米FTX破綻から仮想通貨の投資家が学ぶべき教訓

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仮想通貨(暗号資産)交換業で大手の一角だった米FTX社、および関連する投資会社であるアラメダリサーチ社が破綻した。

この件は既にNHKを始めとした主要マスメディアでも報じられているので、多くの方がご存じか聞いたこと位はあるかと思う。

太陽光発電しか手がけていない方にとっては大して興味のない話題かもしれないが、投資や経済一般という観点から注目している方も少なからずおられるだろうし、実際に損失を被ったという方も、もしかしたらこの記事を読まれているかもしれない。

ということで、米FTXグループ破綻の顛末について筆者の経験や思う所などを記しておきたい。

筆者も米FTXに口座開設していたが…

まず、筆者もわずかながら仮想通貨(暗号資産)への投資を行っている訳だが、幸いFTXを取引で使ってはおらず、今回のFTX破綻により直接の損失を被ってはいない。

昨年の6月頃、とある仮想通貨インフルエンサーの方が紹介していたキャンペーン情報から、FTXで口座を新規開設し取引を行おうとしていたのだが、愚図な筆者はそちらへの入金や暗号資産移動を一切行っていなかった。

もし何がしかの仮想通貨や暗号資産を当時開設したFTXの口座に移動してあれやこれやと取引を行っていたら、筆者にもそれなりの額の損失が発生していたかもしれない。その点では、筆者が愚図でのろまだったことが、今回ばかりは幸いした格好である(結果オーライw)。

とは言え、最近ただでさえ弱含みで推移していた仮想通貨の相場をさらに冷え込ませる悪材料として、米FTXグループの破綻は十分すぎるものだった。

仮想通貨(暗号資産)相場はFTX破綻をうけて総崩れに

仮想通貨の代表とも言えるビットコイン(BTC)は、日本円で240万円弱、ビットコインに準じる地位にあり、より汎用なブロックチェーンでスマートコントラクトのデファクト標準プラットフォームのネイティブ通貨であるイーサリアム(ETH)は同18万円弱という具合で、現在いずれも一年ほど前の最高値と比較してわずか1/3程度の価格となっている。

もちろん、これから仮想通貨・暗号資産への投資をしたいと考えている方にとっては、BTCやETHなど主要な仮想通貨が安値圏にある現在はある意味で好機と言えそうなことは確かだ。

ただ、相場の状況や投資家のメンタリティなどを鑑みると、安値を拾うと言っても相場がまだまだ下落する可能性も多分にあり、もうしばらくの間は悲観的な相場が継続する公算が大きいとみている(「落ちてくるナイフは掴むな」という格言を思い出す…)。

つまり、下がったら下がった分だけ買い下がる準備や長期保有するという覚悟のある投資家でなければ、様子見すべきかもしれない。(本ブログ記事はあくまでも参考にすぎないこと、この辺の判断は投資家が各々の自己責任で下すべきものであること等、ご留意下さい。)

いずれにしても、米FTXの破綻という一つの事件だけを見て「仮想通貨投資はすべて危険だ」と考えるのは短絡的であり、いわば「木を見て森を見ず」である。

FTX事件の本質は、企業統治や経営の体制・姿勢等の問題にあり

ツイッターに公開された情報などから米FTXで大きな問題として明らかとなったのは、まず投資家からの預かり資金を同社が分別管理すらせず、同社の関連会社で投資を行っていたアラメダリサーチ社にそれらの資金を勝手に流用して投資を行っていたらしいことである。

米FTXの創設者で元CEOのサム・バンクマン・フリード氏

米FTX創設者で元CEOのサム・バンクマン・フリード氏。仮想通貨の業界ではイニシャルのSBF、または「アフロ」のニックネームで知られる。(出所:Wikimedia Commons)

また、同社の経営陣は創設者で最高経営責任者(CEO)であったサム・バンクマン・フリード(SBF)氏と、同氏に近い知人や友人で占められていたのだが、その中には適切な知識や経験を有しているかが疑問な重役も少なからずいたこと等もあるようだ。

このように、今回のFTX社破綻の背景には、仮想通貨・暗号資産の問題というよりも、米FTX社自体の経営体制や企業統治(ガバナンス)、バンクマン・フリード氏による経営姿勢などに重大な問題がいくつもあったことが判明している。

こういった状況を受けて、仮想通貨の相場が目先で軟調であることは既に述べた通りだが、とりわけFTX社のネイティブトークンであった「FTT」、同社が開発に深く関わっていた高性能ブロックチェーン「Solana(ソラーナ)」のネイティブトークン「SOL」等が暴落している。

本来、仮想通貨は構造的に分散型であり、元々どこか一社の企業や一人の人物の一挙手一投足で大きく相場が動くようなものでは無い。

上述のビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨は、「分散」という性質を強く持っているため、FTX破綻のような問題が今後起きる可能性は極めて低い。

(注:イーサリアムに関しては、生みの親であるヴィタリック・ブテリン氏の意向や思惑が相場にも影響を与える傾向はある。しかし、数多くの開発者が世界中に分散していること、コミュニティ全体でイーサリアムの方向性が決められること等、ビットコインに準じた特徴を持ち、特定の企業や個人の失敗・過失によって暴落するような事態は考え難い。)

一方、FTTやSOLのように、どこか特定の仮想通貨や関連企業、関連人物の影響を強く受ける仮想通貨・暗号資産の保有や取引においては常に注意が必要だし、どの取引所を使うかということも改めて吟味しなければならないことは確かである。

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