“ガラパゴス”日本の「サプライレスポンス」

太陽光発電(正確には再生可能エネルギーだが、現状ほとんどが太陽光なので以下も太陽光とだけ言及して書き進める)の急増による一般電気事業者(東電など大手電力10社)の系統容量の上限問題を受けて、経済産業省が具体的な対策案を発表した。

太陽光発電は抑制する一方で、太陽王子が最新記事で指摘しているように原発の推進には舵を切るという状況で、筆者としても憤懣やるかたないこと、この上ないのだが、今回は太陽光の出力抑制の点だけに絞って記しておく。

その内容は、これまで太陽光の全量を買い取ることを大手電力10社に義務付けていた制度を大幅に見直し、必要があれば買い取り量を減らす、または出力抑制を発電事業者側に課すというもの。

特に、これまでは「30日ルール」と呼んでいた500kW以上の高圧連係の太陽光発電所に対して課せられていたルールが、それ以下の我々のような低圧連係の産業用太陽光発電や住宅用の余剰買取の太陽光発電システムにも適用されるということである。

この30日ルールでは、太陽光などの発電量が電力需要を上回る恐れがある場合に限って年間30日を上限に出力を抑制、つまりそういった状況の際には電力を買い取らないという取り決めである。

このルールの適用対象を大幅に増やすことによって、回答を保留されている発電所も連係できるようになると言う、いわば「痛み分け」のような妥協案だ。

この出力抑制案で、経産省は「通信・カレンダー機能付きの制御指示器」と言う装置の設置を太陽光発電事業者に義務付ける方向を打ち出している。

経産省による太陽光発電の出力抑制の仕組み(出典:経産省)

図のように、この装置は50kWの低圧連係太陽光発電所だと5~10万円程度、製品開発期間として1年弱の期間(+メーカーの開発費=数千万円)を想定している。図の一番下の※印の注釈にあるように、パワコンによっては通信機能を持ったものがあるので、その場合はその通信機能を利用しソフトウェアでの対応によって遠隔制御が可能としている。

筆者の場合、オムロン「KP55M」にはRS-485というインタフェースは付いているが、通信機能などは当然、ネットとの回線も含めてすべて後付けが必要になるので、やはりこの案が義務付けとなった場合には5~10万円程度の費用負担は発生しそうである。

それにしても、原発を推進するためにこんな装置を太陽光発電所に付けるなんて仕組みを導入するのは、世界広しと言えども我が”ガラパゴス”日本だけではないだろうかw。2年ほど前の「電気が足りない!」と騒いでいたのは、いったい何だったのか?

欧米のスマートグリッドで、これとちょうど逆のパターンはよくある。

「自動デマンドレスポンス(ADR)」と呼ばれる仕組みで、これは電力需要がピークになり電力の供給が追い付かなくなりそうになったときに、電力会社や系統運用機関が需要家などに対して電力需要を減らすよう指示(信号)を送り、そういった信号を受け取った機器(例えば、冷凍庫や空調機器など)が少しの時間の間電源やサーモスタットを切ったり、あるいは出力を下げたりするのである。

この経産省の案によるしくみ、やはり何だか非常に勿体ないというか、馬鹿げた仕組みのように感じる。コストや運用の問題もあろうが、揚水発電や蓄電池を活用する方がずっと自然で簡単なようにも思えるのだが・・・

少なくとも、この案が施行されたとして、太陽光がピークで発電している時に、出力抑制が掛かって電気を捨てさせられる位なら、少しでも蓄電池に貯めておくとか、自家消費する(たとえば電気自動車に充電したり、冷房で使ったりなど)とか、したい所である。

ってか、もうこれは、自家消費をさらに拡大して、いっそのことオフグリッド!と言う選択肢も住宅用の太陽光発電を設置している世帯では今後有りかも知れない。

バンバン出力抑制されて大しておカネにもならない割に、消えてなくなって欲しい原発のためにナケナシのおカネをボリボリ毟り取られるくらいなら、安い蓄電池を導入してオフグリッドというシフトが今後もっと流行る可能性も高まってきたのではないだろうか。

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