PV Expo 2016:太陽光の市場縮小と住宅用へのシフトをどう見るか

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今日から3月である。
3月と言えば…明後日の3/2から[国際]太陽電池展 PV Expo 2016が開催される。

PV Expo 2015(出典:PV Expo)

PV Expo 2015 (出典:PV Expo)

ということで、筆者なりに今回のPV Expoの見所や押さえておきたい出展社などを考察しておこうと思う。

台所が火の車のインリーやシャープも頑張って出展

まず、展示会会場のフロアプランを見てみる。これだけでも、色々なことを見てとれるものである。

例えば、経営危機の渦中にあるシャープやインリーグリーンエナジー(インリーソーラー)。いずれも債務超過の状態にあるのだが、フロアプランを見るとそこそこの広さのブースを構えていることが分かる。

シャープの展示ブース(小間番号:E25-56)は会場・東3ホールの一番隅にあるが、15~18小間ほどと台所事情の割には頑張っている。

シャープのブースに最初から行くと決めているか、会場の隅から隅まで回る人でなければ、訪れることが無いかもしれない場所だが、それなりの広さがあるので、出展する内容はBLACKSOLARや直流エアコンなど色々とありそうだ。

インリーソーラー(小間番号:E22-1)の方も、とても何千億円もの債務がある会社とは思えない規模のブースを東3ホールの出入り口のすぐ脇に構えている。

シャープと比べてブースの面積も場所も恵まれているが、冷やかしで訪れる人はあっても、同社の状況を知っている人なら何か特別な理由でもない限りわざわざ火中の栗を拾ってインリーで設備認定を出すことはないだろう。

もちろん、既にインリーで設備認定が完了している人は選択の余地は無いので、インリーで行くしかない訳だが。

ただ、「大きすぎて潰せない」ため中国の金融機関などが同社に対して財務面で支援策を続けているようだ。したがって、すぐに倒産したりといった可能性はかなり低い。

トリナソーラーや京セラ、カナディアンの小さ目ブースは住宅用へのシフトを示唆?

一方、財務状況や売上高などの割に小さ目の展示ブースを構える企業もある。
例えば、京セラやトリナソーラー、カナディアンソーラーなどだ。

京セラのブース(E13-46)は9小間で、著名で財務状況が良いメーカーとしてはかなり節約している感じだ。中国トリナソーラー(E14-42)も世界トップの企業にしては、ブースが小さい(といっても、15小間であるが)。

同様に世界市場のランキングでは上位に食い込んでいるカナディアン(E9-55)も、12小間とややケチっている感じ。

この辺り、固定価格買取制度の価格下落や電力会社による出力抑制の影響で縮小しつつある産業用太陽光から住宅用太陽光に営業やマーケティングの軸足を移しつつあるためではないかと思われる。

というのも、PV ExpoやPV Japanはどちらかと言えば産業用太陽光発電の事業者や、施工業者などが来場するターゲットの客層であり、住宅用太陽光発電システムを設置する一般の消費者向けのイベントではないからである。

したがって、住宅用太陽光の市場に力を入れるとすれば、販売チャネルとなる住宅メーカーや各地のハウスビルダーなどで営業力のある所を囲い込んだり、消費者向けに広告を売ったり、プロモーションを行ったりするはずだからだ。

実際に、トリナソーラーなどはウェブ上のバナー広告でも住宅用の太陽光発電システムの見込み顧客向けの広告コピーを載せたものが目につくようになっている。

さしものリードでも太陽光市場の縮小の影響は不可避か

それにしても、集客力のあるリードエキスポの太陽光発電関連イベントとはいえ、やはり市場の縮小の影響がここでも垣間見える。

前回(PV Expo 2015)では太陽電池展だけで東の3ホールを使っていたのが、今回は東の2ホールだけ、それでもフロアの所々に「ラウンジ」と称する休憩スペースがあることに気付く。全体的に出展社数が減っていることは、間違いなさそうだ。

筆者は初日に仕事絡みで電力自由化と合わせて取材・見学を行う予定でいる。可能であれば、あと半日~一日行きたいところだが、仕事の状況次第である。

個人的な部分では、8号基での採用を含みにソーラーパネルやパワコン、架台などのブースを一通り回っておきたいと考えている。

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