御嶽山噴火:太陽光発電の視点

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九電ショックで太陽光発電業界が揺れるなか、今度は天変地異とも言えるニュースである。長野県と岐阜県の県境にある御嶽山が、昨日の正午少し前に噴火したのである。

御嶽に登山中だった方々の多くは下山し避難されたようだが、まだ行方不明の方もおられるようで現地周辺では緊迫した状況が続いているようだ。

噴火1分前にツイッターで投稿されていたenariさん:


まだ安否が確認されていないのだが、enariさん他の方々の無事を祈念したい。

さて、太陽光発電やエネルギーという観点から思う所を記しておくこととする。

まず、短期的に影響が及ぶのは御嶽山に近い、特に風下となる地域に太陽光発電を行っている場合だ。活火山の噴火ということで、火山灰や噴石が発生している。噴石によってソーラーパネルが直接被害を受けたと言う事例があるかはまだ不明だが、火山灰の方は昨日以降の風向きや風量によっては相当に遠くの方まで降灰があるという。

気象庁によれば、長野と岐阜の両県に加えて、山梨県と静岡県、さらには愛知県尾張地方北部までが降灰地域になるそうである。今後、太陽光発電ムラでもソーラーパネルに積もる火山灰の掃除などが必要になる方も出てきそうだ。

パネルの掃除やメンテナンスも大変だが、火山の噴火や台風、集中豪雨や積雪など、こういった天災はいつどんな形で自分の太陽光発電所に降りかかってくるか分からない。
したがって、当然のことではあるが、発電所が出来た時点で損害保険をきちんと掛けておくことが必須である。

二点目は、中長期的なエネルギー供給、特に原発再稼働の問題である。

内陸部にある御嶽山の噴火が直接影響を及ぼす原発は幸い存在しないが、九州電力の再エネ買取保留問題で問題となっている九州には玄海と川内という二つの原発がある。

とりわけ、鹿児島県の川内原発は、近々の再稼働を目指して政府や九州電力が準備を進めている訳だが、九州にある火山の噴火の可能性から川内原発の危険性を指摘する声が根強い:

川内原発の火山審査に専門家から疑義噴出 | 原発再稼働の是非 | 東洋経済オンライン

最も分かり易い意見は、ブロガーとして有名な「きっこ」さんのツイートに集約されていると言っても良い:

川内原発、「火山が噴火したら原子炉を緊急停止して核燃料を取り出してすぐに安全な場所へ移動するから問題なし」って、こいつ何言ってんだ?原子炉を停止してから核燃料を取り出すのに最短でも5日くらいかかるじゃん。

川内原発とモニタリング対象のカルデラ火山5か所

今回、御嶽山でも噴火の予想は困難であり、実際に噴火が始まってから気象庁も警戒レベルを急遽引き上げたというのが現実である。

ところが、安倍政権や原子力安全委員会、川内原発を運用する九州電力は火山活動の危険性を過小評価し、安易な再稼働に傾倒している訳だが、今回の御嶽山の噴火と同じような噴火が桜島や阿蘇山など、規制基準の半径160km以内にある5つのカルデラで起きないという保証はどこにもない。

時事ドットコム:【図解・社会】川内原発周辺の火山とカルデラ(2014年7月)

つまり、今後政府と九電の予定通りに川内原発を再稼働したとして、もし桜島などの噴火が起きて火砕流が川内原発を襲ったとすると、最悪の場合、福島で防止しきれなかった炉心溶融のような大参事が起こる可能性が決して低くないということだ。

翻って、九電が需給バランスが崩れると主張するくらい、いまや太陽光を始めとする安全な再生可能エネルギーの供給がある。火山活動が活発と言う点では、太陽光に加えて地熱発電もバイナリ―方式などと共にもっと活用されてしかるべきだ。

「九電ショック」が起きて間もない昨日奇しくも御嶽山が噴火したのは、ある意味「自然の神々からの警告」とも取れるのではないだろうか。九州電力と政府の関係諸氏の方々には、自然の脅威を軽視せずに賢明な判断をされることを願うばかりだ。

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