(「田中優氏のオフグリッド住宅、太陽光発電は2系統」の続き)
先の記事で田中優さんのオフグリッド新居の太陽光発電システムについて触れた。
しかし、実は太陽光発電というのは確かにオフグリッド・エコ住宅の主要な機能ではあるものの、それだけでは無い。というより、太陽光発電はオフグリッド・エコ住宅の一機能であるに過ぎないと言う方が正しいだろう。
なぜなら、エコ住宅では消費するエネルギーを最低限とし、必要なエネルギーを太陽光発電などによって創り出すからだ。消費するエネルギーを減らす、つまり省エネルギー化には、住宅自体の断熱性や気密性、いわゆる「パッシブ性能」を向上させることが不可欠である。
熱を貴重な電気から作らず、太陽熱や木質ペレットを活用
また、電気は太陽光などで賄うが、熱については、再エネで作る電気を熱に変えるのでは効率が悪すぎる。ではどうするかと言えば、太陽熱をそのまま利用したり、あるいは地熱(可能な場合)や地中熱(ヒートポンプ)、バイオマス(ペレットストーブなど)を活用したりする。
もちろん資金的に余裕があるなら、コージェネレーションとして家庭用燃料電池(「エネファーム」)を導入するのも一つの手だ。
この場合、電気からはオフグリッドになるとしても、都市ガスの場合、ガス配管グリッドに接続されることが前提となる(LPガスの場合、当然ながら燃料電池でも電気とガスの両方でオフグリッドが可能)。
少し話が逸れた。田中優さんのオフグリッド・エコ住宅の話に戻ろう。
上述のように熱は電気以外の何らかの方法で創り出す訳だが、優さんの新居では、風呂などのお湯は太陽熱温水器を、キッチンでの調理などではプロパンガスを、冬場の暖房にはペレットストーブ(二台を一階と二階のそれぞれに設置)を使うということである。
断熱材も化学物質フリー、土台にはシロアリに強いヒバ材を使用
住宅のパッシブ性能については、天然住宅仕様に基づくものと田中優さん宅オリジナルの仕様とでしっかりと確保している。もちろん、ほぼすべての断熱材が人体に有害な化学物質が含まれないものという。
唯一、天井上の断熱材にだけ石油化学製品である発泡スチレンを用いたとのことだが、この材料は最近の実験の結果から環境ホルモン物質のリストから外されているため、採用したそうだ。
床下の断熱については、通常の天然住宅の場合ウールブレスという断熱材を床下に敷くことによって行うが、優さん宅では基礎コンクリート自体を無機・鉱物系の断熱材で覆い、白アリに強いヒバの木材を土台として組み合わせているという。
また、優さん宅では「ソーラーウォーマー」という独自の装置を設置し、床下の除湿や乾燥を行う。
外壁にはガルバリウムと漆喰を使用、デザイン性にも配慮
さらに、基礎コンクリートと同じ無機・鉱物系断熱材を内壁・外壁でも使っているという。外壁は、一階がガルバリウム張り(玄関周りは木材)、二階は断熱性の高い漆喰としている。
ちなみに、二階までガルバリウム張りとすることも可能だそうだが、そうすると「倉庫」のような見た目になってしまいww格好が悪いので、優さん宅では漆喰を使いデザイン性に配慮したそうだ。
あと断熱で欠かせないのは、窓にいわゆる「ペアガラス(複層ガラス)」を使うということ。優さん宅では、既製品のペアガラスではなく、Low-E(省エネルギー)ガラスを外側に付け、内側に木製の断熱内窓とハニカムスクリーンを入れることにしたという。
ただ、予算の都合上、現段階ではLow-Eガラスの外窓のみとし内窓は後でいつでも付けられるようにしたそうである。
筆者が現在暮らしているような古い住宅(昭和時代の団地)の場合、壁や床の断熱性能は低いは、窓ガラスも一枚だは、隙間が多いは…なので断熱性は悪い。断熱性の良い家に早く引っ越したいものである。
(続く)
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