インリーの株価が最安値を更新

インリーソーラーの倒産リスクがさらに上昇?

中国インリーソーラー(Yingli Green Energy/インリーグリーンエナジー[YGE])の株価(米ニューヨーク証券取引所)が昨日の時点で最低記録を更新し、一株0.78ドルをつけた。

インリーソーラーの株価(NYSE)

インリーソーラーの株価(NYSE、出典:Yahoo! Finance)

その後、米国時間の7日朝にニューヨークで取引が開始されてから少々値を戻しているが、値動きと同社のファンダメンタルズを見る限り、一株1ドルの節目を超えて大きく回復する可能性は今の所あまり無さそうだ。

かといって、インリーがすぐに倒産するという訳でもなく、株価は当面このまま1ドル前後の低い水準で推移すると思われる。

インリーについては、次の記事でも興味深い分析と指摘がなされている:

この記事でも指摘されているように、インリーの負債は2015年10月に社債200億円分の返済期限となり、その時点でもし返済が出来ないような事態になると、いよいよ倒産や経営破たんといった可能性が一気に高まるだろう。

タイムリミットはあと2~3ヶ月あり、その間に資金繰りの目途がつくようなら、当面は安泰ということになる。中国の政府系メーカーということもあり、経済への影響を考慮して中国政府が何らかの救済措置を発動する可能性もある。

ハゲタカ的な弁護士事務所の主導による株主集団訴訟提起などの動きも相変わらず。

インリーにとって当分の間は綱渡りの状況が続くが、同社の新聞発表などを見ていると、そちらも相変わらず財務状況にはほとんど触れず、英国にインリーが建設したメガソーラーを売却したとか、何がしのメガソーラーのパネル供給案件を受注したとか、そういうニュース発表に終始している(メガソーラーの売却は、少しでもキャッシュを増やして資金繰りを楽にしようという動きだと思われるが)。

インリーが利用する固定価格買取制度の欠陥とは

ところで、上述のJBPress記事ではインリーの事例に基づいて、我が国の固定価格買取制度の問題点も指摘している。

本ブログでインリーの状況を扱って以来、かなり多くの方が読んで下さっている。
恐らく、インリーのソーラーパネルで設備認定を申請した方も少なくないはず。

そういった太陽光発電事業者の方々に対して、インリーがソーラーパネルの納入やそれに対する支払いの条件を一方的に変更したと記されている。

記事を執筆した宇佐美氏(=以前は経済産業省のキャリア官僚だった方)の鋭い指摘は、次の部分(記事の3ページ目後半)に集約されている:

・・・この(インリーの)要望は我が国の「固定価格買取制度(FIT)」の制度的欠陥を巧妙につくものとなっており、顧客はこの要望に従わざるを得ない状況にある。

 我が国の固定価格買取制度では、発電事業者に対して計画時点で太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどの設備仕様を確定させることを求めている。仮に、発電事業者が事後的に設備仕様を変更する場合は、設備メーカーが倒産か製造中止した場合を除いて、売電価格が設備仕様を変更した時点の価格に引き下げられてしまう。

太陽光発電ムラや筆者の知人の中にも、インリーで設備認定を申請してしまっており、困惑している方がいる。インリーが倒産するか、経営危機を乗り切るかすれば、事態は好転するが、現在のようにすぐに倒産はしないが、経営危機も終わらないという状態が、ソーラーパネルの供給もどうなるか分からず、最もタチが悪いのだ。

もちろん、FITの制度的欠陥と言う意味では、インリーのソーラーパネルに限らず、他でも同様な事態はどのメーカーでも起き得る。ソーラーワールドで設備認定を申請した筆者も、もしソーラーワールドに何らかの問題が起きれば、やはり同様に困ることになるし、そこまで行かずとも、為替が円安に振れればソーラーパネルのコストが嵩み、為替差損を被る。

一たび設備認定が完了した後は、原則としてソーラーパネルの変更が効かないため、どんなに円安になってもソーラーワールドで行くか、他のパネルに変更して27円の売電価格で我慢するかしかない(いずれも駄目なら、32円の権利を放棄してすべて取りやめ)という理不尽な状況に陥るのだ。

4ページ目にある宇佐美氏の指摘:

 このように、我が国の太陽電池モジュール市場は経済産業省によってメーカーにとって過度に有利な環境を作り出されている状態にあり、このままでは発電事業者は不当に搾取され利益が上がらなくなってしまうような立場に置かれている。こうした状況は本来、固定価格買取制度が想定したものではなく、改善するために一刻も早い対応が望まれる。

宇佐美氏のこの意見には、120%賛成である。太陽光発電事業者はいったん設備認定が終わると、ソーラーパネルがロックインされてしまう。そして何とか確定させることができた買取価格を人質に取られると、ソーラーパネルメーカーがどんなに悪意のある販売条件を出してきても、原則として従わなければならなくなる、というトンデモない欠陥があるのが、現在の日本のFITなのだ。

経産省がなぜこのような理不尽な制度を発電事業者に強要するのか、まったく理解できない。

当初は国内のソーラーパネルメーカーを保護しようとしたのかもしれないが、現状では逆効果だ。大幅な円安に振れれば輸入ソーラーパネルから為替差損が発生しない国産ソーラーパネルに変更する可能性すらあるのに、設備認定の意味の無いシバリのせいで、そういったパネル変更も出来ない。

経産省は意味の無い有害な規制や制限は可及的速やかに撤廃し、太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーの持続的成長を担保できるよう、まともな固定価格買取制度に改定すべきだ。

スポンサーリンク

コメント

  1. 蛇野 より:

    よく設備の値下がりを待って、下がってから設置をするというふうな記事が出ます。
    確かに設備は値下がり傾向にあるので、この条件では設置者有利になります。
    先にやった設置者が不利になってしまいます。
    今回の件を踏まえると、必ずしも設置者ばかりが不利にならないと思います。
    あちらを立てるとこちらが立たないということで、何をやっても批判は出てくると思います。

    • ビッグふぃ~るど より:

      蛇野様、

      いつもコメントありがとうございます。
      確かに、政策や規制の適否の判断は相対的な面もあるかと思います。

      ただ、今回の件では必ずしも設備の値下がりを待っていたような場合でなくても、たまたまインリーを選択したところ、メーカー側の問題が露呈したということで、そういう場合までは立法時点では想定出来ていなかった可能性もあります。

      いずれにしても、現状のままで良いとも言えないと思いますので、良識ある判断と対応がなされることを期待します。

  2. 匿名希望 より:

    いや、非難すべきはこういう規制を作らざるを得なくした、悪徳業者でしょ?
    申請だけして作ってないっていうのがあふれているんですから。
    で今になって、安パネルを申請しなおして、40円だから36円だからって高く売る。(しかも作って売るならとにかく、売ってから作るんですから。)

    おとなしくメガソーラーでやってればいい案件も20分割して、電力会社に事務的な負荷を掛けて、連系を遅くしている。
    もう40円、36円の分譲案件は譲渡禁止すべきだと思うんですけどね。
    作る前に、名義変更したら今の価格に落とすとか。
    それか、自己都合で未稼働の40円や36円案件は出力抑制対象にして、その分の27円の人は抑制を解除するか。
    今の制度 待ち得ですもん。

    • ビッグふぃ~るど より:

      匿名希望さま、

      コメントありがとうございます。
      ご指摘のように、悪徳業者の問題はあるかと思いますし、それらへの対応は必要ですよね。

      蛇野様の表現ですと「あちらを立てるとこちらが立たない」というところはありますが、法の抜け道を利用したあまりに悪質な商売に対しては対応も必要ですし、ご提案のような出力抑制の適用での調整などもやり方としてはアリかも知れません。

      ただ、いつまでも待っていたら得かと言えば、為替が円安に振れたりといった状況も考えると、必ずしも得になるとは言えないようにも思いますが…