京セラの特許権侵害提訴:”Qセルズ”は対象外

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京セラによる3本バスバー電極構造の特許侵害の提訴の件、数日ほど前に被告のハンファQセルズジャパン社より公式コメントがプレスリリースとして発表されていたことに本日気が付いた。

京セラによる特許権侵害訴訟提起について(PDF)

本件に関する記事「京セラはQセルズで太陽光発電やってる私も訴えるのか?」に対して、Qセルズ販売店のソレイユ・イノベーションさんからコメントを頂いていたが、ご指摘の通りでハンファソーラーワン社が製造した製品の一部のみが特許侵害に該当するものの、Qセルズ・ブランドの太陽光発電モジュール製品は提訴の対象ではないと明記してある。

これで、どうやら筆者がブログで書いたような原告・京セラによる筆者などの個人や中小企業の発電事業者の提訴という懸念はほぼ解消されたと考えて良さそうだ。

となると、外野としては「高見の見物」で済むと言う気もするのだが、残った関心事は、この特許権侵害訴訟で東京地方裁判所がどのような判決を下すかである。

ハンファQセルズ社の主張は、

…3本バスパ―電極構造は、京セラの特許出願に先立って、遅くとも1990年代には研究論文等により公表されていた公知の技術であり、京セラの主張は一方的なもの<以下、略>

(上記プレスリリースより引用)

ということである。

筆者が先に書いた記事でも、この3本バスバー構造の太陽電池セルは技術的にそれほど目新しいものではなく特許として成立したのがむしろ意外であったという日経エレクトロニクスの分析記事について触れていた通りで、ハンファQセルズ社の主張がそれほど理不尽なものとも思えない。

しかし、特許庁がこの3本バスバー電極構造を新規制のある特許として認めた以上、この裁判でもしこの特許が「公知の技術」に基づくもので特許としての効力をもたないという判断が下されたら、これは特許庁の面目が丸潰れ?になりそうである。

かといって、京セラの特許に効力があるという判決を東京地裁が出せば、ハンファQセルズ社としては、他の3本バスバー電極構造の太陽電池を採用して製品を出荷している企業はどうなるのだ、ということになり、太陽光発電業界ではまた一悶着になるかもしれない。

恐らく、後者の場合にはハンファQセルズ社は判決を不服として上告するのではないだろうか。

個人的には、そもそも新規性があまり無かった特許申請を通してしまった特許庁の判断に問題があったように思うので、今さらながら特許の効力が失効してしまい、京セラも仕方なく辛抱するというシナリオが最も有り得る展開ではと感じる。

一方で、最近、電気自動車(EV)ベンチャーの米テスラモーターズが、EVの普及という壮大な目標のために同社が保有するEV関連特許をすべてオープンにし他社が原則として自由に使えるようにしたという画期的な出来事もあった。

特許という制度は時に技術革新(イノベーション)を阻害しかねないということを、テスラの件や今回の京セラによる3本バスバー電極構造の特許侵害提訴で再認識させられたと言う気もするのである。

ところで、Qセルズと言えば…「にほんブログ村」の「太陽光発電(Qセルズ)」のランキングは筆者の「一人相撲」がついに終了、Qセルズのお仲間さんブログが二つ加わってくれた。その結果、三つ巴の熱い(!?)闘いが繰り広げられるに至っている。

現在トップは、本ブログに先日コメントを下さった「茨城サラリーマンのばっしー」さん。
Qセルズで50kWプチソーラー2基の設置に取り組まれているそうで、筆者にも色々と参考になる。(彼も今回のQセルズの発表で、少し安心されたのではないかと思う。)

コメント

  1. 蛇野 より:

    バスバーの数が徳教になるのでしょうか?
    4本とか5本にすれば効率的になるのでしょうか?
    本数によるメリットはどういうものでしょうか?
    こんなことが特許になるというのが驚きなのです。

  2. 茨城サラリーマンのばっしー より:

    こんばんは。
    今、この記事を見て初めて知りました!
    かなりの朗報です。
    情報展開ありがとうございます(^-^)/

  3. bigfield より:

    蛇野様、

    >バスバーの数が徳教になるのでしょうか?

    ちょっと不思議ですが、確かに特許になっています(笑)。

    >4本とか5本にすれば効率的になるのでしょうか?

    おまじないみたいですが、そういう事もあるのかもしれません。MELCOにとってはそういう事のようですし。

    >本数によるメリットはどういうものでしょうか?

    これについては、私も詳細は良く分かりません。。

    >こんなことが特許になるというのが驚きなのです。

    同感…ですね。

    茨城サラリーマンのばっしー殿、

    どういたしまして、とにかく我々が訴えられたりするリスクはほぼ無くなったので、素直に喜びたいと思います。

    今後ともよろしくお願いいたします。< (_ _)>