太陽光発電は絶対に儲かるのか?

太陽光発電は楽して儲かるリスクゼロの事業なのか?

太陽光バブルって何?」という子供向けの説明記事を、経済学者・経済評論家の池田信夫氏がネットメディアで公開している。

彼の太陽光発電に関する認識は偏っていると言わざるを得ないし、ささやかながら太陽光発電事業に携わる者の一人として、子ども達が彼の間違った主張や説明を鵜呑みにするのも困るので、本ブログにて取り急ぎ反論しておきたい。

まず、池田氏が主張する「太陽光発電は絶対に儲かる」、太陽光発電の「リスクはゼロ」という点。小規模ながら太陽光発電を事業として営む一事業者の立場から言わせて頂くなら、これは誤りだと申し上げたい。

現に、九電ショックで低圧は救済されたものの、まだ困ってる企業も多分あるはずだし、台風や集中豪雨、雷雨などの天災で発電所が損失を受けるという天災リスクや、銅線、ソーラーパネルやパワコンなどが盗まれるという盗難リスクだってある。当然、そういったリスクをカバーするために損害保険に加入する訳だが、それにだってコストが掛かる。

国が買取価格を保証する買取制度に基づくため、太陽光を始めとした再生可能エネルギーの発電・売電が株式投資や外国為替など他の投資に比べればリスクがかなり低い(=儲かる可能性が高い)投資対象や事業であることは確かだ(だからこそ筆者も参入した)。

だが、太陽光を含めてリスクがゼロで儲かる投資や事業など、ある訳が無いのだ。

それに、「何もしなくても儲かる」と書いているが、現実にはこのブログの読者の方ならご存知の通り、メンテナンスをまったくしなくて良い発電所というのは存在しないだろう。春から夏になれば、雑草を刈ったり、防草シートを敷いたりする。ソーラーパネルが鳥の糞などで汚れたら掃除もしなきゃならない(多くの場合、雨が洗い流してくれるが)。

工夫によってある程度、メンテナンスの手間を低減することは可能だが、太陽光にしろ風力にしろ、水力にしろ、100%メンテナンスフリーで儲かる発電所など無いと断言する。

電中研の論客は一般に電力会社の味方

次に、電力中央研究所(電中研)の朝野賢司氏の試算を基に固定価格買取制度による負担を槍玉にあげているが、この研究所は電力大手十社による運営資金で賄われている。ご存知の通り、電力大手はみな国策民営により原発を推進したがっている。つまり、電中研の研究員が発表する論文や主張がすべて客観的で中立的なものかどうかは吟味が必要である。

たいていの場合、電中研の論客が展開する主張や理屈には、原子力ムラが儲かるよう配慮したものが多いと考える方が間違いがない。ちなみに、朝野氏の記事が掲載されているネットメディア「Wedge(ウェッジ)」はJR東海グループの株式会社ウェッジが運営、JR東海はバリバリ原発推進派の企業である。(だから、筆者は東京=大阪間の新幹線にはなるべく乗らないし、原発前提で環境破壊の弊害の方が大きいリニアモーターカーにも反対)

原子力ムラの広告塔なのかどうか定かではないが、池田氏も朝野氏の論調に沿って、資エネ庁に認定された再エネ設備のすべてが運転開始すればという前提で太陽光発電を攻撃している。

しかし、設備認定を受けた発電所のすべてが運転開始する可能性は現実的にはかなり低い。

なぜなら、「設備認定された中には、買取価格の権利確保だけを目的にしたものも含まれており、こうした案件は、今後「取消」や「断念」に至るものも相当数ある」と見られるからだ。

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また、池田氏は太陽光を原発と比較しつつ、太陽光は「原発の代わりにはならない」としている。ご指摘通り、太陽光はお日さま任せであり、天気が晴れたり曇ったりすれば、出力が変動し、雨の日や日没後には発電できない。ただし、揚水発電や定置型蓄電池を併用すれば、太陽が出ていない時にも昼間に余って貯めた電力を相当な量使えるはずだ。

最後に、同氏は太陽光発電のコストに言及しているが、池田氏は原発から出てくる高レベル放射性廃棄物の処理コストや、原発事故が起きた場合の補償コストについては、どうお考えなのだろう。(まさか、それらは国民が(税金で)負担すれば良いとはおっしゃらないだろうね?)

太陽光発電を含む再生可能エネルギーの買取期間は、長くても高々20年である。

一方、高レベル放射性廃棄物の放射能が人体に無害なレベルになるのは、数万年掛かると言われていることを池田氏がご存じない訳ではないだろう。どちらが、トータルのコストが少なくて済むか、経済学者なら簡単に計算できないはずはない。それとも、現世代の我々がそのコストを負担しなければ、我々の子や孫が何倍、何十倍となった放射性廃棄物の処理コストを負担することは構わないと池田氏はお考えなのだろうか。

また、東京電力の原発事故が起きた後、いまだに故郷に帰れない人も多いが、それらの人々の気持ちなど池田氏は考えた事はないのだろうか。

池田氏が、ご自身でも太陽光発電を手掛けたことがあり、その体験・経験に基づいて太陽光発電を批評するのなら、まだ許せる。

しかし、自分でやったことも無い輩が、著名人としての立場を利用して机上の空論を振りかざし、太陽光発電やその事業者を悪者扱いして、あたかも自身の意見だけが絶対に正しいかのようにあること無いことを公然と吹聴するのが筆者には放っておけないのだ。(こどもには池田氏のようなバイアスの掛かった主張ではなく、正しい事実をきちんと教えないとね…)

【おまけ】
太陽王子の名言:「太陽光発電所は、メルトダウンしない。

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