九州電力にまつわる噂を検証してみた

九州電力が再生可能エネルギー(特に太陽光発電)の買取を事実上中断する検討を行っているという噂や報道が出始めた。

九電、再生エネ買い取り事実上中断へ 太陽光発電急増で:朝日新聞デジタル

太陽光発電ムラの中でも大きな話題となっており、現在九州で発電所の設置を検討または準備している方々の間で懸念や不安が広がっている。

この件、当ブログにおいても既にコメントなどで系統容量の上限が迫っているというご指摘を頂いていた。筆者はそれに対してどちらかと言えば楽観的な見通しを記していたのだが、どうやらそういう呑気なことを言ってもいられない状況になってきたかもしれない。

九州で太陽光発電はもう無理?

当の九州電力は、次のようなコメントを会社として発表しており、まだ同社として公式な見解ではないとしているものの、再エネの買取を中断しないとは言っていない:

九州電力 9月20日付「九電再生エネ契約中断」等に関する報道について

また、日経BPのメガソーラー関連報道では同社の関係者が取材に応じ、再エネの導入には積極的に協力したいと言う旨の姿勢をわずか半年ほど前の時点では表明していた:

<第9回>「700万kWの導入見通しは、技術的になんとかなる」、九州電力・経営企画本部 能見和司部長 – メガソーラー – 日経テクノロジーオンライン

電力会社は、危険なうえに放射性廃棄物の処理に困るもののベース電源としては一定の実績を確かに上げてはいる原発を既に保有している。お天気次第で出力がコロコロと変動する、いわば「不安定」な分散電源である太陽光や風力などは受け入れたくない、受け入れられないと彼らが主張することは理解できなくはない。

また、現在施行中の固定価格による全量買取制度(FIT)自体、系統網が不安定化する恐れのある場合に電力会社は買取を拒否できるといった、いわば「抜穴」的な例外規定が構造的な欠陥として存在することは2012年夏の施行当初から指摘されていた。

しかし、FITの施行後、確かに再エネの発電量が急増したからとはいえ、わずか2年あまりで電力会社側の「拒否権」が発動され、それが政府にも容認されるとしたら、呆れる他はない。

太陽光発電ムラの発起人である太陽王子は、原発再稼働絡みの報道が行われた時点で次のような見解を1週間ほど前に表明している:

電力というのは労働力と同じ。昼間の労働力である太陽光発電の電力が余っている中、24時間稼働するロボットである原発を再稼働させる意味は全くわかりません。

(出典: 失業率の上昇は無視してロボットの導入を推進します | 50kW太陽光発電ムラ拡大作戦本部

川内市周辺自治体の多くの住民が反対している危険な原発はゴリ押しして再稼働に突っ走る一方で、供給量が急増する再生可能エネルギーを一方的に抑制するような政府や電力会社側の姿勢には、筆者は大きな疑問と強い憤りを感じている。

あくまでも個人的な見解とお断りした上で記すが、九州電力として本当に住宅による余剰電力以外の再生可能エネルギーの受入れが全くできなくなったのか、筆者としては疑問に思っている。

九州電力は、玄海原発の再稼働の問題において捏造や”やらせ”といった様々な問題を引き起こしていた。そういった前科のある企業が、太陽光発電の受入れでは、すべて本当のことを主張するだろうか。

筆者はそういった企業の主張を天真爛漫にすべて信用など出来ないと考えている。しかも、九電の首脳が、原発推進に前のめりの安倍首相と会食をし、再稼働を要請したという話もあった。

太陽光が不安定だからというのであれば、蓄電池の設置(コスト負担に関しては議論すれば良い)や、既に九電の管内にある揚水発電の活用など、再エネ受入を安易に拒否する前にできる(否、すべき)こともあるのではないだろうか。

監督官庁である経済産業省は、この件に関してどう考えているのだろう。

もちろん、同省の内部が一枚岩かということもあるだろうが、今回露呈しそうなFITの制度的欠陥に甘んじて再エネ導入で妥協し、スマートエネルギー社会への転換をまたもや遅らせるのか、責任ある監督官庁としての指導力を発揮して電力会社の我儘を正し、欧米に後れを取っている再生可能エネルギーの導入を引き続き推進するのか。

今回の九電の件の経緯を見れば、その答(我が国の再生可能エネルギー政策が本物かどうか)や、再エネ受入停止が一時的なもので何らかの前向きな対策が行われるのか、いずれ分かるだろう。

引き続き、九電の公式見解や経済産業省、新しく経済産業大臣に就いた小渕優子氏の対応を見守ると同時に、太陽光発電ムラとしても何が出来るかも考えたいところだ。

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コメント

  1. 九州電力にまつわる噂を検証してみた | 今速☆ニュース! より:

    […] 2015年6月29日 電力会社は、危険なうえに放射性廃棄物の処理に困るもののベース電源としては一定の実績を確かに上げてはいる原発を既に保有しています。 また、現在施行中の固定価格による全量買取制度(FIT)自体、系統網が不安定化する恐れのある場合に電力会社は買取を拒否できるといった、いわば「抜穴」的な例外規定が構造的な欠陥として存在することは2012年夏の施行当初から指摘されていた。 川内市周辺自治体の多くの住民が反対している危険な原発はゴリ押しして再稼働に突っ走る一方で、供給量が急増する再生可能エネルギーを一方的に抑制するような政府や電力会社側の姿勢には、筆者は大きな疑問と強い憤りを感じています。 もちろん、同省の内部が一枚岩かということもあるだろうが、今回露呈しそうなFITの制度的欠陥に甘んじて再エネ導入で妥協し、スマートエネルギー社会への転換をまたもや遅らせるのか、責任ある監督官庁としての指導力を発揮して電力会社の我儘を正し、欧米に後れを取っている再生可能エネルギーの導入を引き続き推進するのか。 [引用元] 九州電力にまつわる噂を検証してみた […]