誰が「スマートメーター」を殺すのか

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太陽光発電所にスマートメーターを導入?

最近、スマートメーターのことを本業絡みで少し調べた。

スマートメーター

そんな中でふと思ったのが、筆者の太陽光発電所でスマートメーターを使えなかったのかということ。

まぁ少し考えればやはり無理だとなる訳だが、少なくとも発電量を計測する方の電気メーターは発電事業者側が選べるはずなので、そうであれば旧態依然としたアナログ式の電気メーターじゃなく、最先端のスマートメーターを設置したいと思った訳である。

ただ、スマートメーターの導入は最も早い東京電力でも今年の7月以降の設置開始となっている。ましてや中国電力となると、まだまだ全然話にならない。これでも一部の電力会社では、相当に前倒しにした結果らしいが、国内だけでなく世界の潮流を見ながら話をしろという感じだ。

総括原価方式という美味しい仕組みや「国策民営」という無責任さのために、安全性が心もとない原発の再稼働や新規建設には血道を上げる癖に、電気代が目減りする恐れがある電力計のスマート化には極めて後ろ向きなのが日本の電力業界の現状だ。

先日政府が決めた改正電気事業法とそれによる電力自由化も実際にその中身がどんなものか分かるまでは油断がならないと考えている。

なぜなら、現在の政権与党が電気事業連合(電事連)とズブズブであり、電力業界の利益にならないことを政府がやるかというと相当に疑問だからだ。

日本のスマートメーター導入は欧米より周回遅れ

だから、スマートメーター導入に関しても政府・経済産業省が英断を下して2020年代には日本もやっと電力網(特に配電網~各顧客)のスマート化が実現するが、これも欧米などで既にスマートメーターが導入されている国や地域と比べると少なくとも5年、下手をすると10年は世界のトレンドから遅れている。

すべては電力利権、原発利権を温存したがための結果だ。

再生可能エネルギー、特に太陽光発電に関しては一昨年の全量固定価格買取制度で他の国々にかなり追いついたが、スマートグリッドでは完全に出遅れている。

経済産業省もさすがにこんな状況では拙いと思ったのだろうが、”too little, too late”(少なすぎ、遅すぎ)というのは、こういうことを指す。

原発メーカーの一角T社が近年、欧米のスマートメーターの大手であるランディス・ギア(Landis+Gyr)という企業を買収してエネルギー関連業界で話題になったが、国内では上述の通りでいまだに鉄の円盤がクルクル回るアナログの電力計が殆どの場所で使われている。

節電とピークシフトを取り違えているために、エスカレーターやエレベーターを晩方に停止している駅ビルやオフィスビルをよく見るが、こういう的外れ※な節電がまかり通っているのも日本のスマートグリッド化が世界のトレンドより1周か2周は遅れているからだ。

(※ もちろん、ピークシフトへの貢献でなく単に電気の節約、電気代の削減をしているというだけなら、それはそれで構わないのだが…)

せめて太陽光発電と同じくらいのレベルに国内のスマートグリッド化の方も早く達して欲しいものである。

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