ソーラーインパルス2(Solar Impulse 2: Si2)は名古屋から飛び立ってしまった訳だが、結構ハマってしまっている。
ホームページにアクセスすると、コックピットの状況をライブ映像で見ることができるし、モナコのコントロール・センターとのやり取りの音声も聞くことができて、会話の内容が分かる訳では無いのだが、断片的でも中々おもしろいのだ。
前に書いた記事で、ソーラーインパルスのコックピットは長時間の飛行でも快適に過ごせるように、旅客機のビジネスクラスと同じかそれ以上の快適さだとの話をご紹介したが、まんざら誇張でもないかもしれない。
なにしろ、パイロットはこのコックピットに5日間ずっと座り続けるのである。もしかしたら、筆者が岡山に行く時に使う格安高速バスよりはこちらの方が快適かもしれない(笑)。
太陽電池で空を飛ぶソーラー飛行機のしくみ
もう一つ、興味深いのがソーラーインパルスのエネルギーマネジメント技術である。
やはり何日か前に、ソーラーインパルスはオフグリッドのスマートハウスのようなものだと書いた:
だが、多分スマートハウスよりもずっと面白い。なぜかと言えば、夜間にはほとんど電気を使わない住宅と違って、ソーラーインパルスは夜間もずっとモーターを回して飛行を続けている、つまり電気を消費しているからだ。
そのエネルギーの流れやバッテリーの充電状態(SoC)などもリアルタイムの状況をホームページで見ることが出来る。いやぁ、これ、太陽光発電やってる人なら、見てたら飽きないと思う。少なくとも筆者は飽きずにかなり長い時間、このエネルギー管理やバッテリーの状態の変化を眺めていた。
夜間まだ日の出前はバッテリーの電気だけを使って飛んでいる訳だが、太陽が出てくると、主翼や機体上面の太陽電池が発電を始める。
すると、それに応じて、バッテリーの出力が少しずつ減り始める。太陽の高度が上がるにつれて、どんどんバッテリーの出力が減少していき、やがて太陽光パネルで発電したエネルギーだけでモーターを回し、蓄電池への充電も開始する。
例えば、早朝のある時点では太陽光パネルが5~6kW発電している。このうち、4kWをモーターの駆動に、1~2kWをバッテリーの充電に充てるといった具合だ。この辺のエネルギーマネジメントは、スポンサー/パートナーに名前を連ねているABBあたりの技術を活用しているのかなと思う。
それにしても、モーター/プロペラの出力を下げるということも予測はしていたのだが、わずか4kWでも空を飛び続けられるというのは、ちょっと驚いた。4kWといえば、住宅用の太陽光発電システム程度の出力である。
もちろん、夜間ずっと飛び続けるだけの電気を昼間に蓄えるために、60kW位のパネルを積んでいる訳で、昼間はピークの出力が80kWくらいまで出ていることが分かる。我々の過積載の太陽光発電所と違って、ピークカットなんてせずに発電したエネルギーを全部動力として飛行に使うかバッテリーに貯めるかして余すところなく使っている訳で、なんと効率が良いシステムだと、ソーラーインパルス2の凄さを改めて実感した。
あと、もう一つおもしろかったのは、寒冷前線などを避けるために、一時的にハワイとは逆(西)に向かって飛んでいる瞬間があったこと。このときには、無駄に逆方向に飛び過ぎないようにするために、出力を最低限(≒4kW)に落としているということもあるようだ。
この分だと、ソーラー・インパルス2がハワイに無事着陸するまで、公式サイトに何度もアクセスしてしまいそうである。。。
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