住宅用太陽光発電を導入するなら、早い方が良いと煽るような記事を見た:
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160521-00000129-economic-bus_all
確かに、固定価格買取制度(FIT)による余剰電力の売電を前提とするのであれば、早い方が良いと思う。
買い取り価格が毎年下落し、住宅用でもkWhあたり30円台が遅かれ早かれ20円台/kWhへと改定されてしまうのは時間の問題だからだ。何しろ、政府は太陽光だけを目の敵にして、抑え込みにかかっている感がある。
この記事でも、最近の太陽光発電システムの出荷量について言及しているが、激減と言っても差し支えないだろう。以下、一部を引用させて頂く:
太陽光発電協会(JPEA)は日本国内における2015年度第2四半期(2015年7~9月)の太陽電池出荷量の調査を行ない、発表したその結果をみると厳しい状況が垣間見える。
調査結果によると日本国内の太陽電池出荷量の減少が顕著だという。2015年度第2四半期(2015年7~9月)の太陽電池モジュール総出荷量は、1979MW (メガワット)と、前年同期比で23%減少した。その前の第1四半期(同4~6月)は1737MW(同13%減)であり、減少の幅は広がる傾向にあるようだ。
国内出荷量では、個人住宅用の減少がより顕著となっており、前年同期比31%減となっている。500kW以上の非住宅用メガソーラーは堅調で前年同期比4%増だったが、500kW未満の非住宅向け小規模発電用は前年同期比で47%減と半減した。国内における太陽電池の需要減少は、固定買取り制度(FIT)の価格が引き下げられたことが要因とみられる。
FITが施行されて最初の1~2年は、「太陽光バブル」とまで言われるほど爆発的に市場が拡大した訳だが、この1~2年の市場縮小は正に目を覆わんばかり。
住宅用が約30%減、産業用の10kW以上500kW未満が47%減という悲惨な状況だ。
同じく産業用のメガソーラーは4%増とあるが、件数ベースでは500kW未満、特に我々のような個人や中小企業の50kW未満の低圧連系の産業用の太陽光発電所が7~8割方を占めていたはずだ。
メガソーラーが4%程度増えたといっても、50kW未満を中心とした産業用が半減では完全に「焼け石に水」というのが現状だ。
サニックスや田淵電機のようにこの市場セグメントの急成長に伴って好調だった企業が軒並み業績の悪化に苦しみ、株価が右下がりになってしまったのも無理はない。
四国のフィットのように、この3月に株式を上場したばかりなのに決算を発表していないといった異例の展開を見せている企業もある。ここも、業績が相当に悪化している可能性がある。
住宅用の太陽光システム市場は「レッドオーシャン」
唯一、国内の太陽光発電システム市場でまだ希望があるのが、市場が縮小傾向とはいえゼロエネ住宅などの需要が見込める住宅用だが、産業用に見切りをつけたメーカーが大挙してこの市場セグメントに押しかけて来ている状況。
つまり、真っ赤っかの「レッドオーシャン」と言っても良いのではないだろうか。
今や世界トップのトリナ・ソーラーやカナディアンソーラーなど、これまでは産業用メインで太陽光パネルを売り捌いて来た中国の大手メーカーも、こぞって住宅用をターゲットにしている。最近、本ブログでもお伝えしたが、Looopしかり。
国内の太陽電池大手であるパナソニック、京セラ、そしてホンハイ傘下入りが決まったシャープと化合物系で一人気を吐き国外の産業用でも頑張っているソーラーフロンティアも、住宅用の価格下落圧力に相当苦しんでいると想像している。
何しろ、消費税上げやFITの買い取り価格下落、それに出力抑制などの懸念による太陽光の敬遠など、一般の消費者が積極的に太陽光発電におカネを投じる必然性がなかなか無さそうに思える。
それに、住宅用だと、まず戸建てに住んでなければならないという条件があり、ここで筆者のように集合住宅に住んでいる世帯が振り落される。
遠からず、政府・経産省や国交省が、ゼロエネ住宅の普及策を大々的にぶち上げるのではないかと想像している。もしかしたら、今まで富裕層の節税に効力を発揮したグリーン投資減税に似たような何らかの減税策も組み合わせてくるかもしれない。
それにしても、余剰売電なら確かに買い急ぐのもありだが、オフグリッドなど自給自足を前提に考えるのであれば、あまり慌てて買わなくても良いようにも感じる。太陽電池のコストは、今後も確実に下落していくだろうからだ。
コメント
住宅用は今の単価なら早めの導入がお得です、理由は工事固定費が40万円ほどかかり、一般的な容量である4KWだと太陽光の単価が多少下がっても変わりません。また、太陽光部材に占めるパネル割合も下がっていますので今後のシステム価格低下は期待できないと思うのですが、どのようにお考えですか?
にゃんた様、
コメントおよびご見解どうもありがとうございます。(お返事だいぶ遅れましたが、ご容赦下さい。)
そうでしたね、この記事書いた時、工事費のことをちょっとウッカリしていましたが、日本ではご指摘通りで太陽光発電システムの費用のうちで工事費の占める割合がかなり高いですよね…
ただ、買取価格が下がったことで、これまでかなり高めの施工費の設定だった業者でも、見積りで出してくる価格を少し下げた例は当方の知っている範囲でもありました。
部材と工事費のバランスを考えても、企業努力で効率よく作業することで工数を減らし、その分を多少でもお客さんに還元するというのは有りではないでしょうか。
逆に、そういった努力を怠っている業者は、努力して少しでも施工費を安くしてくれる業者との競争に負け、最悪の場合は市場から淘汰されると言う可能性はあるように思います。
今後のシステム価格低下については、確かにかなり価格が下がってきたこと、下げ余地が少なくなってきたことは間違いないですが、私見ではまだ底では無いように思います。
太陽電池には製造工程や材料(シリコン)など、半導体集積回路の製造と似た面があります。
半導体で「ムーアの法則」に従って集積度が上がる一方で単位シリコンまたはビット当たりの単価がどんどん下がったように、太陽電池の単価(W当たりまたはkW当たり)も、もう少し下がりそうと考えています。
工事など人件費がそう簡単に下げられないのと異なって、大量生産ができる工業製品では、規模の経済や技術革新によってコスト低減が可能だからです。
仕事柄、海外の太陽電池市場の動向などもしばしば目にしますが、需要と供給ではまだ供給が過多の状態で太陽電池の価格下落はまだ続く、と楽観的な見解が多いと思います。
住宅用は新築以外はおすすめできませーん!
なぜか?アホ業者が多すぎ儀丹です。
野建てで大挙して参戦したので、ゴミ業者が多いのです。
そんな連中に、大切なお住まいの改造なんて・・・。
家庭用に参入する某DIY業者のものなんてもっての他です。
一度野建ての見学会にいったら電気工事店の自己物件なのに
PCS入線にWPFが使われていない。出来たばかりなのに架台に錆
上向きWPF管の入り口を塞いでいない。
南に電柱と携帯電話のアンテナがあるのに、発電量が1200KWh/KW可能と
おっしゃる。
そういうのを見本として見せてくれるメーカーさんの施工管理能力は・・・・。
少なくともお願いするのは施工暦7年以上の業者にしましょう。
あと民間資格ですが、太陽光発電施工技術者を持ってる業者も確認しましょう。
P○プランナーなんてのは違いますよ?
前者はJPEA認定ですから。
非常に簡単な試験ですので持ってない業者はゴミ業者です。
以上、テンションアゲアゲで書いてみました。
匿名希望=通りすがり(鬼)さま、
いつもコメントありがとうございます。
なるほど、いろんな業者がいるので、やはり住宅用もきちんとした業者さんを選ばないと、トンデモないことになるということですね。
確かに、屋根の上に何百kgにもなる機械を載せると言う意味では、野立て以上に構造とか強度の計算や確認が重要と思います。
最近読んだあるブログでは、太陽光発電の設置が建築基準法の対象外で自主規制レベルだ、だから太陽光は危険だ、原発の方が安全だ…と最後は論路の飛躍がちょっと酷いながら(苦笑)、法のシバリが無いのを良いことに手抜き工事をする業者がいる(多い)可能性に言及していました。
そこは、確かに業界として自ら襟を正すなり、法律で縛るなりといった対応は必要かもしれません。
ただ、そういう法規制が出来ると、どうしても価格に跳ね返りがちなのので、理想的には市場競争の中である程度、業者の淘汰が起きて、きちんとした業者が生き残るというのが望ましいようにも思います。
例えば、高速バス。
この分野も、事故が起きてから先の国交省による規制が大幅に強化された結果、規制に対応できない事業者は撤退、残った事業者によるサービスの質は確かに改善された訳ですが、料金の相場も大幅に上がったように思います。
その辺のバランスがうまく取れることを希望したいですね。