パワコンが50kWなら、45kW以上の出力時に力率調整
(「ソーラーシェアリング: 6次産業化提案がカギ【PV Japan 2014特集】」の続き)
メインステージのセミナー「太陽光発電事業の適切な導入に向けて」でFITの制度変更の話が終わると後半ということで、講師の方が交代し筆者が当初聞きたいと思っていた力率調整などのトピックとなった。
正確に言うと、力率調整は後半の系統連系関連で三つあるサブトピックの一つである。
つまり、力率調整、バンク逆潮流、フリッカー問題である。
これらの諸問題は太陽光発電が急激に増加したために顕在化した問題であり、経済産業省や資源エネルギー庁、NEDOや電力中央研究所などでも当然ながら予想していた問題である。
まず力率調整に関しては、SUNリーマンさんが彼のブログで言及していた通りで、東京電力管内では、平成26年6月2日以降に系統連系を申し込む事業者に対して一律に力率90%が適用されると講師の方は話していた。なぜ一律になったかは、もし一律ではなく後から連係した発電所だけが力率調整の対象となるのは不公平だから、つまり痛み分けということらしい。
【参考資料】:電圧変動対策に関するお願いについて(東京電力)
ただ、実際の影響は売電量が1割減ると言う訳ではないそうだ。つまり、ピーク出力の1割が力率調整によりカットされるということなので、パワコンの出力が50kW(低圧なら実際には49.5kWや49.9kWなど)なら、その90%の約45kW以上の出力となる場合に力率が調整される。
このような状態は一日の日照時間の内でも限定的なので、講師の方によるとその影響は1.5~3%程度の売電量低減とのことである。
講師の素性(≒電力会社側の回し者かどうかw)が分からなかったので、この数字が本当なのか、過小評価なのかは何とも言えないのだが、ほぼ妥当な影響だとすれば、仕方ないなぁ、許容の限度内かなぁ…と言う気もする。
(本来なら使えるはずの太陽光によるクリーンな電気をみすみす捨てる事になると言う意味では憤懣やるかたない所だが。)
力率調整される場合、「過積載」の採用は注意が必要
ただし、最近良く行われているパネルを「過積載」にするテクニックを使っている場合は注意が必要だ。この場合、同じく上述の低圧連系の例で言えば45kWでピークがカットされるとなると、50kW以上で10kW追加しようが、20kW追加しようが、あまり意味が無くなってしまうからだ。
セミナーの説明では、 PV/PCS(ソーラーパネル出力÷パワコン出力)が1.2~1.3(=50kW未満のパワコンに対してパネル出力が60~65kW)の場合、売電量低減の影響が3~5%にもなる可能性があるそうだ。
日射量がピークでなく、60kWなり70kWのソーラーパネルの発電による出力が45kW以下の間はもちろん問題ないのだが。
このセミナーのセッションでは東京電力管内の話だったが、これまでの経験と照らし合わせると、どうやら力率を一律90%に制限するという方向性は、中国電力や関西電力など他の地域の電力会社でも同一ではないかと感じている。
(続く)
【8/11 追記】
読者の方よりご指摘を頂き、力率制限がこれまでに連係済みの事業者も合わせて一律90%となるのではなく、2014/6/2以降に系統連系を申請する事業者において一律90%となると修正しました。事実誤認にてお詫び申し上げます。
コメント