動産担保・売電債権譲渡担保型融資(ABL)とは?

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広島の太陽光3&4号基※1だが、資金調達に希望が見えてきた。
先の広島出張中の金融機関との面談で、なんとかこの2基分の融資が付きそうな状況になったからである。

動産担保・売電債権譲渡担保型融資(ABL)による資金調達

本ブログで読者の皆様からも情報を頂いたりした訳だが、結果的には筆者が当初見込みがないだろうと判断(リストから除外…)していた金融機関から動産担保・売電債権譲渡担保型の融資(Asset-Based Lending: ABL)を付けてもらうことになりそうだ。

この動産担保・売電債権譲渡担保型融資とは、わかりやすく言うと企業が持っている商品の在庫や売上債権といった流動資産などを担保として提供することで融資してもらえるという手法である。

太陽光発電事業者であれば、電力会社に対する売電債権、融資をつけてもらい調達する太陽光発電設備(動産)を担保として提供することで、おカネを貸してもらえる仕組みだ(下図)。

動産担保・売電債権譲渡担保型の融資(ABL)の仕組み

動産担保・売電債権譲渡担保型の融資(ABL)の仕組み

(一般的な事業の場合、土地や建物を担保として提供することが一般的だが、産業用太陽光発電の場合、僻地や里山といった地価の安い所に野立ての発電所を設置することが多く、土地を担保とすることが難しいため、売電債権や太陽光パネルなどを担保とする訳である。)

といっても、まだ一度面談を行っただけで、融資可否の判断をされるために、まだ提出しなければならない書類がいろいろとある。

必要となる提出書類は結構多い:公庫融資より大変かも…

当初、面談に当たって必要と言われたのは、下記のような書類:

  1. 経歴書
  2. 太陽光発電 資料(既存の概要・新規融資分の案件の概要)
  3. 確定申告書(直近2年~3年分)

これら以外に、事業計画の趣意書や現在の資産概要も提出させて頂いたが、さらに施工業者からの見積、経済産業省の設備認定の写しや20年分の収支シミュレーションなども追って提出しなければならない。

確定申告書も3年分出したのだが、最新のを忘れてしまい、追って提出…ということでご容赦頂いた(汗)。

やはり、従来のように価値の高い土地などの担保が不要な分、ソーラーパネルなどの動産や売電債権を担保とするということで、この案件が大丈夫という事が分かることをきちんと書類によって証明する必要があるからだ。

向こう20年分の収支シミュレーションも相当に厳しく条件を設定して大丈夫かどうかを見るようなので、結構大変なことは大変。だが、おカネを貸す方の観点からすれば、貸し倒れリスクをしっかり管理することであり当然のことだろう。

この程度の書類の準備すらできないようなら、1千万円単位のおカネを借りて事業投資を行うことなどできないのである。

これまでの経験では、日本政策金融公庫のときが今回と近かったが、今回の方が少々厳しいかもしれない。一方で、法人を設立すれば、あとはその代表(=筆者)を保証人とすれば、他に保証人は要らないという点で、筆者にとっては有難い面もある。

大手企業が投資ファンドなどと特別目的会社(SPC)を作り、メガソーラーなどで資金を調達する手法と基本的には同じABLが個人事業者でも利用可能となったという点で画期的であり、感動すら覚えた。

ただ、そういったスキームでは代表者が個人保証しなければならないことはほとんど無いと思う。だが、今回のようにLLCが実質代表者一人だけの法人だったりする場合は、その代表者による個人保証もまぁ仕方ないだろう。

しかし、太陽光発電では売電がきちんと行われてさえいれば、よほどのことが無い限り返済が滞る事は無いと考えている。

優良な融資案件が減少、太陽光事業者向けも急減?

ちなみに、この金融機関は従来はある種の娯楽産業向けの融資が中心だったそうだ。
ただ、少子高齢化の影響からか最近は同業界も斜陽化しつつあるようで、融資案件が細ってきているようだ。

全般的業況(収益を中心に売上、粗利など全般的な業況)

全般的業況(収益を中心に売上、粗利など、出典:(一社)日本遊技関連事業協会)

そこで目を付けたのが太陽光発電事業者ということらしいのだが、ここへ来て、買取価格は下落するは、出力抑制リスクは急増するは、でいよいよ太陽光の事業者からも融資需要が減りつつある状況。

ということで、数少ない融資先を選別して「この事業者(会社)なら貸しても大丈夫だろう」という所にだけ融資を付けるということなのだろう。

今後、さらに必要書類を提出して実際に融資が下りるまで、あと数週間程度はかかりそうだ。
また進捗があった段階で本ブログにて融資の可否も含め最新の状況をお伝えしたい。

※1: 本記事の執筆当時は3号基および4号基であった大竹市と東広島市の発電所は、その後の経緯でそれぞれ4号基および6号基となり無事に系統連系まで漕ぎ着け、現在も稼働中である。なお、本記事で言及していたABLによる融資は諸般の事情により活用していない(2021/04/21追記)^

コメント

  1. たまじろう より:

    はじめまして。金融機関はどちらの金融機関なのでしょうか?
    わたしは、徳島県ですが、徳島にあれば調べたいと思いました。
    メールアドレスにて教えて頂くとありがたいです。
    お手数ですがよろしくお願いします。
    現在の公庫は太陽光に対して融資は難しいです。先日資料を提出して面接に行きましたが、審査されず門前払いでした。

    • 美具琲瑠弩(ビッグふぃーるど改め) より:

      たまじろう様、

      はじめまして、コメント有難うございます。
      先ほど、貴殿にEメールをお送り致しましたので、ご確認下さい。

      ご指摘通り、公庫も難しくなっていると思います。
      まぁ、国の金融機関ですから、時の政府の政策に従うと思えば無理もないことでしょう。

      あとは民間でまだ太陽光で頑張っている金融機関を発掘してそこから少しでも条件の良い融資を引き出すしかないですね。

      お互い頑張りましょう。
      今後ともよろしくお願いいたします。

  2. ココナッツ より:

    こんにちは!
    ブログ拝見しました。
    なかなか融資先が見つからず半ば諦めも考えているのですが、ABLについては個人事業主でも設定は可能ですか?
    どこもかしこも担保担保でお手上げ状態で、
    内容としては、
    土地400万「調整区域」
    パワコン49kw モジュール80kw 1800万
    計2250万 売電24円
    借り入れ2000万

    当方愛知県ですが何か情報あれば教えて頂きたいと思います、
    宜しくお願い致します。
    当方愛知県ですが

    • ビッグふぃ~るど より:

      ココナッツさま、

      初めまして、コメントありがとうございます。

      ABLですが、九電ショックやその後の無制限出力制御が電力会社に認められてから、金融機関側の太陽光に対するスタンスが非常に厳しくなっているようです。

      既に太陽光で豊富な実績がある方や法人などですと、おカネの出し入れ状況から、銀行側から太陽光で借りてくれと言ってくるような信用力のある方もいると聞く一方、当方を含めてまだそれほど実績のない個人や中小企業では、太陽光での融資を引き出すのが相当に困難になっていると感じます。

      愛知県に関する情報も、残念ながら当方として特に持っているものは現在ありません。。。
      あまりお役に立てず、申し訳ありません。 今後ともよろしくお願い致します。

  3. ビッグふぃ~るど より:

    ココナッツさま、

    初めまして、コメントありがとうございます。

    ABLですが、九電ショックやその後の無制限出力制御が電力会社に認められてから、金融機関側の太陽光に対するスタンスが非常に厳しくなっているようです。

    既に太陽光で豊富な実績がある方や法人などですと、おカネの出し入れ状況から、銀行側から太陽光で借りてくれと言ってくるような信用力のある方もいると聞く一方、当方を含めてまだそれほど実績のない個人や中小企業では、太陽光での融資を引き出すのが相当に困難になっていると感じます。

    愛知県に関する情報も、残念ながら当方として特に持っているものは現在ありません。。。
    あまりお役に立てず、申し訳ありません。 今後ともよろしくお願い致します。