太陽光のエネルギーだけで太平洋を横断
太陽光発電のエネルギーだけで空を飛ぶソーラーインパルス2(Solar Impulse 2:Si2)が、7月4日の午前1時(日本時間、現地時刻は7月3日の午前6時)に着陸する見込みだ。
筆者がこの記事を書いている7/3の午後11時半頃は、ホノルルのカラエロア空港周辺の上空を旋回して着陸時刻まで待機している。おそらく、空港側との取り決めで、この時刻より前には到着許可が下りないのだろう。
6月上旬に名古屋に予定外の着陸を余儀なくされたあと、機体の一部破損もあり、天候がなかなか回復しないまま約1ヶ月の待機を余儀なくされたが、これらの苦労がすべて報われる形だ。
もっとも、まだソーラーインパルス2による世界一周の旅は完了していないのだが、今回の世界一周のルートでは最難関と考えられていた太平洋の横断が無事に完遂したことで、ソーラーインパルスのプロジェクト関係者は皆が峠を越えたと考えていることだろう。
今回の単独太平洋横断飛行には、少なくとも二つの意味がある。
まず、有人飛行機による単独飛行の世界記録、米冒険家の故スティーブ・フォセット(Steve Fossett)氏が2006年に樹立した76時間45分を117時間52分と大幅に更新したこと。
そして、もう一つの意味が、その記録更新が内燃機関と化石燃料を一切使わない、太陽電池やリチウムポリマー電池と電気モーターを駆動系としたゼロエミッションの航空機によるものだということ。
ソーラーインパルスのプロジェクトが主張するように、彼らが化石燃料を一滴も使わなくても空を飛ぶこと、太平洋を横断することすら可能(といっても、まだ色々と制約はあるが…)であることを証明してしまった訳である。
世界の富裕層がソーラー飛行機を買い求めるかも?
現在、世界の富裕層には個人でセスナなどの飛行機を所有したり、操縦したりする人もいるが、ソーラーインパルスの成功で今後これと同じように太陽電池を搭載した飛行機を保有する人が出てきそうな予感がしている。
今回の世界一周の始点と終点がアブダビ(マスダールシティというスマートコミュニティがあり、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の本部が最近できた街)だということで、アラブの大富豪なんかがソーラーインパルスのチームに「同じ飛行機を一機売ってくれ!」なーんて展開もあるかもしれない。
先にも書いたが、ハワイは2045年に電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを州の法律として決定した。それを決定して間もない、7月4日という米国では特別な日に(米国では3日なので正確には1日早いが…)ソーラーインパルスが歴史的な着陸をする。
ハワイにとって、今年の「4th of July」(米国独立記念日)は特別な意味を持つことになりそうだ。
何はともあれ、ソーラーインパルス、無事着陸と世界記録更新、おめでとう!
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