FITは究極の『総括原価方式』か

九電ショック以降に流行る「太陽光発電叩き」

九電ショック以降、「太陽光発電叩き」や「固定価格買取制度叩き」が流行りのようだ。

既に、経済学者・池田信夫氏がこども向けに書いた記事については反論を試みた訳だが、雨後の筍のようにまた別の人が再エネ叩きに参戦してきた:

あなたは払えますか? 再エネ賦課金2.7兆円:日経ビジネスオンライン

いや、なんともキャッチーでショッキングな見出し。2.7兆円という具体的な数字も入ってて、思わずクリックして読みたくなる記事のタイトルの定跡通りだしw。

で、こういう記事を一体誰が書くのか、それがまず重要。

お名前を見ると「竹内純子」とある。池田先生と違いこの氏名だけでは失礼ながら、どなたか存じ上げないので、下の方まで記事をスクロールしてみると写真付のプロフィールがあった。

なるほど、NPO国際環境経済研究所の方ですか。ん、
もう少し良く読むと、この方は元々あの東京電力にお勤めだった訳ですか。なるほど。

ここまで分かれば、この記事の論調は読まなくても大体分かるようなものである。
もちろん、同じ東電出身でも「いんちょう先生」のように我々の側に近い方もいらっしゃるが、この竹内女史はどうも原子力ムラ側の論客のようだ。

そもそも、国際環境経済研究所の所長の澤昭裕氏は、このNPOの中のブログでも原発再稼働を主張する原発推進論者である。澤氏のブログ記事を少しだけ拾い読みする限り、彼も東電の原発事故に対する反省の認識はあまりなく、目先の経済の観点だけで再稼働しろ、という主張だ。安全性や倫理感についてどうなのかはよくわからないが。

従来の「総括原価方式」自体の見直しがまず必要

上述・竹内氏の記事に対する反論に戻る。

この手の再エネ批判で必ず言及される傾向があるのが、現時点の設備認定の容量だ。
竹内女史も池田先生と同様に「今年6月末までに認定を受けた再生可能エネルギー発電設備がすべて運転を開始した場合」を前提として2.7兆円の再エネ賦課金を持ち出している。

これについては、池田信夫氏への反論の投稿でも指摘したように、設備認定を受けている太陽光発電がすべて稼働する可能性は低い。したがって、それを前提とした2.7兆円ももっと少ない金額に修正すべきだ。

記事4ページ目に言及されている「問題だらけの制度設計」については、確かに問題は多いと思う。太陽光だけ非常に高い価格設定だったことは確かだが、電力会社に「拒否権」を認めていたために、今般の「九州電力ショック」のような混乱が生じた事を忘れてはならない。

彼女は固定価格買取制度を「究極の『総括原価主義』」と主張されているが、再エネの賦課金を槍玉にあげて批判するのであれば、そもそもの総括原価方式の問題点も同様に見直すべきだろう。

火力や原子力だって総括原価方式で、我々電力の消費者には、電力会社のコスト内訳などほとんど何も明らかにされていないのだ(要するに、安定供給という錦の御旗の下で、電力会社のどんぶり勘定がまかり通る仕組み)。

筆者としては、竹内女史が主張する「経済性、環境性、エネルギー安全保障・安定供給というエネルギー基本の『3E』の中で考え」るべきだとのご意見には、賛成である。また、「つけは結局自分に回ってくる」とのご意見も然りだと思う。(もっと言えば、自分や自分の子供たちに回って来る、とすべきだと思うが。)

少なくとも、長い目で見た時に、再生可能エネルギーと、高レベル放射性廃棄物の処理や事故の際の補償に莫大なコストのかかる原子力発電、今後も新興国の需要増加により高騰が予想される化石燃料による火力発電のコストを比較すれば、今我が国がどれに最も力を入れるべきかは明らかだ(同時に、省エネ、畜エネも必要)。

コージェネレーション(熱電併給)やデマンドレスポンス、建物の省エネ、定置型蓄電池の設置推進など、我が国が低炭素化や持続可能な経済を実現するためにまだ本気でやってないエネルギー関連施策は他にいくらでもある。(経産省・資エネ庁がこれらに真剣に取り組まない理由は、原発を稼働させたいからだろう。)

自ら3K仕事を何もしない原発推進論者は「卑怯者」

安全性や環境の面でも東電の原発事故が露呈したように、メルトダウンや放射能汚染の懸念のある原発には慎重であるべきだ。

持続可能な制度にするという意味で、FITの改正や見直しも避けられないだろうし、その方向で改訂作業が進められているが、原発のデメリットも以前とまったく変わっていないのだ。

ご自身やご家族が除染作業にも廃炉作業に従事することにも吝かでない、とでもおっしゃるなら、まだ原発推進論を主張する資格があると思う。だが、自分では汚れ仕事を何もしない癖に、原発の再稼働や推進を主張するだけな奴は、ただの卑怯者でしかない。

(筆者は、原発に関わる汚れ仕事などしたくないし出来ないから、原発には反対である。
現在、福島で危険な作業に従事されている方々には、感謝の気持ちで一杯だ。)

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