ソーラーパネル付き一戸建てが高く売れる米国の場合
太陽光発電システムを設置した物件は、資産としての評価額が高くなる――
筆者のような太陽光発電マニアにとっては嬉しくなる、このような調査結果が米国で明らかとなった(記事下のリンク参照)。調査を行ったのは、米エネルギー省(DOE)傘下のローレンス・バークレー国立研究所(LBL/バークレー研)の研究者(+不動産鑑定の専門家)なので、信ぴょう性が高い。
この調査では、その研究者の指揮のもとで太陽光発電システム付きの一戸建て既築住宅がどれ位の価値があるかを、ほぼ同等の一戸建て物件の最近の売買状況との比較から算出し、太陽光発電システムに対して買い主がどの程度のプレミアムを容認して払うかを見積もったという。
ちなみに、ある要因(ここでは太陽光発電システムの有無)によって物件の価値がどれだけ変わるかを評価するうえで、他の条件は同等の物件と比較するというこの手法は、不動産業界では標準的なアプローチである。
調査対象は、米国の6つの州(オレゴン、カリフォルニア、ノースカロライナ、フロリダ、ペンシルバニア、メリーランド)の物件。
鑑定されたプレミアムは、2013年に行われた統計学的モデルの結果によっても確認されており、その結果、太陽光発電システム付きの一戸建て物件に対して買い主は約1万5000ドル(現在の為替レート≒120円/USDで円換算すると約180万円)多く支払っていることが分かったという。
現実にはもう少し低くなりそうな太陽光プレミアム
ここで太陽光発電システムとしては、住宅用として平均的な3.6kWのものが想定されている。
W単価にすると約4ドル/W(kW単価なら4000ドル≒48万円)となり、産業用のコスト間隔からすると、少々高いと感じるが、既に稼働していてすぐに太陽光で発電する電力が使えるのであれば「まぁ良いや」と感じる米国人の買い主は少なくないのかもしれない。
ただ、現在も下落傾向にある太陽光発電システムのコストを考慮すると、この研究者も太陽光発電システムのプレミアムが実際にはもう少し低い額になりそうということを認めている。
ともかく、この調査結果は「不動産鑑定士、不動産業者、住宅ローンを扱う金融機関など、太陽光発電システム付きの住宅物件を扱うことが増えている関係者にとって、その市場価値を考慮するうえで役に立つだろう」と調査を行ったLBLのベン・ホーエン氏は述べている。
昨2014年だけで米国では50万件以上の住宅用太陽光発電システムが設置されており、米国のこの市場は急成長の最中にあるからだ。
なお、この鑑定において太陽光発電システムのプレミアム価値は、そのシステム自体の構成や市場の特性に大きく依存するものだったという。具体的には、太陽光発電システムの出力、補助金など適用可能な優遇制度の有無や販売時の設置価格、その物件のある地域の電気料金などの要因である。
したがって、実際にはこれらの要因も考慮したうえで太陽光発電システムのプレミアム価値を決定すべきだと鑑定を行った不動産鑑定の専門家はアドバイスしているという。
新築に比べ中古物件の価値が著しく低い日本では?
さて日本では、どうだろうか。
欧米と異なり既築や中古住宅の市場価値が築年数に反比例して新築と比べれば一般にはずっと低くなってしまう日本の場合、米国と同じような鑑定結果が出るかは微妙なところだ。
ただ、常識的に考えて太陽光発電システムが付いていればその分の付加価値があることは確かだろう。
なので、システムの稼働状況や太陽光発電システムの使用年数などにもよるとはいえ、日本でも3~4kWの太陽光発電システムが屋根上に乗っかっていれば、同等の物件と比べて数十万~100万円程度のプレミアムがあってもおかしくはないように個人的には思う。
【本記事の元ネタ】
http://newscenter.lbl.gov/2015/11/12/premium-for-solar-homes/
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