「3本バスバー電極」特許係争の影響@PV Japan 2014
今回の「PV Japan」では、先の「3本バスバー電極」特許での提訴の影響が展示会場の方々でじわりと感じられた。
Looopは高圧向け太陽光発電キットや4本バスバーをアピール
まず、元気の良いLooopさんのブースと展示。
32円時代を逆手に取るような、高圧連系向け「MY太陽光発電所キット」。そして、その脇のソーラーパネルの展示を見ると…
そう、「4本バスバー」とデカデカと表示してある。これは、明らかに京セラによる3本バスバー特許を意識し、「ウチは4本バスバー電極のソーラーパネルだから、特許問題とは関係ありませんよ。」と言わんばかりだ。
もちろん、特許係争の回避だけでなく、実績もしっかりとアピール。
国内でLooop社の販売した産業用太陽光発電システムは500件を突破したそうである。
Looop社ブースの前を通りかかっていると、コンパニオンのお姉さんから資料の入った例の白いバッグをミネラルウォーターのボトルと一緒に差し出された。
生理的欲求を突かれると、やはり人間は弱い(苦笑)。
喉の渇きを癒したいと思い、水付きなら…とついLooopの袋をもらってしまった。
この種の展示会では、資料やノベルティを何でもかんでも見境なく受け取っていると、後からゴミになって処分も面倒なので、最近はなるべく不要なものは受け取らないようにしているのだが…
と、本題から逸れてしまった。話を元に戻そう。
カナディアンも4本バスバー、独自のX極構造も展示
もうしばらく歩くと、今度はカナディアンソーラーのブースでも、こんな感じ:
4本バスバー構造と、斜めの格子状になった電極(「X極」)。いずれも京セラの3本バスバー特許には抵触しない。
中国の太陽光パネルメーカー、ETソーラーも4本バスバー・モジュールをアピール。
3本バスバーの本家・京セラは…
そして、本家の京セラは、当然ながら3本バスバーをアピール。
どちらかと言うと、後発ながら満を持して市場投入した単結晶の京セラ製ソーラーパネルももっと見たかったのだが、野立ての産業用向けではなく住宅用でわずかに展示していただけだった。
もちろん、筆者の岡山の太陽光発電所で毎日発電してくれているパネルの製造元、ハンファQセルズ社もブースを出展。
特許の裁判は裁判として粛々とやっていくということのようで、ブースでの販売促進に余念が無かった。ノベルティとしてQマークの入った扇子を配っていたので、これはやはり記念に、とつい頂いてしまったw。
「PV Japan 2014」のまとめ
今回のPV Japan 2014、太陽光発電モジュールで明らかなトレンドは、上述のように「3本バスバー電極構造からの脱却」だった。Qセルズがどのように法廷論争で対応するか、また裁判所の出す判決にもよるが、京セラが3本バスバー特許権をいくら振りかざしても、競合他社には4本バスバーなど他の電極で回避されてしまうことは自明である。
したがって、こういった不毛な法廷論争に拘泥されるよりも、もっと低コストでソーラーパネルを製造するとか、ドイツのソーラーワールドに負けていると思われる保証の充実とか、やるべきことは他にもっとあるように思う。
タイトル生成:Thanks to ホッテントリメーカー
(続く)
コメント
Looopのことですが、自社発電所軒簿は4Mを超えています。売電収入で2億円ということになります。
今後、ソーラー市場の収益が見込めなくなっても会社としては何とか生き残っていくのではないでしょうか?
ただ安いパネルを設置すると自己責任になってしまいます。
それをどう割り切るか?
私たちも長期的な展望に立ってソーラー設置を進めていくのが賢いということだと思います。
コストのこともあり難しい問題です。
蛇野様、
いつもコメントありがとうございます。
Looop社の発電事業ですが、4MWもあったのですね。売電収益だけで年間2億円ですか…
自社物件でも顧客に販売するのと同じパネルであれば良心的だと思います。自社の製品にある程度の信頼性や耐久性が無ければ、そういう事は出来ませんので。
私が1号基の施行をお願いした業者も自社で岡山県内に何カ所か(十何か所かな)所有し、売電事業だけでも恐らく億円単位の年間収益が上がる筈です。
多少なりとも先の読める経営者ならば、3年間の優遇期間の切れた後のことまで見越して、その程度の事業運営は出来るのかと思いますが、分譲の売り抜けみたいのが多くて、施工業者やEPCでそこまでやってる会社は結構少ない気がしますね。