太陽光パネルの設置中ながら、かなりの急斜面…
斜面に施工中の太陽光発電所を先日、岡山のとある地域で見かけた。
それはまるで「天空の城・ラピュタ」と呼びたくなるような代物だったので、思わず写真を撮ってしまった。念のために真面目に書けば、これは欠陥工事と言っても良いレベルの太陽光発電所である。
ただ、案内してくれた方によると、この発電所は施主の方がこの小山の木を伐採してその傾斜地に太陽光発電所を設置したいという意向でこうなったらしい。
この太陽光発電所の工事を引き受けた施工業者も施工業者だが、捨てる神あれば拾う神ありという所なのだろう。(最初にこの工事の話をされた施工業者は、まともな施工・工事が出来ないと分かったので丁重にこの太陽光発電所の工事を辞退されたそうである。)
土砂崩れが起きると、崩壊し数千万円の損失となるリスク
まず、この小山の斜面は木が生えていたのを伐採した所で、そこに無理矢理コンクリートの円柱状の基礎を埋めるか置くかして、その上に架台を設置している。
しかし、このような状況だと強い集中豪雨や地震といった自然災害によって、土砂崩れが起きてコンクリート基礎ごと架台やソーラーパネルのアレイが崩壊してしまうリスクがある。
木が植わっていれば、地下に張った根ががっちりと土を支えるので、そういった土砂崩れのようなことは起きにくいが、木を全部切ってしまって、根っこも掘り出してしまうと、かなり急な勾配の斜面を支えるものは他にないからだ。
ちなみに、この施工工事の費用はなんと8000万円を超えているらしいのだが、筆者が施主ならこんな施工工事は、たとえ業者がやりたがっても絶対にやらせない。一雨来れば、おカネをドブに捨てる結果に終わる可能性が高いからだ。
いくら岡山県が「晴れの国」だからと言っても、まさか強い雨が降らないよう「雨乞い」ならぬ「晴れ乞い」をしつつ、毎日過ごす訳にもいかないだろうし。。。
集中豪雨や土砂崩れで損壊した太陽光発電所の事例
これまでにも、各地で集中豪雨や土砂災害によって損壊した太陽光発電所の事例は少なからず発生している。
2018年の6月下旬から7月上旬の集中豪雨(西日本豪雨)では、京都府と愛媛、広島、兵庫、山口の4県において、合計12か所の太陽光発電所が被災し、機器の破損や故障によって稼働できなくなったという。
ttps://www.sankei.com/west/news/180727/wst1807270048-n1.html
また2020年7月の集中豪雨(熊本豪雨)では、球磨川が氾濫した人吉市や球磨郡錦町の低圧太陽光発電所が被災し、フェンスを倒されたり、太陽光パネルが流されたりといった被害が発生した。この豪雨では九州だけでなく、遠くは東北地方でも最上川が氾濫、家屋だけでなく太陽光発電所が倒壊した事例もあったようだ。
とりわけ近年は気候変動の影響により、集中豪雨や台風による災害も過酷となりがちだ。
平坦な場所でも豪雨や土砂崩れで被害に遭うことがあるのに、急斜面に無理して建設する発電所ではそういった災害に遭うリスクを何倍も高めてしまう訳である。
ということで、急斜面への太陽光発電所建設は、よほど考えて取り組まない限り、元を取るどころの話ではなくなる可能性が高いことを肝に銘じておくべきと思う。
コメント
斜面に設置を考えている身としては考えさせられます。
当方は単管杭を1mほど打ち込み、それで架台を製作しようと考えています。角度は25度くらいですが。
この発電所はどれ位の規模(KW)なのでしょうか?
蛇野様、
いつもコメントありがとうございます。
発電所の規模は、恐らく200~300kW位かと思います。キュービクル(写真に写っている白い箱)もあったので、高圧連系であることは確かと思いますが、正確な規模は聞き損ねました。
斜面であっても、きちんと強度を計算し、集中豪雨や暴風・突風などでも影響が無いように作り込んであれば問題は無いと思います。
今回ご紹介した発電所は、施工を断る業者がいたぐらいですので、恐らく地盤がそもそも太陽光発電所などの施設の設置には適していなかったものを無理矢理に施工したものと思われます。