えばそうなのだが、センサーネットワークで収集した様々なデータを集めるサーバーということで、想定した用途は工場などにおける自動化したシステム(FA: Factory Automation)のセンサー等からのデータを収集するといった使い方である。
オムロンの言い分としては、この製品は屋内で使用し、かつ遠隔地の監視などの用途は想定していないということだが、Sさんが相談した電気関連の代理店が湯梨浜太陽光団地の遠隔監視、モニタリングを行うために最善な手段を検討した結果、EQ-100が最適だという結論に落ち着き、導入を決めたそうである。
なお、EQ100による太陽光発電データは、パワコンからの発電データをRS-485インタフェース経由で収集を行う訳だが、この時にEQ-100だけでは出来ないので、同じくFA用に使用されるPLC(Plogrammable Logic Controller・プログラマブル・ロジックコントローラー、写真の左側の機械)も併用している。
このPLCも必要だということは、今回の鳥取での見学まで知らなかったことである。実は、このPLCのプログラミングなどが少々面倒らしい。もちろん、PLCを仕事で使う技術者にとっては、それほど難易度の高い作業ではないだろうが、PLCにさわったこともない筆者のような素人だと困るだろう。
さらに、EQ-100とPLCにパワコンからの信号を取り込むためには、パワコン側のRS-485端子からケーブルをPLCに接続しなければならない。作業としては、これもかなり大変である。
Sさんの場合、400メートルにも上るRS-485接続ケーブルを家族総出で施工したそうである。最終的に、パワコンからのケーブルをPF管を通してPLCとEQ-100まで接続し、発電量を遠隔監視できるハードウェアが完成した訳だ。
出力抑制が発生しているパワコンをすぐに発見!
これだけの苦労は、確実に報われている。
なぜなら、太陽発電所の稼働が4月、EQ-100による遠隔監視システムの設置・施工が完了し発電量のチェックが始まったのが10月で、さっそく出力抑制が起きているパワコンが見つかったからだ。
例えば、次のグラフの写真を見て頂きたい。
10月のある日のパワコンの出力電流値だが、黄緑色の線の出力だけある時間帯にゼロになっていることが分かる。これは、天候によるものではない。なぜなら、他のパワコンの出力は出ているし、また曇りだとしてもソーラーパネルが多少は発電するので完全なゼロ値にはならないからだ。
この結果を受けて、中国電力に対応を依頼したところ、ただちに対応がなされ、それ以降はこの問題が起きたパワコンでも出力抑制が一切発生していないそうである。
発電所全体の出力だけしか見ていないと、このような出力抑制の現象を検知して対応を取ることが困難なのである。
(続く)
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