京セラがハンファQセルズを提訴
今朝、台風が太平洋上に去って熱帯性低気圧となってしまいヤレヤレと思っていたら、入れ代わり立ち代わりでショッキングなニュースが飛び込んできた:
京セラ、太陽電池の「3本バスバー特許」でハンファQセルズジャパンを提訴:エネルギー(日経テクノロジーオンライン)
基本的には両メーカー間の訴訟かと思うが、上記記事によると、
「…状況次第では、太陽電池モジュールメーカーのみならず、モジュールを取り扱う販売店や発電事業者に対して、損害賠償や差止めを求める特許侵害訴訟の提起を検討…」
とある。本件に関する京セラのニュースリリースも確かめたが、確かにそういった意味の恫喝っぽいことを書いてある。
筆者の設置したハンファQセルズの「Q.Pro G3」も京セラの「3本バスバー特許」に
抵触しているという判決を司法側が出す可能性が無いとは言えない。
日経エレクトロニクスの2012年の記事によると、この3本バスバー特許はそれほど新規性のある技術ではなく特許としての成立が訝られていたのだが、特許庁がいくつか注文を付けた挙句に京セラの特許として成立したという経緯があるようだ。
なお、今回はハンファQセルズだけの提訴だが、それ以外にも3本バスバー電極構造の太陽電池セルを採用しているメーカーは何社もある。具体的には、パナソニック、中国サンテック、中国トリナソーラー、中国インリー・グリーンエナジーなどだ。
ハンファQセルズを狙い撃ち?
しかし、なぜQセルズだけなのだろう? よりによって、ハンファQセルズを狙い撃ち?
日経テックオンの記事によれば、どちらかと言えば中国の太陽光パネルメーカーを牽制したがっているように書いてあったのだが…
ブログのネタになるのは良いのだが、損賠賠償の被告にされるのは大いに困る。
とはいえ、京セラほどの大企業が私のような零細個人発電事業者に対して特許侵害を本当に提起するかというとあまり実感がわかない。恐らく、メガソーラー事業者などでハンファQセルズ製を採用しているような場合を想定しているのだと思う。
だが、今回の京セラの毅然とした姿勢を見るに、我々のような個人事業者、そして筆者の太陽光発電所の施工をしてくれた施工業者のS社にも火の粉が掛かる可能性は確かにあるように思う。(S社の担当営業Sさんにもメールで一応伝えておいた。)
まだ現時点では、すぐに何らかのアクションが必要とは考えていないが、ハンファQセルズ側の対応によっては、我々としても何か対応が必要となるかもしれない。
それにしても、太陽光発電を事業として手掛けていると、本当に色々な体験ができる。
ある行政訴訟で原告の一人となり裁判を行った経験はあったが、まさか自分が知的財産権の侵害という提訴で被告の立場になって訴えられる可能性が出てくるなんてことは想定もしていなかった。
ハンファQセルズのパネルを採用した同じ立場の方がもしいたら、今後いろいろと情報の交換をしたり善後策を一緒に検討したりできればと思うので、是非コメント(下にスクロールして下さい)またはコンタクトフォームにてご連絡を頂ければ幸いである。
コメント
こんにちは。
まだ設置はしてませんが、これからQセルズを設置予定の自分にとっては、かなり衝撃的な記事です。
これからどのようになるのか、注視していきたいと思います。
引き続き情報をよろしくお願いします。
茨城サラリーマンのばっしー様、
こんにちは。コメントどうもありがとうございます。
いやぁ、既に設置している者として、今回の提訴は、やはり心中穏やかではいられないですね。
ハンファQセルズ社がどのような対応を取るか、その巧拙いかんでは国内の太陽光発電の勢力図に一波乱起きる可能性もありますし、ばっしー様のようにこれから設置する方、検討中の方への影響も少なからずあるでしょう。
訴訟というのは時間が掛かるものですので、今すぐにどうこうということはないですが、太陽光事業は長期に渡りますので、当然ながら投下資本の回収という点では影響が出る可能性はあります。
もっとも、我々のような個人事業者に対して本当に損害賠償などをするのかというと、さすがにそこまではやらないのではという期待もありますが…
ともかく、今後も色々と情報の収集を続け、施工業者やQセルズにも必要に応じて働きかけて行きたいと思います。
ということで、こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
?様
はじめまして、Qセルズ販売店のソレイユ・イノベーションと申します。
今回の提訴の件ですが、弊社と致しましても大変迷惑してます。
京セラの商品も取り扱いしてますが、提訴内容がネット間で一人歩き状況です。
まず、ご理解いただきたいのは提訴内容で、モジュールに関しましては韓国製のハンファ製モジュールが対象となってます。
Qセルズのモジュールとハンファのモジュールを一緒にお考えの方も多いと思いますが、まったくの別物で性能・発電量・特性・製造工程まで違います。
Qセルズを販売してる弊社でも、お客様に対して説明事項が一つ増えましたし、お客様の不安材料となる可能性もでてきました。
それでもQセルズの設置・販売に関しては問題ございませんので、ご安心いただくかるかと思います。
質問事項等ございましたら、メールでも対応いたします。
弊社HPもご覧下さい。
http://soleil-i.co.jp
ソレイユ・イノベーション様、
コメントと情報ありがとうございます。
もしハンファ製のモジュールのみが提訴対象で、Qセルズの方は対象外であれば、懸念はなくなりますね。
京セラのニュースリリースにはハンファ製モジュールが提訴の対象とは記載されていないので、訴状も確認するか、ハンファQセルズの公式発表を待つかしかないかと思いますが、御社はハンファのモジュールのみ提訴対象であるということをどの情報源から入手されたのか、もし差支えなければご教示頂ければ幸いです。
前略
京セラの三本バスバー特許についてご参考までに:
(1) 基本的に取扱い及び販売契約の時に、特許抵触についての条項を定め、抵触による損害が生じた時はメーカ(この場合Q-cells)が保証するとするとの条項が必要です。海外品を扱う場合は、注意が必要です。
(2)京セラの三本バスバーの特許の有効性は甚だ疑問です。すでに出願時(2004年6月)に海外に三本バスバーについて記載した文献があります。ただ、文献には裏面の三本のバスバーが記載されておりません。しかし、表裏のバスの本数を同じにすることは当該業者間で常識ですので、抗弁可能だと思います。
また、バスバーの線幅(0.5mmから2mm)、フィンガーの線幅(0.05mmから0.1)が規定されておりますが、これも2mmと0.1mmは常用されている上に、この数値幅は当業者では公知であります。また、表バスバーと裏のバスバーが互いに直下になるのも当時のモジュール工程から当たり前な技術です。
請求項2で、古くはフィンガー電極はハンダメッキされていたを、ハンダメッキなしにすることが請求されています。ハンダメッキなしは出願当時もすでに公知ですが、文献としてはないかと思いますが、請求項1が公知取れば、必然請求項4は成立しなくなります。
請求項3ではフィンガー幅が0.06mmから0.09mmと特定されていますが、これも当時では公知です。種々の文献でファインラインのフィンガーが記述されています。
請求項4ではエミッターのシート抵抗を60Ωから300Ωと特定しておりますが、これも通常の抵抗値であり、高シート抵抗についても文献がありあます。いずれにしても請求項1がすでに公知であるとの証明は可能であり、証拠文献もあります。
京セラの本特許と内容が全く同一の文献はないのですが、論理を組み立てて抗弁すれば成功すると確信します。
京セラも無効審判の可能性がありますから、本特許で侵害訴訟を提起するのに勇気がいるでしょう。
PV Masterより
PV Master様、
コメント及び詳細な情報のご提供、どうもありがとうございます。
まだ当分は裁判に時間がかかる訳ですが、判決の行方を見守りたいと思います。
今後ともどうぞ宜しくご指導下さい。