電力業界:終わりの始まり

九州電力ショックに端を発した、今回の再生可能エネルギー産業(特に太陽光発電)における混乱は、未だに収束する兆しが見えない。

経済産業省は、受け入れ可能な再エネの量の調査を開始すると発表したようだが、既に指摘したように泥縄の対応であり、どこまであてに出来るのかすら分からない。

九電が九州管内の各地で開催した説明会では、太陽光事業に取り組んでいた事業者らから、「このままでは倒産」、「対応が無責任すぎる」、「年金生活の足しにしようと思っていたのだが…。私の老後はどうなるのか」、等と言った苦情や怨嗟の声が聞かれ、怒号も飛び交って騒然としていたそうだ。(筆者も九州にいれば、どこかの会場に取材に行けたのだが、少し残念…)

筆者は太陽光発電の1号基を今春無事に連係まで漕ぎ着け、売電し現在に至っているが、もう少し時期が遅れていてそれが九州であったら、筆者だって連係の回答が保留になっていた可能性もあったのだ。

それを考えると、まったくの他人事とは思えないし、筆者と同様に副収入や年金として比較的低リスクで運用するために、太陽光発電を行おうとしていて今回の国ぐるみの「詐欺紛い事件」に巻き込まれた方々は本当にお気の毒に思う。

政府・経済産業省は、これらの方々を何らかの方策により救済すべきではないかと考える。

法人・個人を問わず土地やソーラーパネルなどの部材を既に手当てしていた事業者は、設備認定だけを受けて(投機の目的かどうかは不明だが)まだ発電事業を開始していない事業者よりも真剣に取り組んでいたことは確かであり、そういったやる気のあった事業者が、今回のように国とグルになった独占電力事業者の都合のみで損害を被るのは、まったく公正ではない。(ある意味、設備認定だけしかしておらずまだ資金を突っ込んでいない事業者には、今回の九州電力ショックで「ラッキー!」と胸を撫で下ろしているような向きもあるのではないかと想像…)

個人や中小企業の事業者だけでなく、産業界でも太陽光発電事業の比重が高かったところでは、事業の縮小や社員の配置転換などの対応に追われる企業が出てきたようだ。

福岡市を拠点とするサニックスは、九州管内で注文を受けている太陽光発電工事が一部を除いては施工出来なくなると公式に発表した。これにより、九州の人材を他の地域に配置転換したりといった対応を検討中という。

自治体でも、宮崎県が検討を行っていた県立学校施設の屋根貸し事業の募集を断念、中止する事を発表している。また、株式公開を計画中というLooop社も、これまでに発表された北海道、東北、九州(沖縄含む)、四国以外の地域での再エネ買取中止の動きが拡大する場合には、株式公開の延期や中止といった事態も十分に考えられそうだ。

筆者のように、少々過激な発想の者にとっては、電力側が再エネ電力を買わないというのなら、こちらも電力を電力大手十社から買わない、すなわちオフグリッドだ!なんて発想に飛躍してしまいがちなのだが、オフグリッドで太陽光や自然エネルギー地産地消を広めることをマジで考える時期に来たのかもしれない。

いずれにしろ、今回の混乱を引き起こした電力大手は、優遇期間の3年間が終わり電力自由化が始まる前に、地域独占と垂直統合による旧態依然とした電力業界の「終わりの始まり」の引き金を自ら引いてしまったのではないだろうか。

以下は、ご参考まで、オフグリッドを自ら岡山で実践されている田中優氏のオフグリッド住宅の様子:

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