杭基礎の打ち込み~架台設置~パネル取付【太陽光発電・施工体験会】

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杭基礎の打ち込み

タイトな日程で時間が押したため予定より少々遅れたものの、午前中の分譲型太陽光発電所の見学を終えて施工体験に参加する方々(今回は、分譲の見学者の大半=施工体験会の参加者)が集まり、いよいよ施工体験会が開始となった。
太陽光発電所・施工体験会の参加者の皆さん

まずはピッピさんが仕切っての挨拶。
ピッピさんの挨拶

これに先立って、ピッピさん達は防草シート敷設が既に行われたMさんの発電所の敷地で位置出しの作業を行っていたのを筆者は見ていた。

太陽光発電所の位置出し作業

この辺、参加者の目には見えない、スタッフの地道な作業と言う感じ(筆者はこういう光景を何度も目にしているのだが、いつも頭が下がる)。

さて、挨拶も終わり施工体験が始まる訳だが、今回の施工体験では、

  1. 杭基礎の打ち込み
  2. 架台の設置
  3. ソーラーパネル取り付け
  4. 配線の結線
  5. 架台の微調整

 
と、太陽光発電所施工のほぼ一通りの作業を学ぶことが出来るよう、きちんと考慮されていた。

特定ベンダの架台という制約はあったものの、既に述べたように他の構造の架台でもこの流れに大きな違いは無いので、このような施工を体験できることのメリットは大きいと考える。

ということで、まずはロケット杭の打ち込み。
A嬢が作業に先立って、このロケット杭の簡単な説明をしてくれた。

ロケット杭の説明をするA嬢

バスガイドや女医の時も一生懸命だったが、ツナギの作業服の今回ももちろん真剣で手抜き無しだ。太陽光発電ムラの某氏がA嬢がいるかどうか太陽王子に確認する電話をする云々なんて面白い話があったが(笑)、無理からぬことかもしれない。

このロケット杭の打ち込み、手作業であれば恐らく筆者がフェンス施工のときに使ったハンマーや「かけや」のようなものを使うことになるのだろうが、それでは手間暇が掛かりすぎて大変である。

ということで、今回の施工体験でも実際の施工現場と同じように「電動ブレーカー」を使っての作業を行った。

電動ブレーカーと杭用アタッチメント

土木工事を行うゼネコンやハウスメーカー等で建設工事などに関わる方であれば、仕事で電動ブレーカーを使う方もいらっしゃるだろう。しかし、それ以外の業界の方は筆者と同じでこの種の工具は初めてだと思う。少なくとも筆者は大変貴重な経験をさせて頂いた。

野外の施工現場では家庭やオフィスのように電源が無いので、ガソリンエンジン付きの発電機を使って電気を起こし電動工具を使う。

ロケット杭を位置出しして印の付いた所に立て、グリスを塗布しアタッチメントを付けた電動ブレーカーを持ち上げてスイッチを入れる。

電動ブレーカーによる杭打ち

「ガガガガッ!」という電動ブレーカーの振動に負けないようにしっかりと押さえながら、ロケット杭を少しづつ地面に打ち込んでいく。

ロケット杭の上部にはちょっと長いボルトのネジ部が出ており、これに架台を固定するのだが、このボルトとそれを止めているナットが振動で緩んで、外れたボルトが地面に打ちこまれた杭の底に落ちてしまわないように注意が必要。

ロケット杭の中位から少し上に付けてある羽根の部分が地面より少し隠れる程度まで打ち込めば、その基礎の杭打ちは完了となる(次の写真はもう少しで打ち込み完了となる杭の様子)。

あと少しで打ち込みが完了する杭基礎

架台の設置

ロケット杭の杭基礎の打ち込みを参加者がみな体験し終わった所で、休憩を挟んで架台の設置へと工程が進む。(体験施工のため、敷地内の他の部分の杭基礎工事は後回し)

先にも書いたように、今回使用する架台は中国の工場で予め組み立てが行われており、折りたたんだ形で木枠に詰められて施工現場まで搬入されてくる。

施工の際には、折りたたまれた部分を開いて杭基礎に付いているボルトにナットで固定するだけなので、素人でも比較的簡単に施工が可能となっている。

また、架台の設置の際にある程度の調整が効くので、杭の水平・垂直はあまり気にせずに杭打ちを行うことができる。

もちろん、杭基礎の段階でできるだけ垂直に打ち込んでいる方が仕上がりを整えるのが楽だが、ソーラーパネルが見た目に多少波打っていても、発電効率にそれ程の違いはない。

DIYと割り切って多少見た目が不ぞろいな点に目をつぶれば、太陽光発電所の施工費用を大幅に削減する事も可能になるということである。

もちろん、見た目を気にする方もいると思う。

そういう方は、DIYではなくプロの施工業者にきちんと施工費用を支払って作業をしてもらうか、DIYでも水平・垂直を丁寧に測りながらソーラーパネル・アレイが一直線に揃うよう手間暇をかけるか、ということになる。

結局、手間暇やコストと見た目の良さも正比例するということだ。

さて、架台を木枠から運んできて折りたたまれた後部の三角形の脚の部分を広げ、架台の方の設置部の穴をそれぞれ杭のボルトに通してから置く。
架台を木枠から取り出す

架台を設置する場所まで運ぶ

架台を杭に設置

杭の上に載せたらナットで固定するのだが、角度やズレの微調整を最後に行う場合には、ナットをきつく締めずにすべて仮止めの状態のままとしておく。

架台を杭に設置しナットで仮止め

ソーラーパネルの設置

架台を杭基礎にナットで仮止めしたら、いよいよソーラーパネルの取り付けを行う。

ソーラーパネルの取り付け

架台にはソーラーパネルを引っかけるフックのような金具が付けてあり、そこにソーラーパネル側の金具を引っかけるようにする。

架台が所定の傾斜角で傾いているため、フックに引っかける形で止まる訳だ。

今回の架台では、一つの区画には上下2枚のソーラーパネルを取り付ける。

筆者の太陽光発電所では4枚を縦積みしてソーラーパネルのアレイを構成しているが、2枚だけだと当然その分設置も楽である。

2枚のソーラーパネルをそれぞれ全部の金具に引っかけて止まった状態で、裏側からネジで締める。ネジ止めやナットを回して留める時も、手っ取り早いのは電動ドライバーやインパクトドライバーである。

ソーラーパネルを取り付けるためのフック・金具

普通のドライバーでももちろん可能だが、すべて手作業だとやはり時間が掛かる。
太陽光発電をDIYで組む場合には、何らかの電動工具がある方が効率よく施工作業が進められるのは間違いない。

杭基礎の打ち込みでも電動ブレーカーを使うと手作業より早く楽に作業が行えたが、ネジ止めやナットの締め込みも同様に電動ドライバーが圧倒的に早いのだ。

なおソーラーパネルの枠(フレーム)はアルミ製だが、中国の工場から搬送されたソーラーパネルのフレームにはアルミのバリや金属くずが沢山ついたままなので、軍手の着用が必須である。素手での作業をしていると、それらのバリや金属くずで手を傷つけたり、汚したりしてしまうので宜しくない。

体験施工会は5月にもう一度実施されるようだが、参加してみたい方は軍手を必ず忘れずに持参されたい。

さて、このような感じで、杭打ち込み→架台設置→ソーラーパネル取り付けと進めてくると、パッと見た目には太陽光発電所らしくなってくる。

今回は体験施工なので、2列で10枚程度の取り付けだけで終わりだが、実際の施工でも50kWだと当然その分架台やソーラーパネルの数が増えるが、やる作業は同じだ。

だから一度施工のやり方を覚えてしまえば、あとはその繰り返しとなるだけなので、慣れればその分施工のスピードも上がり、効率良く素早く太陽光発電所の施工が出来るようになるだろう。

(続く)

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