太陽光発電の用地の情報を入手したが…
売電価格32円/kWhの権利を確定させるために、太陽光発電の用地を筆者が血眼になって探し回っていた、今年の早春の頃の話だ。
ある人から「太陽光発電に良い土地があるが、どうか」というお話を頂き、真剣に検討していたことがあった。結局、その土地の案件に関しては、筆者として購入したりと言った話にはならなかったのだが、実は結構危なかったかと思われる。
その土地の案件、実は事情があって筆者自身はその土地物件を直接見ることは無かった。しかし、その頃、筆者と同様に太陽光発電の用地を探していた知人であるMさんにそのお話を共有し、1区画ずつ購入といった展開を含みに、Mさんにその物件の下見を行って頂いたのである。
すると、その土地がある場所は辺鄙な山奥みたいな所で、夜になると真っ暗で道幅も狭くガードレールもない断崖のような林道を登って行ったところにあったとのご報告を頂いた。
また、現地は斜面で一面が雑木と熊笹で覆われていて、かなり大がかりな造成も必要となる場所だったという。連系のための電柱も5本は立てなければならないとの話で、相当に厳しいであろうことが予想された。
その物件のある県が地元であるMさんの感触では、「破格に高い」その山奥の太陽光用地、Mさんご自身は下見を実際にされたうえで、ご辞退された。彼の冷静な判断をみて、筆者もさすがにこの物件は無いな~と思い、紹介してくれた方に辞退の旨をお伝えした。
詳細は割愛させて頂くが、土地物件に難があっただけでなく、紹介して下さった方にも色々と不審な点や下見の際の不行き届きな点などがあり、Mさんと筆者の両方が辞退したのは正解だったと今でも思っている。
平成版「原野商法」、太陽光発電が脚光を浴び復活?
実際、その後に他の方にも筆者らが紹介された場所のことを話してみたところ、その地域は冬場になると大雪が降って太陽光発電などトンデモない、といった感じで冷や汗を流した。
記事のタイトルにも書いたように、太陽光発電の話には平成版「原野商法」のような可能性も少なくないということを言いたかったのである。
まだ若い方だと原野商法などと言っても聞いたことがないかもしれないので、ご存じない方はグーグル先生に尋ねてみて頂ければと思うが、要するに二束三文の山林や原野をあたかも価値のある土地のようにして高く売りつける詐欺のような商売のことである。
ほとんどタダ同然の山林や原野が坪1万円で売れるのであれば、そういった土地の持ち主からすれば濡れ手に粟の話にもなり得る訳だ。邪な考えを持つ地主や業者からすれば、固定価格買取制度が始まってからはまたとないチャンスだと思っているに違いない。
筆者自身、原野商法などに関わったことも一切無かったが、野立ての産業用太陽光発電を手掛けるようになってから、それに近い話を聞くこともそれなりに多くなったと感じている。
まさか、自分がそんな原野商法まがいの話に巻き込まれそうになるなどとは思ってもみなかったが、実際にそんな話だったのである。
最近も、太陽光発電ムラ内の友人・知人から、この種の話で困っている人がいたりと聞いたこともあった。
注意すべきキーワードの一つは、「分譲」である。
分譲型太陽光発電には危険がいっぱい?
なかには、分譲型太陽光発電を安易に奨めるむきもあるようだが、要注意である。分譲の危険性やリスクに関しては、過去に2、3回ほど本ブログで記事として注意喚起を行っているが、今でも相変わらずのようだ(下記、関連記事もご参照)。
特に、固定価格買取制度の買取価格が下落し良質な案件が少なくなっているため、分譲型太陽光の業者主催セミナーなどでは、現地をロクに確かめもせず、焦ってその場で契約してしまったりする人もいるらしい。
ハンコを押す前に、頭を冷やして最低でも一度位は現地の下見や確認をしておくべきだ。
表面的な利回りと業者のセールストークだけで8桁の金額の投資物件の買い物をするのは、ラスベガスのカジノでギャンブルしたり、有り金をはたいて宝くじを買ったりするようなものだ。
業者の営業担当は、彼らにとって都合の悪いことを売り込みの段階で話すワケがない。
もちろん、「分譲」と称して売られる太陽光発電所でも信頼できる業者が扱い、施工もしっかり行ったものであれば大丈夫だろうが、筆者からみるとそういった事例は限定的だと感じる。
(筆者が個人的に分譲というものをあまり信用しておらず、良く知らないだけかもしれないが。)
とにかく、貴重な資産を投じて(あるいは多額の融資を活用して)購入する太陽光発電所については、最終的に決断するとしてもその過程では冷静さと慎重さが欠かせないことを肝に銘じたい。
確かにこの2年ほどは滅多にない事業投資の好機だったと筆者自身も思うが、おカネ儲けの手段は必ずしも太陽光発電だけではないのである。
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