(「「風の谷」の太陽光発電所(1)」の続き)
三相式パワコンの話が少し逸れてしまったので、Nさんの「風の谷」の太陽光発電所の特徴に戻ろう。と、太陽光発電の基本的なスペックを記していなかったので、それも述べておく。
カナディアンソーラー・多結晶Siを採用、出力は60kW
ソーラーパネルはカナディアンソーラー製の多結晶シリコンで、出力は約60kW。
既に述べた田淵電機製の9.9kWパワコンを5個使い、49.5kWが公式な出力となっている。
そして三つ目の特徴は、発電量のモニタリングシステム。
こちらではCONTEC(コンテック)社製の「SolarView Compact(ソーラービュー コンパクト)」を採用しており、パワコン毎に出力の表示や確認が可能である。
ただ、この遠隔監視システムでは、固定IPが必要となるために有線のインターネット回線としてADSLを使っている。本来であれば光ファイバを使いたい所だが、この辺ではFTTH網が来ていないため、従来の電話線の物理層での高速接続ということでADSLである。
(筆者宅でも光でのネット接続が当たり前となって、ADSLは相当に懐かしい感がある…)
そんな訳で、実際にNさんはスマホの画面で発電量を見せてくれたのだが、一つ大きな問題があった。
出力抑制をSolarView Compactで検知
それはかなり酷い出力抑制が生じていたことである。
発電量のモニターの画面で9.9kWかそれ以上の出力を出しているパワコンと同時に、その半分も出力が出ていないパワコンがあるのだ。もちろん天気は快晴で5台すべてのパワコンが9.9kW程度でなければおかしい状況である。
原因は、この「風の谷」の周辺は田畑の間に農家の集落が点在するような地域であり、あまり電力需要が大きくないことである。
このため、50kW級のプチソーラーでも系統網で電力を吸収しきれず出力抑制が起きてしまうようなのだ。
実は同様の出力抑制が発生する可能性は筆者の発電所の周辺でも多分にある(引込線がNさんの所よりずっと長いため、実は筆者としては相当に懸念している)。
ただ、筆者の場合には発電所から1kmほど離れた所にかなり大きな工場があるので、週日の昼間(昼休みを除く)はあまり大きな問題が起きないのではと期待しているが。
出力抑制を回避する対策はない訳ではないのだが、勝手にそういった対策を行い、もし周囲で大停電が発生…なんて事になってしまうと多額の損害賠償が請求されて…などといった恐れもなくはないので、まずは中国電力に相談します、とNさん。
筆者よりずっと段取り良く太陽光発電所を立ち上げられ、嫉妬してしまう位に順調に売電開始にまで漕ぎ着けたものの、出力抑制とは本当に心が折れそうになりそうなものだが、Nさんは冷静に中電との折衝を行われるようで、筆者としては本当に感心するばかりだ。
コメント
中国電力の整定値はどうなっているのでしょうか?
中部電力管内だと、3相でも216Vで指定されます。抑制が起きるとデータロガーで計測して整定値の検討がされますが、時間がかかるのが歯がゆいですね。
蛇野さま、
200何ボルトと言う話は、たしかNさんも現地でされていました。
中国電力では何らかの方針なり、指針があるのではないかと思います。
いずれにしろ、時間のかかる作業になりそうで、できれば避けたいですね。
質問がございます。
>発電量のモニターの画面で9.9kWかそれ以上の出力を出しているパワコンと同時に、その半分も出力が出ていないパワコンがあるのだ。
田淵電機の三相パワコンは1台を親機として他のパワコンを信号で結び運転を同期させる機能がありますが、ここの発電所は同期信号の接続はしていないのでしょうか?
並列運転による同期はこういうことを制御しているのではありません。
停電があった時に全てのパワコンが止まるように制御しています。
マスターとスレーブの設定はそういうkとです。
ただし、マスターがこけるとスレーブもこけてしまいますので、全てマスター運転で支障がないならその方がいいです。
抑制が起きているとのことでしたが、その後はどういう状況でしょうか?
問題解決したのでしょうか?