【単管パイプによる太陽光発電所の施工体験:その3】
単管パイプ太陽光発電所の建設現場で施工作業を開始!
集落から徒歩で10分ほどの少し小高い丘のような感じの地形の所に、その仕掛かり中の太陽光発電所はあった。
単管パイプ架台の太陽光発電所は珍しくないので筆者もこれまでにあちこちで見かけている(Looop社の太陽光発電キットも、基本的に単管パイプ架台の仲間と言っていいだろう)。
だが、基礎も単管打ち込みのオール単管パイプ(注:ソーラーパネル取り付け用のレースウェイを除く)で施工途中の単管パイプ架台を見かけたことはこれまで無かったし、その施工作業に携わるのも今回が初めてだ。
今回、架台の方は組み上がっているので、我々が行う作業はソーラーパネルの取り付け、パワコンの取り付けなどになる。AZ氏から聞いていた通り、80枚ほどのソーラーパネルをかなり斜度のある(30°位?)斜面に設置した単管パイプの架台に取り付けて行く。
かなりの急斜面と足場の悪いぬかるみでの施工作業
太陽光発電所の場所が平坦で普通の地面であれば、特にどうということは無い。
しかし、今回はかなり急な斜面で、田んぼと田んぼの間にあるため、斜面のすぐ下側は泥でぬかるんだ足場の悪い場所で、その辺での作業の難易度がやや高いと思われた。当然、持ってくるよう指示を受けていた長靴は着用となる。
それに滑り止めのついた軍手、現地で支給された工事用ヘルメットも装着して作業を行う。
ヘルメットについては、太陽光発電を本格的に始めるまでは「別にビルや住宅の建設現場じゃないんだし、大袈裟だよな~」などと思っていたのだが、けっしてそうではない。
単管パイプ架台に限らないが、太陽光発電所の架台はスチールやアルミの棒や柱で作られている。
それらの周囲や下を歩き回ると、注意力が散漫になった時などにどうしても架台に頭をぶつけたりしてしまうのだ。(実際に当方の太陽光2号基でも、架台の構造から頭をぶつけ易く、ヘルメットでもあればと思う事はあったし、今でもある。)
さらに、今回のように足場の悪い場所だと滑って転んだりしたときに頭を打たないような防御も必要である。したがって、今回の施工作業では自身の安全のためにも、支給された工事用ヘルメットをきちんと被って作業に臨んだ。
単管パイプに「レースウェイ」を組み合わせた架台
さて、ソーラーパネルの単管パイプ架台への設置だが、大友式の単管パイプ架台では、電気工事などで使用する「レースウェイ」と言う部材を流用して、ソーラーパネルを取り付ける。
(注:すべて単管パイプだけで架台を組み、U字ボルトと押さえの金具でパネルを取り付けるというやり方もある。筆者が1号基で導入したオフグリッド100Wソーラー電源の架台も単管パイプに直接ソーラーパネルを取り付けている。)
レースウェイにはソーラーパネルのフレームに開いている穴の位置と合わせて穴が開いており、その穴を合わせてボルトを通し、ナットで締めて固定するというのが基本である。
なお、こちらではソーラーパネルにはすべて中国ソプレイソーラー(Sopray Solar)社製の多結晶シリコン(出力255W)を採用している。
ソーラーパネルの設置は単管架台でも専用架台でもほぼ同じ
北杜星スタッフのK氏とI氏が、まずソーラーパネルの取り付けを模範実技として見せてくれる。今回の単管パイプ架台、先に述べたようにレースウェイというスチールの部材を単管パイプに固定して、そのレースウェイに開けた穴にソーラーパネルの穴を合わせて、ボルトとナットで固定するという取り付け方だ。
これまでにも二度ほどソーラーパネルの設置を施工体験会や友人の発電所の手伝いで行ったことがあり、それらのいずれとも少しずつ異なるが、架台にボルトやナットで取り付けるという点においては同じだ。
単管パイプ架台か専用の架台かというのが、太陽光パネル取り付けの段階であまり関係ないことは実際にソーラーパネルの取り付けを行ってみて良く理解できた。
強いて言えば、レースウェイを使わずに単管パイプだけで架台を組み立て、その架台にパネルを取り付ける場合は、単管パイプという点を最後まで意識することになる訳だが、それでも通常のボルトがU字ボルトになったり、またはボルトとナットの代わりに固定金具を使ったりという点が変わるだけで、基本は同じだ。
- 単管パイプにU字ボルトで太陽光パネルを固定する場合:
- 単管パイプに専用の固定金具で太陽光パネルを取り付ける場合(タキゲンなど):
いずれの場合も、単管パイプ、クランプ、金具などの単価が安くなるように購入・調達を行うことがコツだろう。単管パイプ架台でもコストが専用架台とあまり変わらないのであれば、専用架台を使う方が良い。
なぜなら、施工現場で一から組み上げなければならない単管パイプ架台よりも、工場で既にある程度組み立てて出荷される専用架台の方が施工が楽で早く、工数が削減できる分だけ施工費用が安くて済むという明らかなメリットがあるからだ。
もちろん、今回のような傾斜地、あるいは筆者の太陽光6号基のように段々がある用地など、太陽光発電専用の架台では設置が難しい場所では単管パイプで架台を組むしかないといった状況もあるかもしれない。
単管パイプ架台かどうかを問わず、電動工具が必須
実際に太陽光パネル取り付けの作業を始めて、慣れてくると作業スピードも速くなる。
パネルの穴の位置をレースウェイの穴の位置に合わせ、ボルトを差し込み、ナットを回して仮止めする。
これをソーラーパネルの4カ所に対して行い、1枚のパネルを取り付ける。この作業を基本的に全部のソーラーパネルに対して行い、最後に電動ドライバーで全部のパネルのボルト・ナットを増し締めする。
仮止めをすべて行ってしまえば、電動ドライバーで行う増し締めは、それほど時間が掛からずに意外に早く出来てしまう。
電動工具の力は絶大だ。もし普通のドライバーやスパナ、レンチだけしかないと、大幅に工数が増えてしまうだろう。
10~20kWくらいまでなら手動の工具だけでも何とかなるかもしれないが、60kW~70kW分のパネルを使う過積載を含め50kW以上の太陽光発電所を自作するなら、電動ドライバーは絶対に揃える方が良いだろう。
(続く)
コメント
単管パイプで行うときは太陽光架台専用の金具が売ってますのでそれを利用することをお勧めします。
最低、亜鉛メッキされたものを使わないと長期は無理です。
今回お使いの電気メッキ型のクランプでは20年は本当に無理ですよ・・・。
架台屋さんは、耐風圧、対積雪を、指示通り、設計し、設置可能な物しか、納品しません。ちなみに、弊社の発電所は、架台屋さんの設計ぎりぎりの、勾配で、建設しておりますが、6度、8度、指定は、当たり前です。30度?よそでやって下さいとの事です。キャッシュでする方は、単管でも大丈夫ですが、融資の人は、心配ではありませんかねぇ。保険で、割り切るという方法もありますが、次回引き受け可能か否かは、未知数だと思います。車に例えると、架台は、車体、(シャーシ)パネルは、エンジン、パワコンは、4輪、駆動系(タイヤ)の様な感じがします。
こんばんわ
素人意見で大変申し訳ないのですが…
これって基礎大丈夫です??
趣味で作ったり、撤去予定だったり、後でコンクリートで固めるなら別ですが、パッと見、今話題の台風が来るとあっという間に飛びそうで不安です(見た目が)
発電事業としてやっていく場合20年持つのか心配です。
また保証はどうなるのでしょう。
いや単管でも、きちんと、横引きを埋めてあれば負風圧にも耐えますよ。
農家のビニールハウスあるでしょ?あれも横にパイプ連結して埋めてます。
ただ、この地形では横引きは・・・。風が入らないってかんがえているんでしょうけど、
宮城で、発電所が地すべり起してるんですよね・・・。
皆様、色々と示唆に富むコメントを投稿下さり、ありがとうございます。
今回の発電所では、「横引き」を使ったとは聞いていません。
ただ、基礎となる単管パイプの打ち込み深さは1.5mとのことで、相当に深い所まで打ってますので、引き抜き強度はそれなりにあるのではと思います。
風や地盤など、発電所の設置ではそれぞれの場所毎に必要な強度や施工も変わってくるでしょう。大友さんは単管パイプによる太陽光設置を約20年前から手掛けてらっしゃいますので、山梨県のあの地域では、あのやり方でも大丈夫という経験に裏打ちされた施工方法なのではと理解しています。
もちろん、海に近い場所ではメッキや材質に対する強化が必要でしょうし、強風がソーラーパネルの裏から入り易い平坦な場所では横引きや筋交いによる基礎と架台の強化なども必要になるでしょう。
保証については、我々のような個人と同様、万が一の場合に備えて損害保険に加入しているのではと思います。